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第1999話 シェロ 投稿日: 04/09/30 02:56:34 ID:UmgPZuul
「ある男の回想」

夕日に赤く染まった時計台。それを囲む鉄条網。
ここが俺達の、最後の要塞。
「・・・・・・なんか、平和だな」
奴が呟く。大人たちとの話し合いの期限は今日。
明日になれば、大人たちはここに攻め込んで、俺らを追い出そうとするだろう。
でも、今ここにあるのは不安感でなく、高揚感。わくわくがこみ上げてきてる。
「きっと、これが俺らの学園祭なんだよ」
俺は奴にそう言って、二人で笑った。
「最後の学園祭にならないように、あがけるだけあがこうか」
奴は笑いながらいった。

次の日、俺達は時計台で大人たちとにらみ合いを続けていた。
ひりついた空気が辺りを包む。大人たちのリーダーが、大声で叫んだ。
「突 撃 !!」
その一言で大人たちがなだれ込むように押し寄せてくる。
俺達の最後の戦いが今、幕を開けた。
警棒と楯でフル武装した大人たちを、俺らは角材や火炎瓶で迎え撃つ。
しかし多勢に無勢。少しずつ戦況は不利になり、仲間はどんどん捕まっていった。
「わあぁ!!」
叫び声がした方を向くと、奴が大人たちに囲まれていた。どんくせえ奴だ。
俺は角材を手にその群れに飛び込む。
「おい!大丈夫か!ここは俺が食い止める、お前は逃げろ!」
「!!バ、バカ野郎!お前を置いていけるかよ!」
「へっ、こんな奴らに俺がやられるとでも思ってるのかよ?すぐに追いつく。
いいから行け!お前は、生き延びろ!!」
「・・・・・・すまねぇっ!」
奴が走り去るのを、俺は横目で確認した。
へへ、あの台詞映画で見てから一度言ってみたかったんだよな。
かっこいいだろ?こーゆーの。
「イィィヤッホォォォイッッ!」
俺は喚声を上げると、角材を振り回して大人たちに飛び掛っていった。

・・・・・・今となれば懐かしい思い出さ。
大人に歯向かう事がカッコイイと思ってたガキの頃の。
あの日、時計台が陥落して、俺らの祭りは終わった。
終わったら親にこってり絞られて、学生に戻って、遅れてた勉強のやり直し。
そして学校を卒業して、就職して、
今じゃ俺はシシローさんのパートナー。
何かとすぐ「謝罪しる!」とか駄々こねるガキ共相手に頑張ってるよ。
あの時、俺らが壊したいと思ってた、俺らの家を守るために。 

なぁ友よ。あれから一度も会ってないけど、きっとお前もどこかで
俺らの家を守るために頑張ってるんだろうな。


・・・・・・・・・・・・・・へっ?
サヨックの奴、まだやってんの!?

解説 シェロ 投稿日: 04/09/30 03:08:37 ID:UmgPZuul
2000ゲトー!・・・・・・・アレ?
というわけでシェロでございます。
今回のネタは、
新外務相町村信孝氏が東大紛争経験者であること
今の日本の企業トップのほとんどが学生闘争世代であること
学園祭とか夏休みとかイベントが終わった後もなんか戻れない奴が一人くらいいること
を元としたサヨックおじさん萌え話でございました。
なのではっきりしたソースはございません!(←威張るな)

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