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第10話 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/09/18(木) 22:15 ID:qPrCeapM
              「ヘアースタイル」
 アメリー君とチューゴ君、ニホンちゃんと地球町で知らない人がいない三人が図書館へ宿題
をしに行った帰りです。通りかかったフランソワーズちゃん家の前にヘアーサロンがありまし
た。
 「何時出来たんだ、これ」
 「午前中通りかかった時はなかったアルぞ」
 二人は首を傾げています。
 「ええと、『ヘアーサロン フランソワーズ家万歳』か。物凄い名前ね」
 ニホンちゃんもきょとんとしています。
 「まあ物は試しだ。お金もあるし入ってみるか」
 「丁度髪が鬱陶しくなってきたアルしな」
 「わたしも。髪形変えてみようと思ってたし」
 かくして三人は店に入りました。
 「ようこそ、真の芸術の場へ」
 そこにはフランソワーズちゃんがいました。
 「悪い、急用思い出した」
 「家に帰って宿題の続きをするアル」
 「あ、そうだ武士に頼まれてる本買わなくちゃ」
 彼女の顔を見て三人は踵を返して店を出ようとしました。
 「ぽちっとな」
 フランソワーズちゃんが手に持つボタンを押すと店の玄関に鉄格子が降りました。
 「帰る必要はありませんわ。これから三人には究極のヘアースタイルをプレゼント致します」
 「大きなお世話・・・・・・」
 最早逃れられぬと悟った三人は諦めました。
 「わたくしヘアースタイルについて学ぶうちに究極のアバンギャルドに巡り合いましたの。
本当の芸術、今から差し上げましてよ」
 「って阪神虎刈りとかそんなんじゃないのかよ・・・・・・」
 これから起こる事を考えると絶望的ですがもう開き直ることにしました。
 「まずはアメリーですわね。アメリー家は・・・モヒカンでしたわね」
 「ちょっと待て」
 椅子から首を捻ってフランソワーズちゃんに言います。
 「あれはうちのごく少数の人がやるだけだ。うちのポピュラーな髪形じゃないぞ」
 「あら、そうでしたの?」
 「あの髪形は特別なんだ。絶対に断る」 
 アメリー君は断固として断りました。
 「それではチューゴを先に。辮髪はそちらではポピュラーでしたわね」
 「・・・一体何時の時代アル。それに辮髪は元々モンゴルの家の髪形アルぞ」
 迫り来る危機に対しチューゴ君も必死に立ち向かいます。
 「あれ、けど昔は」
 「その時の家長が押し付けたアル。今うちで辮髪にする者はいないアル」
 「あらら、それでは止めますわ」
 チューゴ君も危機を脱しました。
 「それではニホンさんですわね。御安心を、わたくしニホンさんの家の文化には精通して
おります故」
 (それが一番怖いよお。フランソワーズちゃんのうちに対する知識って無茶苦茶偏ってるん
だもん。漫画とか特撮みたいにされなきゃいいけど)
 すごく不安です。
 椅子に座るニホンちゃん。その緑なす絹の様な豊かな黒髪を手に取りフランソワーズちゃ
んはうっとりとしました。
 「・・・本当に何時見ても綺麗な髪」
 「この髪に相応しい髪形はこれですわね。これしか考えられませんわ」
 そう言うと鮮やかな手さばきで鋏を入れます。鏡を見るとそこにはいつもと変わらぬ
姫カットのニホンちゃんがいました。
 「フランソワーズちゃん、これ」
 「やはりニホンさんはその髪形が一番ですわ。他には考えられませんでしてよ」
 「ふうん」
 髪に指を絡めつつニホンちゃんは言いました。
 「何だ、似合う髪形にしてくれるのか」
 「だったら安心アルな」
 ニホンちゃんが帰った後男二人は安堵の面持ちで椅子に座りました。
 「そうですわね、どの殿方にも合う髪形と言えば・・・これしかありませんわね」
 「えっ・・・・・・!?」
 鋏が不気味に唸ります。
 「マイガーーーーーーーーーーーーッ!!」
 「アイヤーーーーーーーーーーーーッ!!」
 二人の叫びが町中に響き渡りました。

 翌日
 「二人共その髪形は何!?」
 登校する二人を見て皆大爆笑です。何と横をカールにした昔の欧州丁の偉い人達の髪
形なのです。
 「シット、見るんじゃねえよ!」
 「笑ったら唯じゃおかないアルぞ!」
 そこへフランソワーズちゃんが優雅な笑みを浮かべてやって来ます。
 「如何でして?わたくしの提供したヘアースタイルは。ベル薔薇を参考にしましてよ」
 「宝塚に行ってこーーーーーーーーーーーーーーーーい!!」
 二人の怒りの叫び声が教室に木霊しました。

解説 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/09/18(木) 22:20 ID:qPrCeapM
ちょっとユニークなヘアースタイルを。
http://member.nifty.ne.jp/siberi/cyborg/sleepmyheart.htm
http://www.chic.ac.jp/homepage/NewFiles/centralpost/319/319bun2.html
http://tzk-web.com/cover/diary/01-04/01-04-30.html
http://www.sanspo.com/soccer/top/st200206/st2002061717.html
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Poplar/4754/report/shintyo.html
http://www2s.biglobe.ne.jp/~xuan-he/benpatu/bebebebenpatu.html
http://shop.goo.ne.jp/store/kisoutengai/ctg/000949.jsp
http://plug.sub.jp/gallery/ori_oth034.html
http://www.ne.jp/asahi/hazuki/ashiya-musical/12_fra.htm
http://www.10daysbook.com/html/ebi_nifty/special/special_ver.html
http://dl.digipa.com/digipa/kwd/1201D1.htm
姫カットは普通ですが。それぞれの事情でこういった髪形が生まれるのですがロココ期
のフランス貴族の髪形はかなりのものだったようです。こちらの資料は池田理代子先生
の本や漫画に詳しいです。

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