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第47話
U−33 ◆JOCEixq6zU
投稿日: 2006/02/25(土) 14:37:26 ID:kGIcBpAl
『民族独立行動隊』
ポプラ並木の表通りから、路地に入って中ほどにある昔風の店構えの喫茶店。その店のドアを開けて
小学生くらいの男の子が勢いよく入って来ました。
「やあウヨ君じゃないか。一人でどうしたんだい」
カウンターの中からマスター──サヨックおじさんが話しかけました。
「あ、こんにちわ。そこのスーパーにママやお姉ちゃんと一緒にお姉ちゃんの服を買いに着たんだけど、
ママが『お買い物の付き合いは退屈だろうから、サヨックおじさんのお店でジュースでも飲んで待って
なさい』ってお金を渡してくれたんだ」
「あはは、女の買い物って長いからな。で、飲み物は何にする。オレンジジュースでいいかな。そこに
本棚があるから、何か読んで時間をつぶすといい。といってもうちはスポーツ新聞や漫画雑誌は置いて
ないんで、あんまり君が読むものはないかも知れないが」
おじさんは甥っ子にそう言いながら、ジュースをグラスに注ぎました。
ウヨ君は、カウンターの脇に置かれたカラーボックスの中から一冊の古びた小冊子を取り出しました。
ページをめくっていたウヨ君ですが、あるところでページをめくる手が止まりました。何に驚いたのか
目を丸くしています。まるで頭の上に巨大な「?」マークが浮かんでいるような感じです。
なんでそんな顔をしているのか気になったおじさんが、ウヨ君に話しかけようとしたとき、窓の外に
ママとニホンちゃんの姿が見えました。
「あ、買い物終ったみたい。ごちそうさま。じゃ、さよなら」
そう言ってウヨ君が出て行った後、グラスを片付けようとしたおじさんは、その小冊子の表紙に目を
とめました。そこには『うたごえ歌集』と書いてありました。
「どこを読んでいたんだろう」
読みかけのページを見たおじさんの顔に、苦笑いが浮かびました。
「そうだな、俺とこういう言葉のとりあわせってのは、若い連中から見ると不思議なんだろうな」
おじさんは、小さな声でその一節を口ずさみました。
「血潮には 正義の血潮もて 叩き出せ 民族の敵 国を売る 犬どもを……か」
(ソース)
「民族独立行動隊の歌」
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/minzokudokuritsu.html
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