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第25走者
どぜう
投稿日: 2004/07/25(日) 12:33
「夏のニホンちゃん祭り『となりのニホンちゃん』第25走者」
その1
口の中に広がる、経験したことのない刺激。
意識が徐々に鮮明になってくる。
目を開く、視界一杯に広がる広野ががくんがくんとゆれていた。
「アアアア、痛い痛い痛いニダああああ、イラク君勘弁してくれニダあ!」
「もが?!」
ありゃ、またやっちまったか。
「お、おう悪い悪い」
「も、元に戻ってくれたニカ?」
よりによってカンコに噛み付いてたのか、俺は。
ききききっ、
勢いを緩め、立ち止まったカンコの頭から口を離す。
…なんか酸っぱいような塩辛いような、妙な刺激の味だった。
奴の肩から下りて、改めて向き合ってみる。
カンコの頭には俺の歯形が2つ3つ…たくさんついていた。
「カムサハムニダ、イラク!」なんでか知らないが感謝された。
「いや、詫びを入れんのはこっちの方だ、なんか知らねえけど、
最近妙に胡乱になるときが多くってな」
「ケ、ケンチャナヨ、ウリもニホンに謝罪を要求すると、時々そうなるニダ」
いっしょにすんなよ。
と、いいかけたが、俺の発作が早めに収まったのも、
コイツの妙な刺激のある血のお蔭かもしれない。そう思って云うのをやめた。
「じゃ、ウリは急がなきゃならないニダ、イラク君、これくらいでさよならニダ」
「へ、なんだ?急いでるのか?」
「そうニダ、今日の21時までに宿題を届けなきゃならないニダ」
「あー、そういや、そんな風にフラメンコに云われてたなあ、お前」
その2
「というわけで、さらばニダ!」しゅたっ!と手を上げて、
別れの挨拶をしようとするカンコの肩を、俺はやんわりと掴んだ。
「どうもお前には迷惑かけちまったようだしなあ、ちょっとツラ貸せや。な?」
「ひ?な、何するニカ?ウリはヒゲは生えてないけど、ノーマルニダよ?」
「安心しな、別にハッテンしようとかそう云うこっちゃねえよ、手助けしてやらあ」
「あ、そ、そうニカ?そうしてくれると有り難いニダ!」
そう云って、俺は秘密の隠れ家に奴を案内した。
「ま、最近ちょっと家でゴタゴタがあって整備は怪しいんだが、これ使えば一発で行けるぜ」
「…こ、こ、こ…」
「くれぐれもアメリーの奴には内緒だぜ?」
「…こ、こ、これは…」
「乗るところはないんで、ちょっとロープで縛らせてもらうな、悪ぃな」
俺の秘蔵の特大ペットボトルミサイルだ。
アメリーのやつに渡すくらいならコイツの手助けに使っちまおう。
俺は手早くカンコをミサイルにくくりつけた。
「ちょ、あ、ウリ、ちょっとトイレに行きたくなってきたニダ…」
「大丈夫だよ、すぐつくから、な?我慢しろ」
「~~~~~~~!」嬉しがってるようだ。
「じゃあ、行くぜ、カンコ?…3、2、1…発射!!」
ごごごごごごごごおおおおおおおおおおおお!!!!
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
水煙を盛大にたてながら、雲一つない青空に、ペットボトルミサイルと一緒に奴は消えていった。
「ふ、嬉しそうだったなあ、アイツ」
柄でもない人助けに、我ながらくすぐったくなりながら、
俺は秘密の隠れ家を後にした。
「さて、また新しく作り直すか、ロケット」
ずぶ濡れの全身を通り抜けていく風が心地いい。
親父に頼まれた買い物を、早いところ済ませよう。
俺は市場への道を、一路、駆け出した。
(次の人に続く)
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