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第1271話
黒瓶
投稿日: 02/11/07 10:40 ID:wS5Yl9ef
悩めるアサヒちゃん
ある日の放課後です。
川のほとりに、ぽつんとアサヒちゃんが座っています。
手には小さなお花。どうやら花占いをしてるようです。
アサヒちゃんも女の子ですもんね。
・・・おや?でも口にしている言葉がちょっと違いますね。
「・・・・・・変える、変えない、変える、変えない・・・・・・」
最後の花びらです。
「・・・・・・変える・・・・・・」
茎だけになったお花を放り投げます。
「・・・・・・はあ・・・・・・」
眼鏡の奥の瞳は遠くを見つめいて、なんだか少し大人びています。
アサヒちゃんも悩み多き年頃なんです。
だけどアサヒちゃんは純粋まっすぐちゃん。恋の悩みなんかじゃありません。
キッチョム君が、ニホンちゃんの猫をさらったのを自ら認めて以来、
日之本家でのアサヒちゃんの立場が弱くなっているのです。
格好のいじめ相手だったニホンちゃんも、最近ははっきり自分の意見を
言うようになってきてうまくいじめられなくなっているのです。
おまけに親友のシャミンちゃん、サヨックおじさんもすっかり元気をなくして
しまってほとんど口を聞いてくれません。
アサヒちゃん、自分の膝に顔を埋めます。
「・・・・・・私、間違ったことしてないもん・・・・・・」
そうつぶやいた途端、心のずっと奥のほうで、ほんのちっちゃな痛みを覚えました。
(・・・・・・え?・・・なんで?・・・・・・)
思わず自分の胸に手をあてます。
すると今まで自分がニホンちゃんにしてきた、いろいろな嫌がらせやいじめが
思い浮かんで来ました。
そしてつい最近のことですが、キッチョム君家からニホンちゃんの猫が帰って
来たとき、その親猫たちが自分やシャミンちゃんに向かってにゃーにゃーと
怒ったように鳴いていたことも思い出されました。
また少し胸が痛みます。今度ははっきりとわかるくらいの痛みです。
頭の中がこんがらがってきました。
アサヒちゃんは、サヨックおじさんとシャミンちゃんのいうことを何の疑いもなく
信じきっていたのですが(シャミンちゃんはシャミンちゃんでキッチョム君の
言うことを何の疑いもなく信じていたのですが)、頭の隅の方では少し疑問が
あることも何回かありました。
でもそれを口に出すとシャミンちゃんとサヨックおじさんは物凄い勢いで怒り
始めるので、頭のもっと隅へ追いやって忘れてしまうようにしていたのです。
「あ・・・・・・」
とアサヒちゃん、そのシャミンちゃんとサヨックおじさんの怒り方が、自分が
ニホンちゃんに怒る言い方にそっくりなのに気づきました。
「・・・ふん」
思わず自嘲気味に笑うアサヒちゃん。こういうところは大人っぽいのですが・・・
と突然、
「アサヒちゃん!」
振り返るとそこにはザイちゃんが立っていました。
日之本家では仲がいい方なので、がんばって笑みを浮かべながら立ち上がります。
「どうしたの?ザイちゃん」
「どうもこうもないニ・・・わよ!あなた最近手を抜いてるでしょっ!?」
「え?て、手?手がどうかした?」
思いがけない剣幕に、混乱した頭がますます混乱するアサヒちゃん。
「手じゃないわよ!学級新聞よ!猫のことなんかより昔ニッテイがしたことを
もっと書いてくれないとますますニホンがつけあがるじゃないっ!」
「そ、そんなこといわれても今はそんな状況じゃ・・・」
「あなたが手を抜いてるからでしょ?私が日之本家に住まわせられてるのは
あなたのおじいさんのせいなのよ!ちゃんとわかってる!?」
「・・・・・・・・・」
返す言葉が出てきません。
『じゃあ帰ればいいのに』なんてセリフは思いもつかないアサヒちゃんです。
「ホントにしっかりしてよね。あなたがちゃんと昔のことを書いてくれないと
家で私の肩身も狭くなっちゃって、謝罪と賠償を要求できなくなっちゃうん
だからっ!・・・」
言いたいことだけまくしたてると、ザイちゃんはスタスタと足早に去って
行きました。
「・・・・・・・・・はあああ」
思わずその場にへたりこむアサヒちゃん。
・・・しばらくすると、何だか熱いものがこみ上げてきました。
鼻の奥がぐっと締めつけられるようです。
(・・・泣いちゃだめだ・・・泣いちゃ・・・・・・・・・)
感情的になると事実が見えにくくなる。アサヒちゃんはそう思ってできるだけ
感情を押し殺してきたつもりです(『充分感情的じゃんか!』なんてつっこみが
ウヨ君あたりから聞こえてきそうですが・・・)。
と突然、
「アサヒちゃん・・・」
振り返るとそこにはニホンちゃんが立っていました。
「!」アサヒちゃん、顔をそむけ目をこすります。
「・・・んと、なんか最近アサヒちゃん、元気ないんじゃないか、と思って・・・」
といいながらアサヒちゃんの横に座るニホンちゃん。
「何かあったの?・・・私でよかったら、話してくれない、かな?・・・」
(何ソレ嫌味?わかってるんでしょっ!?)
