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第42話
シェロ
投稿日: 2004/07/12(月) 01:00 ID:BZruEfks
「チョゴリと白い馬」
「きれいニダ……」
チョゴリちゃんは牧場でほぅとため息をついた。
彼女の視線の先には、小さな小さな、白い馬。
ついこの間生まれたばかりのこの仔馬は、他の鹿毛の馬の群れの中で一際神々しい輝きを放っている。
しかし、異彩を放つものが迫害されるのは世の常。それは人間も動物も変わらない。
「あっ!オンマさん、噛み付かれてるニダ!やめるーーーーっ!!」
鹿毛の馬に小突かれている仔馬を見て、小さな体のチョゴリちゃんは大きな声を振り絞って叫んだ。
馬の群れはびっくりして、仔馬を残して散り散りになる。
居候しているニホンちゃんの家で肩身が狭い思いをして、自分の本当の家では「チョッパリ」と罵倒される、
どっちの家にも心から受け入れられることのないチョゴリちゃんは、その仔馬に自分を重ねていたのかもしれない。
「大丈夫ニカーーーっ?」
チョゴリちゃんが向こうにいる仔馬に呼びかけると、仔馬はチョゴリちゃんのところまでとっとこ駆け寄ってきた。
チョゴリちゃんは目の前の白馬にそっと手を触れてみる。穏やかな仔馬の目。
「よかったニダ。負けるなニダよ。きっとオンマさんはあんな奴らよりもカッコよくて速いオンマさんになるからね。」
チョゴリちゃんは大きく育った白馬の姿を想像していた。ウヨ君がまたがっている姿が浮かんで赤くなったのは、ナイショ。
「きゃは、くすぐったいニダ〜〜〜」
白い仔馬に顔をペロペロ舐められて、チョゴリちゃんは、笑った。
それからチョゴリちゃんは、嫌なことや悲しいことがあると牧場に行くようになった。白い仔馬も、チョゴリちゃんが来ると嬉しそうに嘶いた。
共に社会に受け入れてもらえない者。シンパシーを一人と一頭は感じていたのだろうか。
しかし、蜜月の日々は長くは続かなかった。
白い仔馬は仲間にいじめられ続け、ある日大きな馬に踏み潰されてしまったのである。
「チョゴリちゃん、ご飯食べようよ」
「いらないニダ」
チョゴリちゃんは自分の部屋で、布団にうつ伏せになって泣き続けた。ご飯を食べる気にもならなかった。
このまま何も食べなかったら、彼の所に行けるかもとも思った。
涙が、止まらない。初めてできた親友だったから。
泣き疲れて眠ってしまうまで、チョゴリちゃんは泣き続けた。
「・・・ちゃん、……ゴリちゃん、チョゴリちゃん」
自分を呼ぶ声が聞こえて、チョゴリちゃんは顔を上げた。
そこにいたのは、白い髪の少年。見たことがないのに、チョゴリちゃんはその少年を知っている気がした。
「・・・・・・、オンマさん?」
「あは、わかってくれたんだ。チョゴリちゃんが心配だったから、あっちに行く前に来ちゃったよ」
「・・・あっちって?」
「お空。そこでボクはお星様になって、しばらくしたらまた、こっちに降りてくるんだ。それがいつになるかはわからないけど」
「・・いやニダ。ウリをおいて行っちゃいやニダ。ウリも連れてってニダ。独りにしないでニダ!!」
チョゴリちゃんは涙をぽろぽろこぼして懇願する。涸れたと思ってたのに、とめどなく溢れてくる涙。
「・・・ボクも出来ることなら連れて行っちゃいたいけど、そんなことしたら友達が悲しむでしょ?
ボクはもう会うことはできなくなるけど、空からチョゴリちゃんを見守ってるから」
「友達なんていないニダ!アボジもウリのこと嫌ってるニダ!ニホンちゃんもホントはウリに出てってほしいって思ってるニダ!
どこに行ってもウリに居場所なんてないニダ!!」
チョゴリちゃんは叫んだ。ずっと溜め込んできた彼女の悲しみが、堰を切ったように流れていく。
そんな彼女を包み込むような声で優しく少年は言った。
「そんなこと、ないよ。ボクと違ってチョゴリちゃんには君を思ってくれる友達がいっぱいいるよ。そんなこと言っちゃ失礼だ。
あのね、死んだヒトが一番喜ぶのは、生きているヒトが幸せに笑っていてくれることなんだよ。
ボクのせいでチョゴリちゃんが泣いてるなんて、やだよ。ボクのことは忘れて、幸せになってよ」
「いやニダ。会えなくなるのより、忘れちゃうのがもっといやニダ。そうなっちゃうウリが怖いニダ」
「……そっか。ニンゲンのことはよくわからないから。ごめん。でも大丈夫。ボクはいつもそばにいるから。
そろそろ、行かなきゃ。神様が早くしろって言ってるんだ」
少年の体が白く輝き、やがて薄れ始めた。
「待って!!オンマさーん!」
目が覚めると、もう朝になっていた。小鳥がちゅんちゅん鳴いているのが聞こえる。
「夢ニカ・・・」
チョゴリちゃんは呟いてまた布団に身を埋めた。すると胸の所に何かが当たる感触が。
身を起こすと、そこには白い馬のぬいぐるみ。
「・・・オンマさんの匂い・・・」
チョゴリちゃんには手触りでわかる。それはあの仔馬の毛で出来ていた。
ドアをノックする音が聞こえて、ニホンちゃんが声をかける。
「チョゴリちゃん・・・学校行ける?」
「はいニダ!」
チョゴリちゃんは振り返って元気な声で答えた。
もう、泣くのはやめよう。彼のために笑っていよう。彼女はそう思った。
「ね、オンマさん」
チョゴリちゃんが話しかけると、ぬいぐるみが笑ったような気がした。
「いつも、そばにいるから」
解説
シェロ
投稿日: 2004/07/12(月) 01:03 ID:BZruEfks
↑長いっすね…マシになってないかなぁ…
てか、スレを別居させても、ハンドルネーム変えてしまえば書き込みはできると思うんです。
来るなと言っても止める手段はないでしょうし。そうなったらmachinaさんの苦労も水の泡じゃないですか。
もしそうなって「もーウンザリやってらんね」ってことで作者の皆様がニホンちゃんから離れていったとしたら
それが俺一番辛いです。
もっと読みたいんです。皆さんの作品。
明日これ投入して「作品で語って」来ます。
手直ししたほうがいいところがあれば、指摘してくださるとありがたいです。
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(*^ー゜)b Good Job!!
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