戻る
<<戻る
|
進む>>
第2296話
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/07/10(日) 11:42:26 ID:bxx9hspx
「彼女の見る夢、黒い夢」
その日、ニホンちゃんはどこか頼りない足取りで廊下を歩いていました。
足取りだけではありません。見慣れた校舎も、窓から見る風景も、なんだか
輪郭がぼやけて現実感というものがありません。
「そうよ、此はきっと夢ね。私の見ている夢なんだ、きっと」
風景と同じようにぼんやりした頭でそう考えるニホンちゃん。
「そう、じゃ何でも私の思うままになるはずよね」
そう呟くと、そのままふわふわした足取りで彼女は教室へ向かいました。
教室に入ると、ターバンを巻いたイン堂君が一人頬杖を突いて
空想に耽っていました。きっと次の映画の構想を練っているのでしょう。
うふっ、と笑うとニホンちゃんは彼の傍らに近寄りこう言いました。
「ねぇイン堂くーん。私、君の撮る映画、大好きだよ」
「えぇ、ああ、ニホンちゃんか。気に入ってくれて嬉しいよ。
でもアメリーのに比べるとちょっとスケールが足りないかもね」
くすぐるような吐息に現実に戻されて、ちょっと吃驚しているイン堂君。
でも、驚いただけではないのは真っ赤になった彼の顔を見れば判ります。
其処で彼の左肩に両手を添え、耳元にこう囁くニホンちゃん。
「それに、お父さんもお母さんも言ってるのよ、イン堂君は出来る子だから
もっと仲良くした方がいいよって」
ちょっと見上げるような視線で、子猫のように微笑むニホンちゃん。
「ん、ああ、でもチューゴの奴が何かと五月蠅くって」
「あらあ、あんな奴が怖いの?昔喧嘩したんでしょ。私がっかり。
それに隣のチベちゃん虐めて追い出した様な嫌な奴なのよ?」
自分の中に”漢”としての感情が芽生えるイン堂君。
「あんな奴、怖くなんか無いよ。ニホンちゃん、此からよろしくね!」
イン堂君をあっさり籠絡したニホンちゃんは、それからも次々と
お友達を手練手管の限りを尽くして攻略してゆきます。
「ねぇフランちゃん。この間の漫画どうだった?」
「ああ、なかなかの出来でしたわ。特に可愛らしいバンパイアと
そのシモベの倒錯した愛のお話なんて胸が躍りましてよ」
「気に入ってくれてありがとう。でも次はちょっと遅くなりそうなの」
「どうかなさってニホンさん。私でお力になれるかしら?」
「うーん、隣でチューゴ君が鉄砲のオモチャで騒ぐから創作活動が、ね」
「まぁ、何という事かしら。もうあの方にオモチャは売ってあげませんわ」
「ねぇ、香ちゃん。お小遣いお兄さんに巻き上げられてるって本当なの?」
「そうなのアルヨ。もう、お兄さまったら横暴で横暴で」
「判るわ、そのキモチ。ねぇ、私達って仲良くなれそうじゃない?」
「ねぇアメリー君。チューゴ君って最近ちょっと狡くない?
なんかさ、他の子とモノをやりとりする時だって、
勝手にマイルール押しつけてくるし。私、もうやってらんないよ」
「まったく其の通りさ。実は僕もアンフェアなやり口が鼻についてたんだ。
もう今まで通りになんかさせるもんか!」
「ねぇタイワンちゃん。私達って親友だよね?」
「当たり前じゃないの。今更どうして聞くの?」
「ううん、何でも。たださ、お友達同士なんだから、番犬同士も
仲良くした方が良いよね、って思っただけ」
「感激よ、私も最近チューゴの奴が垣根越しに覗きに来て困ってたの」
何だか凄い戦果が上がっちゃってる、絶好調のニホンちゃんです。
「おお、何という事アルか!歴史有る我がチューゴ家の栄光が!」
茫然自失、意気阻喪、四面楚歌、阿鼻叫喚のチューゴ君です。
それもその筈。絶好調だったはずの他の子達との取引きもマイルール
を禁止され、それをきっかけに沢山あったアメリー君やニホンちゃんが
いきなり取引きを減らしてしまったのです。
それならと鉄砲のオモチャでチューカアパートの人達を虐めようとするの
ですが、今度はフランソワーズちゃんがオモチャを売ってくれません。
香ちゃんからお小遣いを巻き上げようとしたら睨み返されるは、
追い出したチベちゃんが五月蠅く騒ぐは、タイワンちゃんがニホンちゃんや
アメリー君と番犬のトレーニングを始めるは、ニホンちゃんはお墓参りに行
くは、社交ダンス部に入れて貰えないは、G4が仲良くしてるは、花火遊び
を禁止されるは、EUが両目を開くは、カンコ君とキッチョム君がすり寄っ
てくるは、不幸が親戚一同を引き連れて亡命して来た様な状況です。
「うふふ、やっぱり夢の中って楽しいわねぇ」
不気味に笑うニホンちゃんです。
「ニホンちゃん、大丈夫?」
保健室のベッドの上で目を覚ますニホンちゃんです。
傍らでタイワンちゃんが心配そうに見守っています。
そうか、チューゴ君に変な風邪うつされて急に熱が出たんだっけ。
それだけ思い出すニホンちゃん。まだ、頭の芯がくらくらしています。
まだしっかり喋れないニホンちゃんに、タイワンちゃんがこう囁きました。
「ねぇ、さっきの一緒に番犬同士仲良くさせる話、私的にはオッケーだよ」
解説
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 2005/07/10(日) 11:51:14 ID:bxx9hspx
さてと、解説、解説っと
取り敢ず、お祭りには参加せねばなるまい。
と云う事で投下させて頂きました今回のお話ですが、
元ネタは最近のチューゴ君を巡る国際状況+
チューゴ君がしては欲しくない幾つかの事柄、
な訳です。
つか、ここまで徹底して遣ったら
チューカアパート分裂してしまいますか?
まあ話が物騒になる前に止めときましょう。
ん、じゃ、出来る限り近いうちにお会いしましょう。
ノシ
この作品の評価
結果
その他の結果
選択して下さい
(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
コメント: