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第16話 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/10/01(水) 23:13 ID:GZJoP6n.
                      「ゴクウ」
 「なみいる妖怪変化を打ち倒し三蔵法師一行は遂に天竺まであと僅かのところまで
来ました」
 アテネちゃんが武将の服に着替えました。凛々しくそれでいて格好良いです。
 「しかしそこには今までの魔王達より遥かに強大な魔王がすんでいました」
 ナレーションにも熱がこもります。
 「その魔王の名は牛魔王。天を衝かんばかりの大きさの破壊と暴力の権化です」
 「そこまででかくはねえけどな」
 杯を手にした鎧姿の牛魔王が言いました。演じているのはロシアノビッチ君です。
 「あんたまた飲んでるのいい加減にしなさいよ」
 奥さんの鉄扇公主が注意します。紫苑ちゃんです。
 「まあいいじゃねえか固いこといいっこなし。しかし紫苑よ、おめえその格好似合
うな」
 「おだてたって何もでないわよ」
 「きついねえ、ほんと。可愛いい顔して」
 「・・・馬鹿」
 公主少し顔を赤らめます。
 「ところでこの火焔山に入って来てる連中がいるけどどうするの?」
 「知れたことよ、通行料頂いてやるさ」
 「無かったら?」
 「シベリアで通行料分働かせる」
 「きついわね」
 「おめえんとこよりましだが」
 「いいから早く行きなさい」
 「あいよーーー」
 「はあーーーい」
 ナレーターに急かされ退場です。
 「もう少しで天竺ですね、御師匠様」
 白馬が法師に声をかけます。
 「ええ、本当に長い道のりでした」
 それまでの道中のことに思いをはせます。
 「全ては貴方達がいたからこそ・・・本当に有り難う御座います」
 「いや、まあ、御礼なんていいですけどね」
 三人の弟子達が恥ずかしそうに言います。
 「ただずっと御側に置いて頂ければ」
 白馬が法師にそっと近寄ります。
 「えっ・・・!?」
 しかしそこに邪魔者登場です。
 「おう、悪りいが通行料払ってもらおうか」
 金髪を後ろに撫で付け方天戟を持つ牛魔王と芭蕉扇を手にする鉄扇公主、取り巻き達も一緒です。
 「火焔山の牛魔王だ。下手に逆らわない方が身の為だぜ」
 「牛魔王・・・兄者ニダか・・・!?」
 悟空が前に出て来ました。
 「ん・・・孫悟空じゃねえか。こんなとこで何してんだ?」
 いぶかし気に悟空を見下ろします。
 「この三蔵法師様について天竺まで旅をしているニダ。ここはウリに免じてただで通して
欲しいニダ」
 実はこの二人義兄弟なのです。悟空が勝手に名乗っているだけですが。
 「ほお、天竺ねえ」
 やたらオーバーアクションに頷きながら言います。
 「そうニダ、だから通して欲しいニダ」
 「じゃあ十倍払え。あとサンマ置いてけ」
 「ニダッ、サンマ!?」
 悟空の顔色が変わります。
 「ど、どういうことニダ兄者、それでもブラジャーニダか!?」
 「あーーーん、御前天界で暴れた時何したよ!?」
 「・・・またこの話かよ」
 「四回連続アルぞ」
 八戒と悟浄が呆れています。
 「手前が暴れ回ってくれた時に俺もかみさんも下界に落とされたんだよ、忘れたとは
言わせねえぞ!ついでに俺の池の秋刀魚食い散らかしやがって」
 「アイゴォ・・・」
 「通行料払うか引き返すかどちらか選びなさい、もっとも実力で通るというなら話は別だけど」
 公主が不敵に笑います。場に緊張が走ります。そこにあの口笛の音。
 「誰だっ!」
 音がした丘の方を見ます。そこには盤古羅漢がいました。
 「あ、貴女は・・・」
 法師が尋ねます。
 「十六羅漢の一人盤古羅漢。法師様お助けに参りました!」
 「え・・・わたしに!?」
 羅漢といえば釈迦如来直属の偉い仏様です。その仏様が自分を助けに来てくれたのですから
驚きです。
 「私だけではありません。ほら」
 さっと手をあげます。するとお助けマンコンビと今まで闘ってきた魔王達が出て来ました。
 「で、出番ですわよーーーーーっ!」
 「今度こそやりましてよーーーっ!」
 この二人も来ています。
 「ちい、盤古羅漢だかバンコランだか知らねえがやらせるかあ!ホルドニースメルチ!」
 「我々の力見せてやるわよ!ネオバイブル!」
 牛魔王も鉄扇公主も流石に強かったです。しかし多勢に無勢、遂に捕われました。あれ、悟空の
姿が見えません。
 「いくらなんでも冬将軍まで使うなよな、しかも火焔山で。設定無茶苦茶になるだろ」
 「猛者怒出した時は死ぬかと思ったアル」
 どうやらこの二人劇だというのに本気でやっちゃったらしいですね。
 「ふっふっふ、まあ少しはやるニダな」
 全てが終わってひょっこり出てくる悟空。
 「お前何かしたか?」
 「アイゴオオ・・・」
 「まあ劇でも派手にやった方がいいだろ。大受けだったぜ」
 牛魔王も公主も不敵に笑います。
 「ところでおめえ等これから天竺へ行くんだろ?」
 「う、うむ。かなり大人数になるがな」
 羅漢が答えます。 
 「えっ、羅漢様もですか!?」
 法師が驚きの声をあげます。
 「ええ。法師、いえ御師匠様に悪い虫がつかない様に」
 「悪い虫!?」
 ちらりと銀角の方を見ます。銀角はそれに気付いていますが知らんふりを決め込んでいます。
 「だったら話ははええ。俺達も同行させてくれ」
 「えっ・・・!?」
 その申し出には皆驚きました。
 「ここにいても暇だったしな。美味い酒もあちこちにあるだろうしな」
 「お金儲けはまず足から」
 「ううむ・・・御師匠様宜しいですか?」
 羅漢が法師に尋ねます。
 「旅の仲間は多い方が楽しいですね」
 法師はにこりと笑って言いました。
 「有り難い。顔だけじゃなく心まで別嬪さんだな」
 「えっ・・・!?」
 その言葉に赤面する法師でした。

 牛魔王篇完。次は天竺です。

解説 名無しさん ◆x3A1GrPw 投稿日: 2003/10/01(水) 23:24 ID:GZJoP6n.
 今回のネタは『聖闘士星矢』と『リングにかけろ』です。牛魔王は本宮ひろ志先生の名作
『天地を喰らう』の呂布のイメージで。横山板=吉川板や演義よりこっちのほうが格好良かった
ですね、呂布は。ロシアノビッチ君と紫苑ちゃんのカップルはどうかな?ロシアノビッチ君
はどうも歴史を見る限りハプスブルグ先生やフランソワーズちゃんが好きみたいですけど。

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