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第2話 青風 ◆BlueWmNwYU 投稿日: 2006/01/19(木) 14:42:05 ID:7G0eg+cu
「持ち物検査とみんなの事情」

小学生にだっていろんな子がいるもので、中にはちょっと悪い子の
振りをしてみたい、そんな意地っ張りな子供もいたりします。

「おい、何だってお前はナイフなんて学校に持ち込むんだYO!」
アメリー君に言われても、ペルシャちゃん吾関せず。にやり、と笑い
ナイフの刃をひらひらと、手慣れた様子で振り回してこう云います。
「ほら、ほらぁ、アタシに下手な口を利く奴ぁ、怪我しても知らないよォ」
テレビで覚えたての台詞を吐くと、決ったな、と内心得意になっています。
「お前、僕に逆らうとどうなるか、」
思い知らせてやるZE!と言葉を続ける前に、アメリー君の頭に
出席簿の一撃が降ってきました。
「おらぁ、さっさと席に着け!ホームルーム始めるぞぉ」
やや投げやりかつ乱暴に、フラメンコ先生が教壇に立ってHRの開始を
宣言すると、癖のある地球組のみんなも、一斉に自分の席に戻りました。

「さぁて、今日はクラスの運営について話し合う事になっていたがぁ、
 何か提案のある者は居るかぁ?」
フラメンコ先生の言葉にアメリー君が元気に立ち上がりました。
(自分基準の)正義が大好きなアメリー君は、クラスの平和を乱す
ペルシャちゃんをとっちめてやる積りなのです。
「先生!今日はみんなの持ち物検査を、」
しましょうYO!と、云いきる前にさっと伸びてきた何本もの手に
アメリー君は無理矢理席に座らされてしまいました。
いったい誰だ?と見回すと、彼を取り囲んでいたのはゲルマッハ兄妹、
フランソワーズちゃんにエリザベスちゃんの4人でした。
「アメリー。我々は有る利害関係を共有している」
無表情に語るゲルマッハ君に、アメリー君は少し恐怖を感じました。
「我らはペルシャの家の庭に秘密基地を確保している」
同じく無表情に語るのは双子の妹、アーリアちゃんです。
「ですから、此処でペルシャさんを追いつめて頂き無くないんですの」
流麗な言葉で語るお嬢様、フランソワーズちゃんです。
「私たちの言う事、判って頂けますわよね」
女王のごとくお言葉を賜るエリザベスちゃんに、
アメリー君はむらむらと反抗心をかき立てられました。

「お前らの事情なんか知るかYO!」
アメリー君は、再び立ち上がって先生にアピールを始めます。
「先生!今日は持ち物検査を、」
ここまで言って、アメリー君はまたも誰かの手で席に引き戻されました。
「誰だよ?」と、振り返ると、そこに居たのはロシアノビッチ君と
チューゴ君でした。
「アメリーよ。あのナイフ、実は朕が譲ったものアル」
不気味な策士、チュウゴ君が薄笑みを浮かべて言いました。
「うぃっく。なぁ、アメリー。ナイフくれえで騒ぐんじゃねぇよぉ」
昼間っから酒臭い息のロシアノビッチ君が続けます。
正義の番長(自称)アメリー君の地位を追い落とそうとするこの二人、
こう云う時はとっても気が合います。でもこの時は、言われた事の逆を
必ず行く、アメリー君のそんな性格が頭をもたげてきました。

「はン。お前らが言うんじゃ、是非とも持ち物検査しなきゃなぁ」
またも果敢に立ち上がり、先生に向けて挙手をするアメリー君。
「先生、今日は持ち物検査を、」
2度有る事は3度有る。またもアメリー君は言葉の途中で
席に引き戻されてしまいました。
「いい加減にしろYO!今度はいったい誰なんだ?」
振り向いたアメリー君の目に映るのは二人の少女、ニホンちゃんと
紫苑ちゃんでした。
「ねぇ、アメリーく〜ん。私も実はペルシャちゃんの処に秘密基地
 持ってるのよぉ」
ニホンちゃんは子犬のような目で上目遣いにアメリー君に訴えます。
是にはアメリー君も、ちょっと困りました。
「OH、ハニー。お前の頼みなら聞いてやりたいんだけどなぁ」
説明に窮しているアメリー君。しかし、その首筋に、いつの間にか
巻付けられたタングステンワイヤの感触に我に返りました。
「ねぇ、アメリー。私のお願い聞いてくれるよね。
 実は今日ねぇ、私もナイフ持ってきちゃったの」
にこやかに笑う紫苑ちゃん。もちろん、返事によってはワイヤを
一気に締め上げるつもりです。アメリー君に選択肢はありません。

「なんだお前ら、何の提案もないのかぁ?」
教壇のフラメンコ先生がたまりかねて怒鳴りました。

「しょうが無い。今日は持ち物検査だ!
 お前ら、覚悟しろよぉ!」

解説 青風 ◆BlueWmNwYU 投稿日: 2006/01/19(木) 14:45:26 ID:7G0eg+cu
引っ越しのご挨拶と解説と

ニュース極東の皆様、初めまして。
ニホンちゃん作家、青風で御座います。
諸事情により、急にこちらの板にお邪魔する事になりましたが、
皆様、今後とも宜しくお願い致します。

さて、この話の解説です。
(作品の解説は、する作家としない作家とがおります)
是は、イラン(昔はペルシャと呼ばれていましたね)の
核開発疑惑に対する対応と事情がベースになっています。
イランの石油関連に利権を持っている国家、ドイツ(ゲルマッハ兄妹)
フランス(フランソワーズ)イギリス(エリザベス)日本(ニホン)。
アメリカを牽制したい国、ロシア(ロシアノビッチ)。
イランにウランを輸出した国、中国(チューゴ)。
自分も色々疑惑を抱えている国、イスラエル(紫苑)。
それに、昔から仲の悪いアメリカ(アメリー)が絡んで
見事にニホンちゃん世界になっている国際情勢がベースであります。
ま、実際は独仏英が頭に来て安保理に提訴を検討するところにまで
進んじゃってますけどね。

まぁ、細かいところは色々あります。
が、取り敢ずは雰囲気を味わって頂ければなぁ、と思います。
では皆さん。気が向きましたら、ご感想ご意見やらを
書き込んで頂けますよう、お願いします。

取り敢ず、この辺をご参考までに。
ttp://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/iran_nuclear_program/

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