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第1222話
サバイバー・1
投稿日: 02/09/17 17:28 ID:NwTZa68z
天高く、馬肥ゆる秋。
ニホンちゃん一行は、ピクニックに行くことにしました。
面子は、ニホンちゃんとウヨ君、タイワンちゃん、アメリー君とラスカちゃん
ノーベル君と、フランソワーズちゃん、そしておなじみカンコ君。
「いい天気でよかったね、ニホンちゃん」
「そうだな、で何処に行くんだ?ニホン」
「うん、今日はねぇアオモリの間のハッコウダ山に行こうと思うの」
・・・ハッコウダ山は、かつてニッテイさんがリクグンさんたちとピクニックに行って
遭難したり、リクジさんが訓練に行って病院送りになったりといわくつきの山です。
子供だけで大丈夫でしょうか?
道中、カンコ君が「ピクニックはウリが起源ニダ」といってフランソワーズちゃんの肘鉄を
喰らったりもしましたが、一行は山頂に到着。
美味しい空気と一緒に美味しいお弁当を頬張りました。
しかし、帰り道・・・。
「ニホンちゃん、霧が深くてよく見えないよ!どっちに行けばいいんだい?」
「えーとねぇ・・・北かなぁ」
「北は私たちがきた方角ですわ。南じゃなくて?」
「アイゴー、帰れなくなったのはニホンのせいニダ。賠償しる!」
「これもバカンコが勝手にどっかいったからでしょ?ったく」
「この霧の中、下手に動くと遭難するぞ」
「姉さん、あそこに山小屋があるよ。あそこで休もう」
一行は、山小屋に避難しました。
「ここで待ってれば、助けが来るはずですわ」
「しかし、いつまで待てばいいんだ?」
アメリー君の失言で一同気落ちしてしまいました。
「俺が助けを呼んでくる。必ず帰ってくるから、みんなここにいろ」
「やだ、ラスカお兄ちゃんといる」
「大丈夫さ。ニホンちゃん、ラスカを頼む」
「う、うん分かった」
ニホンちゃんは、ラスカちゃんを抱きしめてなだめました。
「じゃあ、行ってくる」
「・・・僕も行くよ。ここの地理なんてわからないだろ?」
ウヨ君もアメリー君と一緒に山を降りる事にしました。
それからしばらくして・・・。
「お腹すいたねぇニホンちゃん」
「こんな事もあろうかと、非常食を準備していたのよ。食べる?」
ニホンちゃんが取り出したのは、魚の干物でした。でも、臭います。
「ニホンちゃん、ナニコレ?」
鼻をつまみながらニホンちゃんにたずねるタイワンちゃん。
「え?クサヤだけど。食べないの?」
「ゴメン、ニホンちゃんだけで食べて。私持ってきてたから」
「そう?美味しいのに」
ニホンちゃんは、他の人にも勧めましたがタイワンちゃん同様何かしらもって来たとのこと。
がっかりしながらクサヤをあぶりはじめました。
小屋の中にえもいわれぬ臭いが立ち込め始めました。
鼻をつまみながら、タイワンちゃんがリュックから取り出したものは・・・。
「何ですの?この悪臭は!」
「臭豆腐の何処が悪臭なのよ!あんたのもひどい匂いじゃない!」
「これはウォッシュタイプチーズですわ!
これが臭いなんてあなたの鼻はどうかしてるんじゃなくて?」
陰険な雰囲気ですが、お互い鼻をつまみながらの会話なので、凄みは感じられません。
「全く、二人とも臭いニダ。ウリナラ半万年の美食を見せてやるニダ」
カンコ君が激しいアンモニア臭を放つ何かを手に持っています。
「バカンコ!その物体は何よ!」
「これは、『ホンオ・フェ』ニダ。うまいニダよ。でも、口に入れたら深呼吸はダメニダ。
気絶するニダ」
その時、小屋に充満する臭気が薄らぎました。ノーベル君がドアを開けたからです。
「そうでしたわ、ドアを開ければ臭いもこもらなくて済みましたのに。気づきませんでしたわ」
「フランソワーズちゃん、こっちにこないほうがいいよ」
そう言うノーベル君の手には、膨らんだ缶詰が。
「そ、それはまさか、『シュール・ストレミング』!」
「知ってるの?フランソワーズちゃん?」
「あれを開けられた日には・・・」
ノーベル君は、意に介さず缶切りを缶にあてがいました。
しぶきと共に今までに無い臭気が小屋を満たしていきます。
「『家の中で開けるな、風下に人がいないか注意しろ』そんな危険物をあなた・・・」
小屋からはって出たフランソワーズちゃんは、やっとの思いで声を絞り出しました。
「え?小屋が風下にならないように気をつけたんだけど」
「や、山の風向きは変わりやすいのよ」
ニホンちゃんは、それだけ言うと、意識を失ってしまいました。
シュール・ストレミングを食べたノーベル君は
気を失ったフランソワーズちゃんとニホンちゃんを抱えて、小屋に戻りました。
カンコ君もタイワンちゃんもすでに気を失っているようです。
ラスカちゃんもすでに気絶していました。
ノーベル君はラスカちゃんの手に握られた物に気がつきました。
何か、鳥のような・・・。ノーベル君はそれを手にして顔を近づけてみました。
ノーベル君はばったりと倒れてピクリとも動かなくなってしまいました。
数時間後、救助隊を引き連れたアメリー君とウヨ君は
凄惨な光景に唖然としました。
「・・・この辺はガスは出ないはずなんだけどねぇ」
救助隊の人たちは、ニホンちゃんたちを担架に乗せて運んでいきました。
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