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第2711話 マンセー名無しさん 投稿日: 2007/04/13(金) 15:55:54 ID:MNTEMkHd
「威厳の囚人 その1」

イラク君の家の近くに危ない人が出没するらしいから見張っておいで、と女王陛下の命を受けたマルタ君とスコット君は池でボートを漕いでいました。

マルタ「今日は誰もいないみたいですね。」

スコット「そうだな。ええと、向こうは誰の家だっけ?」

「イラク君の隣ですから、ペルシャさんのお宅ですね。」

「この池も少し向こうに入ってるからな。流されないようにしろよ。入ってしまうと後がややこしいからな。」

ペルシャ「あんた達、もう入ってるわよ?」

声に驚いた二人が後ろを振り向くと、スタンガンと胡椒スプレーを手にしたペルシャちゃんが微笑んでいました。

「え? ここはあなたの領地じゃありませんよ?」

「ここはまだイラク家の側に入ってますよ。」

「まずは口を閉じなさい。それから手を上げなさい。それからこちらのボートに移りなさい。連行しますから。」

「・・・・・わかった。」
「威厳の囚人 その2」

そして次の日の朝早く、エリザベスちゃんは執事さんにたたき起こされました。

「お嬢様!! 一大事でございます!!」

「何ですの? 騒々しい。御婆様がご覧になったら・・・・・」

「弟君とマルタ様がペルシャ様の手によって連れ去られました!!」

「何ですって!?」

「人の家に勝手に入ってきたとやらで、我がブリテン家を非難しております!」

「ええい、アルゼンの時みたいに警備員と番犬を遣わしておしまい!」

「いいえ、旦那様が今回は交渉するとおっしゃいました。」

「お父様が? 何故?」

「はい、我が家の警備員はイラク家の内紛を納めるのに手一杯でして・・・・・」

「ああ情けない。私からも学校で文句を言ってやるわ。」

「そうなさってください。我々といたしましても情報の収集などに力を入れてまいります。」

「ええ、そうなさい。」
「威厳の囚人 その3」

「ペルシャさん? 貴女どういうおつもりですの!? 私の従者と弟をお返しなさい。」

「何言ってんのよ。自分の家来ぐらいきちんと躾しときなさいよ。それとも勝手に人の庭に入るのがブリテン家の流儀ってわけ?」

「何ですって!? 他人の領地まで入り込んだ挙句に人さらいとはいい度胸ですわね!? スコットに持たせていたドラ○ホン(ちょっと古いな)の記録では、二人はきちんと池のイラクの側にいましたわ。」

「とりあえず今日の夜にでもあんたに電話させてあげるから、従者からの報告を待ったほうが良いんじゃない? こっちは二人をどうとでもできるんだし?」

「う、ぐぐぐ、言ってくれますわね・・・」

「それでいいわね?」                         
「威厳の囚人 その4」

その夜、エリザベスちゃんはアイル君と電話の前に座っていました。

「ええい、何時まで待たせますの!?」

「姉さん、俺だって何時になったら俺の部屋に入ってくるのを止めるんだって言いたいね。」

「今はそれどころじゃありませんわ。口をつぐみなさい。」 「はいはい。」

リーン、リーン、リーン、 ガチャ、

「ディスイズエリザベススピーキング.」

《女王様、ペルシャさんのほうに入っていったら捕まっちゃいました》

「は? ちょっとマルタ、貴方何を言ってるの? 混乱しているのね。いいわ、スコットに換わりなさい。」

《姉さん? スコットです。》                      

「スコット? 大丈夫? 怪我はない?」  
《はい、人道的な取り扱いを受けてます。 今回は僕たちの不手際でペルシャさんたちには迷惑をかけ・・・・・》

「もしもし、スコットなの? 今なんて言ったの?」

《ですから、今回のは僕たちの不法な侵入であったと言ったんです。》

「あのねえ、スコット。あなた、何所で連れ去られたのか覚えているの?」

《もしもし、聞こえた?》

「ペルシャ!? なんで貴女が!?」

《何て言ってるか聞こえたでしょ? じゃあね。 ガチャン》

「姉さん、何て言ってきたんだ?」

「あれは脅されたような声でしたわ・・・」    「何に?」

「あいつが後ろで脅していたに決まっていますわ。」         

「威厳の囚人 その5」

そして数日経ちました。ペルシャちゃんは謝罪せよの一点張り、エリザベスちゃんは解放せよの一点張りでした。

「今頃二人はどうしているのかしら・・・・・」

「私の対応に何か不味い点は無かったのかしら・・・・・」

「アメリーさんもひどいですわ。あんなことおっしゃって。私がしたことに何の不手際があるのかしら。」

何やら独り言が多くなってきましたわとエリザベスちゃんが思ったとき、執事さんが入ってきました。

「お嬢様、お手紙が参りました。」
「手紙?」

「はい、ペルシャと署名してあります。」

「お貸しなさい。」

(貴女が今回の件を謝罪していると判明したので二人を近日中に解放することになりました。今後はこのようなことの起こらないように求めます。 ペルシャ)

「あなたが勝手に謝ったの? 私は謝罪などしてませんわ。」

「滅相もありません。私にもなんだかよく分かりません。」

「向こうも花火の件などで皆から叩かれていますから、早めに終わらせたかったのかしら? 揉め事は少ないほうがよろしいですし。」

「で、いかが致しましょう?」  

「返すといってるものを拒む理由があって? すぐに受け入れの準備をなさい。」

「かしこまりました。」
「威厳の囚人 その6」

「女〜王〜様〜 女〜王〜様〜 (泣き声)」

「(頭を撫でながら)マルタ、もう大丈夫だから何が起こったのか詳しくおっしゃい。ね?」

「女〜王〜様〜 女〜王〜様〜 (まだ泣き声)」

「(これじゃどちらが守護者なのかわかりませんわ。)マルタ、向こうで休んでなさい。 スコット、何があったの?」

「連中の行為は全くもって不正です。私たちはイラ君の側にいたのに、いきなりペルシャがきたんです。あれは人さらいもいいとこです。」

「でしょう? なのにあなた、電話で変なこと言ってたわよね?」

「脅されたんです。私とマルタは別々にされ、罪を認めなければ納屋に放り込むぞと言われました。」

「やはりそうだったの。・・・・・スコット、あなたマルタを連れて新聞部へ行きなさい。私が許可するわ。」

「そんなことしていいのですか?」

「ええ。ペルシャの行った非道を町中に知らしめなさい。」
「威厳の囚人 その7」

「お嬢様、エリザベスお嬢様。一大事です。避難されております。」

「ええ、ええ、そうでしょうとも。これで、我が大ブリテン家に刃向かったものはどうなるのかあいつもわかったでしょう。・・・・・何が一大事なの?」

「避難されているのは我がブリテン家でして・・・。」

「? どういうこと!? 説明なさい。」

「エリザベス、私が説明しよう。」     
     
「あ、お父様。どういうことですの?」

「うむ、あの二人なんだがね、お前、お菓子やゲームを新聞部から分けてもらってもいいといったね? それが問題なんだよ。 良く考えて見なさい。 賄賂と受け取られても仕方がない。 それに、わざわざ新聞部に自分から言いに行くこともないだろう。 わかるね。」

「う、ぐ、ううう。 申し訳ありませんでした。」

「もうこんなことしないね?」

「は、はい。(何で私がお小言なんか貰うことになるんですのっ!?)」

その後エリザベスちゃん達はみっちりとお説教されました。


お話の基 イランが英水兵を領海侵犯のかどで捕まえた一連の事件。

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