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第30話 餓島戦線異状なし 投稿日: 2005/05/16(月) 18:12
 事の発端は、ある日の午後にあった家庭科の授業でした。
 その日の家庭科は調理実習で、各家庭の伝統的なお菓子を作るという内容でした。そのままお茶会にしてしまおうという企画です。
 ニホンちゃんはさっそく、ニホンママ直伝の和菓子でクラスのみんなを感嘆させます。
 苦労して作っただけに達成感もひとしお。ところが、そこにアメリーくんの登場です。
「どれ、オレが味の方を見てやるよ」
 ぱくっ、もぐもぐ……ごっくん。
 あらあら、あれだけ手をかけた会心作があっという間にアメリーくんのお腹行きです。
 さすがに温厚なニホンちゃんもこれには激怒します。
 その日は、いや〜な雰囲気のまま終わりました。


 翌日。クラスの雰囲気は相変わらずです。大人たちですら口を挟めたものではないほどの険悪な空気に、授業もろくに成立しません。
 というかニホンちゃん、なんか怒って懐かしの某スポーツアニメを見ています。
 アメリーくん、内心(もういい加減にしてくれ……)と思いつつも何ともできません。


 そして、事件は給食の時間に起こりました。
 名作劇場よろしく食前のお祈りをすませたアメリーくん。
 空腹を満たすべく「いただきま〜す」を言ったところで誰かの接近を感知。顔を上げると、そこにはむすっとした表情のニホンちゃんが。
 がっしゃーーーん!!
 やっちゃいました。「秘奥義・ちゃぶ台返し」です。
 待ちこがれていた給食が一瞬で台無しになったことに、アメリーくんは呆然とするほかないのでした。

解説 解説 投稿日: 2005/05/16(月) 18:14
 最近司馬氏がいらっしゃらなくて寂しいのでウリも二次大戦ものに挑戦しました。
 元ネタは消耗戦だったことで有名な「激闘ガダルカナル・前編(?)」です。
 前に読んだことのある本の内容で思わず笑ってしまった部分をネタにしました。

 ミッドウェーでの敗北により戦略の転換を余儀なくされた日本海軍は戦場を中部太平洋から南太平洋に移し、アメリカとオーストラリアの分断を図ります。
 しかし、空母を消耗していた海軍は代わりとしてさらなる前線基地(飛行場)の設営を考え、ガダルカナル島に白羽の矢を立てました。
 苦労の末完成直前までこぎ着けた飛行場ですが、それを上陸した米海兵隊がかすめ取ったのです。
 その後敵の戦力を過小評価して(2度も)痛い目に遭い、やっとのことで重装備を送り込もうとして発生したのが「サボ島沖海戦」。
 米海軍による史上初の「レーダー射撃」で護衛部隊に手ひどい打撃を受けながらも、混戦のどさくさ紛れに待望の重砲の輸送に成功した日本軍。
 早速陣地に据え付け、いっちょ試し撃ちしようということになります。
 一方米軍では、上陸戦専門のはずの海兵隊のもとにやっと応援の陸軍部隊がやってきました。
 本来なら畑違いの防衛戦までやらされていた海兵隊の司令官は大喜び、さっそく昼食会を開いて歓迎するのですが……。
 司令官のスピーチが終わるとともに日本軍の砲撃が始まり、昼食会も吹っ飛ばされたそうです(笑)。

 ↓参考までに、地図です↓
 ttp://www.ne.jp/asahi/gaisui/iori/battle/battle6m1.html

 風刺と無関係なのでこちらにうp。

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