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第2153話 黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 05/02/12 02:37:05 ID:5B3EbZxA
 「 花 火 宣 言 」
  今日も授業が終わり、みんなが学校から出てきました。
 冬の風に吹かれて、みんながマフラーや手袋をつけていると、
 アメリー君が校舎を振り向いて驚きました。
「な、なんだよこりゃ?!」
 みんなも校舎を振り返ると、
 いつの間にか校舎の壁に赤いスプレーで落書きがしてありました。
『 ウリは花火を持ったニダ!これからガンガン増やすニダ!
  ウリに話をして欲しかったら口の利き方を改めるニダ!
     将軍 キッチョム 』
「俺へのあてつけか?」
 アメリー君は今後の方針を発表したばかりです。
「朕を愚弄するアルか・・・他の家に大恩人とあがめられる予定だったアルに」
 ドサッ・・・物が落ちる音がしたのでみんなが振り向くと、
 そこにはニホンちゃんとウヨ君が目を見張って立ちつくしていました。
「ど、どういうこと・・・やっぱり話し合いじゃダメだったってこと・・・?」
「あの野郎、もう勘弁ならねえ!家を封鎖して締め上げてやる!」
 アメリー君がなだめました。
「まあ落ち着いて、2人とも。これは俺への当て付けだよ。張ったりだって」
「でもアメリーさん、2月11日はうちの記念日なんです。やってくれますよ、こいつ…
 これじゃ祖先に顔向けできない!」
 ウヨ君が祖先と言うと、その場の全員が凍りつきました。
 ただ紫苑ちゃんだけは優しくウヨ君をなだめるのでした。
「ウヨ君、こういうときこそ冷静にね。私もニッテイさんの戦い方は随分参考にしたけど」
「僕は紫苑さんが羨ましいです!バビロン作戦のこと…」
 バビロン作戦、それは以前イラク君が花火を作ろうとしていた時、
 紫苑ちゃんが奇襲攻撃で、出来かけの花火工場を吹っ飛ばした時のことです。
「何を言い出すアル、ウヨ!」
 紫苑ちゃんは残念そうに答えました。
「待ってウヨ君。もしもキッチョムの工場がもう稼動しているなら、
 あの手を使うのは危険よ」
「そんな!」
 そこへアメリー君が割って入りました。
「おいウヨ君待てって。ニホンちゃんも聞いてくれよ、
 ウチが花火とエアガンの本家だってことは知ってるだろ。
 紫苑が持ってなかった新型でいくらでも料理してやるからさ。
 それに防御用花火も研究中だし、新型イージスもキッチョムの家との間に回してるじゃないか!」
 アメリー君、力説しながらうろたえています。実はここにいる面々、
 日之本家を除いて全員花火を持っているのです。ですが、
 花火を持つ家は少ないほど良いと思っているため、
 どうしても言い訳がましくなってしまうのです。
「アメリー君には感謝しているけど、これからずっと花火と向き合うのかと思うと…」
「まあニホン、ラーメンでも食べながら落ち着いて話さないアルか?」
 ウヨ君がその言葉をさえぎりました。
「それより姉さん、帰って父さん達と相談だ!」
「そうね!じゃみんな、悪いけど私帰るね!」そう言って走り出しました。
「ま、待った!ニホンちゃん!」
止めようとしたアメリー君にニホンちゃんの言葉が聞こえました。
「やっぱり武士の言う通りにしていればよかったね…」
「なっ・・・」
 言葉を失うアメリー君に、エリザベスちゃんが声をかけました。
「驚いていても何も始まらないわ。何処まで許すか考えましょう」
「それともアジア町でも友人を減らすの?」
 フランソワーズちゃんが口元に笑いを浮かべています。
エリザベスちゃんは構わず続けました。
「持つ気にさせないよう、なだめすかす、
