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第1468話
ナナッシィ
投稿日: 03/04/06 12:55 ID:aj3Yhzc3
「中華アパートの感染症」
最近の地球町小学校では、二つの大きなニュースが話題になっています。
一つは、アメリー君&エリザベスちゃん対イラク君の大喧嘩。
もう一つは、中華アパートを襲った正体不明のウイルスによる風邪のことです。
「・・・やっぱり、マスクをつけた人多いなあ・・・」
教室に入ったニホンちゃんがクラス全体を見渡しながら、一人つぶやきました。
かく言うニホンちゃんも、先生やママの言い付けどおりマスクをしています。
そのニホンちゃんに、タイワンちゃんが声をかけてきました。
「ニホンちゃん、おはよう!」
「あれ? タイワンちゃん、もう大丈夫なの?」
「ん〜、少し熱はあるけど、だいじょーぶい! いつも心に太陽があるからね!」
「ハハハ(・・・ま、病は気からって言うからね・・・)」
苦笑いを浮かべたニホンちゃんに対し、
僅かに笑みを曇らせたタイワンちゃんは少し寂しそうに言いました。
「でも、ベトナちゃんとシンガ君はきょうもお休みだって」
「そう・・・やっぱり、近所でよく遊んでいたからかな・・・早く良くなるといいね・・・」
「うん、そうだね・・・」
ちなみに、カナディアン君も家のベッドでまだ苦しんでいるのですが・・・・。
「それより気になるのは・・・」
タイワンちゃんは、ゆっくりと顔を後ろに向けました。
それにつられて、ニホンちゃんはその視線の先に目を向けます。
そこには、熱にうなされ、寒気に震えながら、机に突っ伏しているチューゴ君の姿がありました。
隣のカンコ君が、コソーリとニホンちゃん寄りに机を動かそうとしていましたが、
チューゴ君が咳をする度に慌てて元に戻し、動かして戻しを繰り返しています。
「・・・あいつ、どう見てもまだ感染してるよね? 迷惑だから休んでてくれればいいのに」
「タイワンちゃん・・・そんな言い方しなくても・・・」
その時、始業チャイムが鳴り、フラメンコ先生が教室に入ってきました。
生徒達が慌しく席につくのを確認してから、先生は口を開きました。
「はーい、おはようございます・・・さて、きょうは皆さんに大事なお話があります」
教室が僅かにざわめいたのを、フラメンコ先生はパンパンと手を打って静めました。
「知っての通り、今中華アパートが発生源と思われる感染症が学校全体に流行しています。
現在保健の先生と調査中ですが、どうやら『ころなういるす』という病原体が原因と思われます。
これは『いんふるえんざ』程ではありませんが、感染性がとても強い病原体です。
そこで、大変残念なことですが、治療法が確立するまで皆さんにはもう暫く、
中華アパートに行くのはなるべく控えるようにしてもらいたいと思います、わかりましたか?」
その言葉に、クラス全体が再びざわめき始めました。
ですが、そこに静寂をもたらしたのは、今度はフラメンコ先生ではありませんでした。
「い・・・ゴホ・・・異議ありアル!!」
それは、普段は何事にもクールに構え、目立つ行動は控えるチューゴ君でした。
おもむろに立ち上がったチューゴ君に、クラス全員の視線が集中します。
「そんな話が出るのは・・・中華アパートの状況を正確に把握してないからアル・・・グ・・・
見ての通り・・・朕が元気に・・・・ゴホゴホ!・・・学校に来ているのが・・・何よりの証拠アル!
中華アパートに遊びに来るのに何の・・・・・・何の問題も・・・・ゴホゴホゴホ!」
咳き込みながら、必死の形相で再考を訴えるチューゴ君。
それに対し、フラメンコ先生は優しく、それでいて強い視線を返しながら言いました。
「チューゴ君、あなたの気持ちは十分にわかっているけどね、
みんなが今どんな格好しているか見える? この病気で学校に来れなくなった子もいるのよ?
