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第29話
名無しさんは反省しるニダ
投稿日: 2003/01/30(木) 23:45 ID:0Jgg2dOQ
初めまして。投稿させていただきますね。
「アオザイの熟女」 (1/2)
カンコ君は、今、気が気ではありません。
自分の斜め前、桜貝のような形のよい耳を黒髪から覗かせているベトナちゃん。
いつも自分をどぎまぎとさせる、深く、底の見通せない黒い瞳も、
(とはいえ、いつもの彼は、他人の気持ちを思うなどという事はしませんが)
端正な面立ちも、ここからでは見る事はできません。
彼は今、とても居心地悪く、ひたすらベトナちゃんの薄い肩を見つめていました。
アジア町の人々は、時折集まって、子供達のお小遣いの事や、火事などに遭って
大変なおうちをどうやって援助するか、などいろんな事を話し合うのです。
その会合には、たいていの場合はおうちの門を守る係の大人が出席するのですが、
アサヒちゃんやサンケイ君など、新聞を書く子供達が招かれたりもするのです。
なぜ、カンコ君やベトナちゃんがいるのかですって?
みんな、自分のお小遣いの事は気になるものなのです。
子供達が忍び込めたのは、話し合いも終わり、大人達が余興として始めた
隠し芸大会の最中でした。
手品、漫談、物まねなど、意外な一面を見せる大人達の芸を、こっそりと楽しむ
子供達…目的とは違った時間ではありますが、やはり宴会独特の華やかな雰囲気は
楽しくて、こっそりと覗いていたのです。
いつも気を張っているように見える門の係の人たちの意外な一面を見て、クスクスと
忍び笑いをもらしたり、ほう、と感心したり。
競争心や、劣等感。そんな事も忘れてしまう、共犯者だけが味わう不思議な連帯感を
皆は共有していました。
そう。
ニホンちゃんのおうちのマキコおばさんと、アメリー君のおうちのパウエルおじさんの
順番が来るまでは。
「アオザイの熟女」 (2/2)
「うぐっ」
悲鳴にもならない、詰まったような声を漏らしたのはウヨ君でしょうか。
オンナノコスキーのマカロニーノ君も、辟易としたような表情です。
アメリー君の家でもてはやされていたガンファイター姿のパウエルおじさんは、
堂々たる体躯に、自信ありげな姿でさすがにキマっていますが…
マキコおばさんは!
「よりによって…」
タイワンちゃんの声が震えたように思いました。
長い黒髪の持ち主が、そっと白いアオザイを身につけた少女に寄り添いました。
窓の中では、マキコおばさんがめんどりじみた顔に、非常に嬉しそうな、少女のような
はにかみを交えた満面の笑みを浮かべています。
藍色のアオザイをまとい、パウエルおじさんに媚びに満ちた視線を向け、
しなだれかかったり、まとわりついたり。
古い歌に合わせてミュージカル風に踊ったりしているようです。
しかし…
ベトナちゃん、アメリー君、カンコ君の昔のいきさつを知っている子供達は、
気遣わしげにそれとなくベトナちゃんの様子を窺っています。
早鐘のように音を立てるウリナラ心臓を意識しながら、カンコ君はそっとアメリー君を
盗み見ました。
「…まいったな」
口調そのものは軽かったのですが、訪れた雰囲気の硬さに、カンコ君ほどではありませんが
どうにも居心地の悪さを感じているようです。
「あ…」
乾いてしまった唇を舐め、カンコ君は、必死にベトナちゃんの背中に声をかけようとしました。
「ベトナちゃん…その…」
ごめんなさい、と続けようとしたニホンちゃん。
しかし、振り向いたベトナちゃんの面差しに浮かぶ静謐な表情は、皆のあらゆる言葉、視線を
受け付けない、今夜の月のような冷たさと清しさをたたえていました。
「お芝居だし」
その一言を残して、堅く拳を握り締めているホーチミン君の手を取って、ベトナちゃんは、
一足先に帰って行ってしまいます。
「にっ、ニホンに謝罪と賠償を要求するなら、ウリは協力するニダ!
無神経なマキコを門番にしたシシローの無能も、ついでに一緒に批判するハセヨ!」
ようやく、その背中に声をかける事ができましたが、その声が引き金になったように、
子供達は走り始めました。
なにせ、大人に黙ってアジア町公民館に忍び込んでいたのですから、大人たちに見つかっては
大目玉確定。下手をすると、お小遣いを減らされてしまうかもしれません。
「アイゴッ!」
後ろから、強い衝撃を感じ、倒れそうになったカンコ君の体。
いつもなら捨て置かれるのですが、今夜は、誰かが…酒臭い…誰かが担いで走ってくれて
いるようです。
「もうっ…バカンコ!」
前の方から吐き捨てられてきた言葉も、いつもよりかは優しい気がしました。
(ベトナ。明日、教室に来るニダよ…)
その腕に巻かれた見るとカンコ君に罪悪感を感じさせてしまうベトナちゃん。
でも、居なければやっぱり、気になって仕方なくなるのでした。
解説
名無しさんは反省しるニダ
投稿日: 2003/01/30(木) 23:50 ID:0Jgg2dOQ
後日談
とっても調子に乗りやすいマキコおばさんに、さんざん煮え湯を飲まされた
シシローおじさんは、とうとうマキコおばさんを門番の係から外したそうです。
ソース
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/article/kimitsu/200107/27-10.html
(ニュースに出ていたあの満面の笑顔の画像は発見できませんでした…)
初めてのニホンちゃん投稿…ネタがとことん古い上に、
子供達のキャラの描写が不十分かもしれません。
萌えられないでしょうが、精進しますので、どうぞよろしくお願いします。
批判の際、足りない点等をご指摘してくだされば、幸いです。
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