キッとニホンちゃんの方を向くと、いつもの力が抜けるようなニホンちゃんスマイル
「・・・・・・・・・」
ニホンちゃんの顔を直視できません。思わずまた顔をそむけます。
そんな気持ちを知ってか知らずか、ニホンちゃん優しく語りかけます。
「・・・そおだよねぇ。最近いろいろありすぎるもんね。パパの会社のこととか、
キッチョム君のこととか。アメリー君のいらいらも困っちゃうよね。私も頭ん中
もうごっちゃごちゃだもん」
くすくす笑うニホンちゃん。
それを横目で覗くアサヒちゃん、
(こんなに大変なのになんでニホンちゃんは笑っていられるんだろう?・・・)
「・・・でもね」
見透かされたように顔をのぞきこまれて、みるみる顔が赤く染まります。
「家族のひとりひとりが、ちょっとずつ元気だして、少しだけ笑う回数増やせば、
みんな元気になれると思うの。ちっぽけなことかも知れないけど、
アサヒちゃんと違って私にはそれくらいしかできないもの」
「・・・・・・え?」
「だってアサヒちゃん、学級新聞書いてるじゃない。すごいと思うもん。読んでて
勉強になるし。ただ・・・・・・」
「・・・・・・ただ?」
「え?・・・・・・えと、・・・もうちょっとだけ、私の悪口減らしてくれると、
うれしい、かな・・・」
ペロッと小さな舌をだすニホンちゃん。
「・・・・・・・・・」
アサヒちゃん、言葉が出てきません。
「・・・・・・・・・アサヒちゃんが、元気ないと私も悲しくなるもん」
また熱いものがこみ上げてきました。それをおさえるかのように、
「・・・・・・な、なんで、私なんか・・・・・・」
「だって同じ家族じゃない」
からんとした笑顔で答えるニホンちゃん。
アサヒちゃんはもうおさえきれません。
涙だけは見せまいと、振りきる様に立ち上がって、
「・・・私、ニホンちゃんのそういうとこ、・・・・・・・・・だいっっきらいっ!!!」
顔をあわせず走り去るアサヒちゃん。
「あっ、アサヒちゃん?・・・」
追いかけようとするニホンちゃん。と、
「姉さんっ!」
土手の上からウヨ君が引き留めます。
「え?だって・・・」
「そっとしといたほうがいい」
「え、私、なんか変なこといっちゃったかなぁ・・・」
おろおろするニホンちゃん。目もうるうるです。
「・・・あいつが天の邪鬼なだけだよ」
ウヨ君、ニホンちゃんにかけよりながら言います。
「で、でもすごく悩んでたみたいだし・・・」
「自業自得」
「で、でも・・・」
「・・・あいつの気持ち考えてやってよ・・・」
聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやくウヨ君。
アサヒちゃんが去った方を見る目には哀れみにも似た思いが浮かんでいます。
「・・・・・・・・・」
思わず後ろからウヨ君を抱きしめるニホンちゃん。
「わっ!ちょっ、姉さんっ・・・」
ウヨ君が振りほどこうとすると、ニホンちゃんはなお腕にぐっと力をこめます。
「・・・?・・・・・・姉さん?」
・・・実はニホンちゃんもいろいろ悩んでいたのです。
いろんな出来事がいっぺんに起きて、家でも学校でも周りがどんどん変わって
いって、いろいろ考えなきゃいけないことがたくさんありすぎるのです。
だけどみんなに心配かけないように、努めて明るく振る舞っているのです。
アサヒちゃんの気持ちも、充分とは言わないまでもわかっているつもりです。
・・・ニホンちゃん、今日はちょっと疲れがでちゃったみたいですね。
「・・・・・・変わらなきゃ、いけないんだよね・・・・・・」
ニホンちゃんがつぶやきます。
「・・・・・・・・・」
ウヨ君もあきらめたのか、ニホンちゃんに身を任せます。
「・・・・・・きっと、きっといつか、・・・みんな仲良くなれるよね・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
ウヨ君、何も言わずニホンちゃんの腕をぽんぽん、とたたきました。
日が落ちるのも早くなった、11月のある日のことです・・・
糸冬
解説
黒瓶
投稿日: 02/11/07 10:49 ID:wS5Yl9ef
ちょっち間が悪かったみたいっすね(汗
ソースは↓
【アサピー】朝日新聞、社論大転換の予感【キタ━(゚∀゚)━!】
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/news/1036565011/
「変える」は改憲ってことで・・・(苦しいか?)
拉致被害者を猫に例えるのは確かに心苦しい・・・
時事ネタかくとギャグなしになってしまいまつw
お目汚しすまそです。
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(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
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