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第1219話 三毛 ◆wPntKTsQ 投稿日: 02/09/15 22:23 ID:NXfeWBc1
     「虫歯」

「アメリー君、ひどいニダ!!」
 穏やかな秋晴れのある日。なぜか頬を腫らしたカンコ君が、珍しくアメリー君に詰め寄りました。
「なんだ?おい、一体なんだよカンコ?」
「虫歯になったニダ!!」
 そう言って、パカッと口を開けるカンコ君。………おやおや。歯にことごとく大穴が開いていますね。それ
に、とんでもないみそっ歯です。
「う、うへー………。でも、なんで俺のせいになるんだよ?」
 流石のアメリー君も引きまくりですね。チューゴ君ならば、「見苦しいモノ見せるなアル!」と問答無用で殴
り倒しそうです。一応理由を聞いたあたり、いっそ天晴れかもしれません。
「コーラ飲んだからニダ」
「……………………………………………………………………………………………は?」
「ウリは毎日コーラ飲んでたニダ。だから虫歯になったニダ。アメリー君に治療費出して欲しいニダ」
「…………………………………………………………………………………………」
 見えない天使が通りかかり、すってんころりと転んで、えぐえぐと泣きながら駆け去るほどの時間が流れま
した。その間、カンコ君も、アメリー君も、横で聞いていたニホンちゃんたちも、みんな無言です。
 やがて。
「……バカなこと言ってんじゃねぇ!!大体コークのせいで虫歯になったって保証があんのかよ!?」
 案の定、烈火のごとく怒ったアメリー君が、カンコ君を締め上げます。その迫力に、顔面蒼白のカンコ君。
虎の尾を踏んだ挙げ句に、ぐりぐりと踏みにじってしまったのを、ようやく理解したようです。
 さらに、ニホンちゃんが、ため息まじりに問いかけました。
「ねえ、カンコ君………そもそも、真面目に歯を磨いてるの?」
「………………………………………………」
「………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………アイゴーッ!!」
 高い高い秋空に、カンコ君の嘆声と、アメリー君の怒声が、いつまでも木霊するのでした。

                                        おしまい


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