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第2270話 必勝必罰 投稿日: 2005/06/13(月) 20:43:05 ID:FXihGnbb
仕事帰り、ニホンパパがチュウゴ家の前を通っているところでした。
「おいしい魚〜新鮮なお野菜〜貴州省から空輸された緑茶葉、お客さんひとついかがアル?」
パパは足を止めました。
「いくらだい?」
「今、買い時ネ。パパさんいつもご贔屓にしてるから、パパさんだけ。100円均一アルヨ!」
「100円!?」
あ、あやしい、毒でも入ってるんじゃないか・・・
一瞬躊躇しましたが、パパは冷静に考えました。
このところの家計事情を見てみろ、10年間なんとかお母さんの発明品で家の財政は支えられてきたが、俺の収入は下がる一方。
ここで、夕食事情を改善すれば、一家の大黒柱のメンツも保ち、かつ今月の小遣いも上がって、酒もタバコも解禁だぞ自分!
「全部くれ!」
「まいどアルヨー」
その日の夕食は、鯖の煮付けと、ほうれん草のごまあえと、お茶でした。
(みんなが食べて大丈夫そうだったら食べるか・・)
お父さんは箸をもったまま、家族を見渡しました。
そして、変なことに気づくのです。何故か、みんな自分の箸の先に注目していることに。
(まさかばれた!?)
「お父さん!」
突然、ニホンちゃんがお父さんの肩をもみました。
「いつも働いてくれてありがと。この鯖のみそ煮は私が作ったんだ。お・い・し・く・食べてね」
「この前から茶道をはじめまして、少し気合いを入れて煎れましたのよ・・・」
お母さんは両手を添えて、お茶を差し出しました。
「このほうれん草のごまあえはボクが作ったんだ。まだ子供だから、おいしいとはいえないかもしれない・・・」
「なんでみんなそんなに親切なんだ」
「「「だって今日は父の日じゃないか!」」」
(何そのご都合設定)
「さあ!早く一家の大黒柱であるあなたから食べてください!」
「遠慮しないで!」
「そうじゃないとボクたちはおそれおおくて箸をつけられない!」
好意の攻撃に晒されて、パパは食べられないYOとは言えず、震える手先で鯖のみそ煮に箸をいれました。
ゴクリ。
ウヨ、ママ、ニホンの三人の緊張が一気に高まります。
「ちょっとまて、なんでみんなわたしにえらい注目してるんだ」
「何いってんだよ!大黒柱が食べるのに集中して何が悪いんだ!」
「そうですわ。何を気になさっているのか」
「私たちは当たり前のことをしてるだけだよ!」
怪訝な顔つきをしつつもパパは、思いっきり目をつぶって、鯖を喉に流し込みました。
「レレエレレ、アヒャー」
パパの脳みそがパンパンはじけ、いろんな空洞が出来はじめました。
いわゆるスポンジ脳です。
そこで、ママは心臓に注射針をグサッ!と音を立てて差し込みました。
するとみるみるうちにパパの目はよどんだ灰色から、黒色に戻っていきました。
「ハッ!賽の河原で小石を積んでたぞ!」
「そ!それは貴重な体験。次の同人のネタにいただきねっ!」
「じゃあ、次、私のお茶を飲んでくださいまし」
こんどはパパさん、口をつぐんで必死に飲まないようにしようとしましたが、ママさんのはぁっと耳に息を吹きかける大人攻撃に、口が緩み、熱いお茶が喉を駆け抜けます。
その瞬間、口と食道が帯赤黄色に染まり、後に青緑色に変化して、強烈な腹痛、痙攣を起こして、緑色のものを口からはき出しまして、気を失いました。
ママはオリジナル笑顔で、分液ろうとで作った気付け薬をコックを開いてじょぼじょぼ口から注入しました。
その瞬間、カメレオンのような肌の色が、通常の状態まで戻っていきます。
パパはカッと光を放ち、目を開きました。
「ハッ!黄泉比良坂で光る風を追い越してたよ!」
「じゃあ、今度はボク・・・」
「ちょ!ちょっと待て!私はもう食べないぞ!」
「まだ、父さんは腹ぺこのはずだろ?」
「ウヨ!何意固地になってるの!ごめんなさい。ウヨには料理はまだ早かったのよ!お父さんの口に合わなくても仕方ないわ!」
ウヨは虎のような殺気でパパをにらみました。
その目を見て、パパは確信しました。
「・・・ばれていたか。くっ・・・こんなもの食べさせようなんて、私が悪かった。ごめんな。みんな」
ウヨが二人に目配せをしました。
「これくらいでいいだろ?」
「こんなの食べさせよーとしたんだよー酷いよ」
「いえ・・・ウヨ。これくらいで許しちゃだめよ。」
ママは鋭い目をパパに向けました
「そうだったな・・・すまん。日本男児たるもの、けじめはつけねばなるまい。それにせっかくウヨが作ったんだしな・・・頂くとする!」
「え!ちょっ母さん。もう薬にストックは無いんだよ!」
パパは箸をほうれん草のごま和えにのばしました。
ウヨ君は机の上に乗り出しました。
「待って!父さん!」
しかし、時すでに遅し、ほうれん草はごくりと喉を通っていきました。
ママはくすりと笑いました。
その頃のチュウゴ家。
「アイヤーニホンはすぐ騙されるアルネー」
「我達は自分の家の作物なんて怖くて食べられないアル。さすが、東夷は違うアル」
「お料理ができました・・・今日はほうれん草のごま和えです」
「ちっ、自分で料理はできんのかチベットママ・・・いつもニホンのお裾分けばかりで・・・まあ、チベットママよりうまいから、イイけどアルネー」
「・・・」
ぱくっ
「これはまた美味、ふぅ・・・ん。なんだか顔が大きくなっていくような、アレ?アレェエエエエエエエエエエ」
ブシュッ
「へ?父?ど、ドドドドドッドドドッドどうなっツウウウ」
ブシュッ
「え・・・?」
チベットママはその光景を見て、ぺたりと座り込んでしまいました。

「まあまあ、そのほうれん草は私のとすり替えておきましたわ」
「え!?」
「だって、一家の大黒柱に先立たれては困りますしね」
「母さん・・・」
「ふふ、今度からこういうことはやっちゃだめよ。世の中は”必勝必罰”なんだから・・・ね♪」
そういうと母さんは父さんのほっぺに接吻をしましたとさ。
今日も地球町は平和です。

解説 必勝必罰 投稿日: 2005/06/13(月) 20:51:41 ID:FXihGnbb
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050423-00000000-scn-int
緑茶の葉から毒性強い「クロムグリーン」検出
http://www.artnavi.ne.jp/representation/gazai/a-3-1-4-4.htm
クロムグリーンの毒性
http://www.excite.co.jp/world/chinese/web/body/www.peacehall.com/news/gb/china/2005/01/200501111538.shtml?SLANG=zh&TLANG=ja&wb_lp=CHJA
汚染が発生して大量の魚の死亡
http://earlybirds.ddo.jp/bunseki/Data/famires.html
外食店などのほうれん草調理品からの残留農薬分析結果

( ゚Д゚)y―┛~~うーむ。皆さんアベシしないよう気をつけましょう。

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