 持たせないためにも、あなたが敵を処分する、
 怒らせたとしても持たせない、
 持たせて関係を保つ、いずれかよ」
「そりゃ反撃の約束をして今の関係を保つ、に決まりさ。俺にはその力がある」
 そこへフランソワーズちゃんが付け加えました。
「持ったら関係を切るって道も有りそうだけど。
それじゃあなたはベスと紫苑しか友人がいなくなるわね」
「でもあなたより長い歴史と常に安定した家族関係、アジア町での信用があるわ。
 持った後でも誰かと違って言いたい放題なんてしないのではなくて?」
「あら、ご自分の家よりウチが先に成立していることをお忘れなく」
 そこへ紫苑ちゃんが疑問を投げかけました。
「だけど、危険な環境と独自の歴史を持つ国に、それがいつまでも通じるかしら」
 アメリー君は必死に言い返します。
「あそこにはウチの駐車場もあるし車も置いてる。無敵の俺が守ると約束しているんだぞ」
 チュウゴ君はキッチョムの落書きを見て言いました。
「いよいよ日ノ本家が目を覚ましたアルか・・・あいつを長く生かし過ぎたアル!」
 そんなみんなの話を影で聞いている人影が。キッチョム君?いやカンコ君でした。
 あれ?何故か涙を流しています。しかも感激のうれし涙のようです。何故でしょう?
「今日はお祝いニダ!奮発して高い肉いっぱい買うニダ〜」
 そう言って走り去りました。
 その夜、キッチョム家は鍋を囲んで焼肉食べ放題です。
 何と、キッチョム君の向かいにはカンコ君が座って鍋をつついているではありませんか。
「いや〜今夜の肉は格別うまいニダ」
 カンコ君上機嫌です。
「で、カンコ、みんなは何と言っていたニダか?」
「兄さんにも聞かせたかったニダ。
 アメリーはウリを必ず守ると言っていたニダ。ウリの事は信じきっているニダ」
「おお、それは好都合ニダ。日頃の努力が実ったニダな」
「チュウゴ君がニホンを長く生かし過ぎたと言っていたニダ」
「本当ニダか!それならニホンがチュウゴ家とウリナラの下女になる日も遠くないニダ」
「それがニホンだけじゃないニダ。エリザベスも、フランソワーズも、紫苑も、
 みんなウリナラが独自の長い歴史を持つ国と認めていたニダ!」
「カンコ、それは捏造じゃないニダろうな?」
「本当に聞かせたかったニダよ!
 エリザベスはウリナラには長い歴史を持ち、家庭内は常に安定し
 アジア中から崇拝されていると言っていたニダ。
 フランソワーズはそれを何も否定しなかったニダよ!」
「あの高慢な2人が!実はウリに気があったニダね。2対2で丁度いいニダ」
 キッチョム君いつも以上にニマニマしちゃってます。
「紫苑も、ウリナラは昔からチュウゴ家や日ノ本家に囲まれながらも、
 独自の文化を守ってきた家ニダから、花火を持つのも無理はないと言っていたニダ」
「あの成績トップの紫苑まで!意外とウリナラはモテモテじゃないニカ!
 お前も良く頑張ったニダね。今日の肉もおいしいニダ」
「しかし兄さん、今日の兄さん家のお米、ものすごく美味しいニダ」
「これはレアな物ニダからね〜」
「炊き加減変えたニカ?」
「違うニダ。アメリー家の非売品がタダで手に入ったニダ。あの米袋を見るニダ」
 キッチョム君の指差す米袋には星条旗と十字架が印刷してありました。こんな注意書きも。
  【 バージニア教会より恵まれない子供達へ  販売不可 】
「すごいニダ兄さん!」
「ウリもただ籠もってるだけじゃないニダ。これ以上のご馳走がこれから手に入るニダ。
 ビデオばっかり見ていたけど、どうやら学校に行けばモテモテの様ニダね」
 2人は笑いの止まらない夜をすごしました。
「「 誇 ら し い で す ね 〜 、 ホ ル ホ ル ホ ル ホ ル …」」
  おしまい

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