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第2181話 放置=ウィン ◆0x.mxZktEk 投稿日: 05/03/07 02:27:16 ID:NKWs6gjk
修学旅行の夜 AM02:00 

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地球組の男子部屋は重苦しい空気に包まれていた。
2時間ほど前に放った3人の勇者たちから何一つ連絡がないのだ。
すわ、作戦失敗かと・・・ざわ・・・・ざわ・・・と静かに動揺の声が流れる。

(どういうことじゃ、今頃は女子の×××の上映会となっているのに
 カンコたちはしくじったのか)
(失敗だけならばよい・・・。この作戦の全貌が明らかになれば
 われ一同はホテル回しの上、正座で夜を明かすことになるぞ)
(むぅ・・・。だから、女子風呂を覗く作戦を取るべきだったのじゃ!)

そんな雰囲気の中、クラスの誰もよりも焦燥感に駆られているのは、
作戦の考案者であるチューゴ君でした。

(むむむ・・・。これでは私の面目が立たないではないか・・・。)

ガチョウの羽を口元にあてて、思案に暮れるチューゴ君の前に、
一人の浅黒い少年が進み出ました。
「チューゴさま、それがしを偵察に送ってくだされ。」

この少年こそチューゴ君の忠臣である「鉄壁」ミャンマーであった。

彼は以前に暴力沙汰を起こしてクラスから吊るし上げを受けたのだが、
チューゴ君だけは彼を擁護し続けたのだった。
ミャンマー君はこの時の恩を忘れずに、チューゴ君の忠臣として
彼の背中に従っているのである。

チューゴ君にしてみれば、ほかに打つ手もありません。
「是非もない。」とうなずいて、ミャンマーの申し出を受けるのでした。
タタタタッ・・・・

静寂が支配する夜の廊下を、ミャンマーの足音がだけが響いている。
山育ちの彼の健脚は、長い階段もものともせずに駆けていた。

彼の走りに迷いがしたのは、血の匂いを鼻腔に受けてからである。
そして、その角を曲がったとき、彼の不安は的中した。

キッチョム君が血まみれで床と接吻をしていたのである。
ミャンマーはその体にあわてて駆け寄った。
「しっかりしろキッチョム!!こんなところでくたばるんじゃねえ!!」
「へ…へ……いや……オレは もうだめみてえだ…」
「バ…バカヤロー………。お…おまえにはまだ…チューゴ様のために
 女子の×××を××して、××××にする仕事が残ってるだろう!
 お…おまえが死んだらどうするんだよ!!」

涙を流して体を抱きしめてくるミャンマーに、キッチョムは不適な笑みを
浮かべながらウィンクを返した。

「フ……へ…へ…オ…オレは、カンコがいるからなにも心配してねえよ。
 へっ…コレのために死ぬってのはなかなかのもんだぜ…」

そういって、キッチョム君は飲みかけの「桃の天然水」(500ml Pet)を
震える手でミャンマーに渡すのでした。

「キッチョム…コレ、ニホンチャンの…」
「フッ…少し…カッコよすぎるな………」
「バッ…バッ…バカヤロ〜!!てめえカッコよすぎるよ!!」
「………………」

号泣するミャンマーの胸の中で、キッチョム君の目は静かに閉じた。

午後2時26分32秒 キッチョム リタイア・・・・。

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