一進一退を繰り返す、ニッテイさんとロマノフさんの勝負。雌雄を決したのは、ニホン池でのボートレースでした。 絶対の自信をもっていたロマノフさんが惨敗を喫したのです。 「お二人とも、もう頃合ではございませんこと?」ビクトリアさんが提案し、ロマノフさんは受け入れました。 ニッテイさんも、もう余力がありません。調停を受け入れました。こうして、実質的にはニッテイさんの勝利でおわり、 ロマノフさんはアジア町へ支店を拡大することを断念しました。 ニッテイさんは分かっていました。この勝利はビクトリアさんに、たくさん助けてもらったことを。いつか彼女に 恩返しをしたい。ニッテイさんは、固く固く誓いました。 〜 Life's Like a Love Song 〜 (その2)
「・・・ご無沙汰でした。」 あのころ、足しげく通ったビクトリアさんの家を、ニッテイさんは訪問しました。当時と同じ部屋に、かの人はいました。 艶やかなブロンド、ほっそりとしていながら肉付きのよい体。大喧嘩が終わった後だというのに、彼女の顔に疲労は 認められません。 「そうでしたわね。ふふ、あなたは変わりましたね。」 「そうでしょうか?」あなたは、あの頃と同じだ。 ニッテイさんは、感嘆の思いでビクトリアさんを見つめます。 「ええ、自信に満ち溢れておいでです。立派になられました。で、ご用件は?」 「会議の件です。」 「・・・嫌なのですか?」 二人の間に、重苦しい空気が漂いはじめました。 〜 Life's Like a Love Song 〜 (その3)