こんな言い方したくないけど、貴方がこの病気にかかった事をすぐに報告をしてくれたら、
学校全体に波及するような大事になることは、ある程度防げたと思うの。
それに、今の貴方の姿に、何の説得力もありません。一時間目が終わったら帰宅しなさい」
「・・・・・グッ・・・・」
忌々しげな視線を先生に向けながらも、唇を噛んでチューゴ君は席につきました。
それを見届けると、静まり返った生徒達に向き直り、フラメンコ先生は努めて明るく言いました。
「それじゃー、一時間目の授業を始めまーす」
一時間目が終り、鞄を抱えてふらつきながら、
チューゴ君はニホンちゃんの席に近づいて来ました。
「ニホンも・・・ゴホ・・・朕の家を避けるアルか・・・?」
「うん・・お母さんにも言われてるし・・・普通に遊びに行くのはちょっと・・・
お大事にね、チューゴ君・・・何か私でできることがあったら言ってね・・・」
「・・・じゃあ、一つ頼まれてくれないアルか?」
「・・・・・?」
「ゴホ!・・・ゴホ!ゴホ!・・・・ゴホ・・・・」
中華アパートでは、今日も学校をお休みした香ちゃんが自室のベッドに横たわっていました。
しかし、絶えず咳き込み、眠ることもままならず、意識も朦朧としています。
その香ちゃんの耳にノックする音が聞こえ、ぼんやりとドアの方に目を向けました。
「ただいまアル・・・香・・・気分はどうアルか?」
「あ、チューゴ兄さん・・・うん・・・もう大・・・ゴホゴホ!・・・」
心配そうに顔を覗き込んだ兄に対し、香ちゃんは無理に体を起こそうとするも、
気力に体がついていかないことを露呈するだけでした。
そんな香ちゃんの体を、チューゴ君はゆっくりとベッドに横たえました。
「・・・無理しなくていいアルヨ、そのまま寝ているアル・・・ゴホ!」
「ごめんね・・・・兄さん・・・私のせいで・・・」
「まあ・・・もとは朕から・・・いや、ところで、今日は香に土産があるアルヨ、待ってるヨロシ」
と言って、チューゴ君はふらつきドア横の壁にぶつかったりしながら、部屋の外に出て行きました。
何だろうと思ってドアの向こうに視線を向けると、チューゴ君が息を切らせながら
両手いっぱいの大きさの段ボール箱を抱えて入ってきました。それも一つや二つではありません。
数分後には、香ちゃんの部屋いっぱいに、段ボール箱が積まれてしまいました。
ようやく一段落ついて、ベッドの側に座り込んだチューゴ君に、香ちゃんは聞きました。
「・・・・・・・これは?」
「ハァハァ、ニ、ニホンの家のヤ○ルトアル、病原菌に良く効くとネットにあったアルヨ。
これを飲んで早く治すヨロシ・・・・お前には・・・ゴホ・・・元気でいてもらわないと困るアルヨ・・・」
「・・・・・・・・」
香ちゃんは少々眉をひそめました。正直言って、ヤク○トを飲んで病気が治るとは思えません。
しかし、目の前で肩で息をしているチューゴ君の姿とその真剣な表情を見ていると、
もしかしたら本当に効くんじゃないかという気持ちも生まれてきます。
何より普段冷たい感じの兄が、自分のために一生懸命用意してくれた事が嬉しくてたまりません。
「・・・・・謝謝、兄さん・・・でも、こんなに一人じゃ飲めないヨ・・・兄さんも一緒に飲も?」
「あ・・・ああ・・・」
チューゴ君は赤らんだ顔を、少しだけ縦に動かしました。
(おまけ)
カンコ「みんなビクビクし過ぎニダ!ちゃんと予防対策をしておけば
こんなウイルスケンチャナヨニダ!」
ニホン「・・・・・・それがわかっているのに、何でカンコ君はウイルスにやられてるの?」
カンコ「どういう意味ニダ?」
ニホン「・・・・・・・・・・・・・コンピューターウイルス」
カンコ「アイゴ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
おしまい。
解説
ナナッシィ
投稿日: 03/04/06 13:08 ID:aj3Yhzc3
不得手なりに情景描写もやってみたナナッシィです。
匿名殿とネタが被ってしまいましたので、何とか矛盾しないようつなげてみましたが如何でせう?
(SARSについて)
ttp://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/sars/
<新型肺炎>旅行延期のWHO勧告に取り消し求める 中国
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030404-00000069-mai-int
<新型肺炎>中国の感染対策「消極的」 WHO事務局長報告
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030405-00000074-mai-soci
SARS感染情報、公開しなかった中国政府に批判集中
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030403-00000315-yom-soci
香港でヤクルトの売り上げ急増、SARSに効果のうわさ
ttp://www.asahi.com/special/sars/TKY200304040308.html
SARS、懸念されているほど怖くない
ttp://japanese.joins.com/html/2003/0403/20030403200549400.html
韓国のコンピュータウイルス感染率、トップ
ttp://japanese.joins.com/html/2003/0404/20030404172433400.html
ちょ〜っとチューゴ君のキャラが違うような肝しますが、まあ、ケンチャナヨ〜。
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