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第1272話 書き人知らず 投稿日: 02/11/07 20:31 ID:wkXjg391
〜 魔法のことば 〜 (その1)

夕食の時間。それは楽しい一家団欒の時間でもあります。もちろんカンコ君の家も。
「アポジ、相談があるニダ。」いつになくカンコ君はマジです。「最近ニホンは生意気ニダ。謝罪も賠償も
してくれないニダ。」
「それは許せんニダ。ニッティ(以下略」ニッテイの名を聞くカンコアポジ。それは、赤旗をみた闘牛の如し。
とはいえ、そこはいちおう大人です。しばらく考えたカンコアポジは、ある言葉を息子に教えました。「この言葉を
聞けば、ニホン家の者はみんなイチコロ。最強のことばニダ。」
「さすがアポジニダ。早速明日使うニダ〜! ウリナラマンセー!!」
「マンセー!!」
夕食の時間。それは楽しい一家団欒の時間でもあります。もちろんカンコ君の家も。たとえ電波ゆんゆんでも。

翌朝の教室、まだ始業には時間があります。さっそく、カンコ君はニホンちゃんに詰め寄りました。
「最近、オマエは生意気ニダ。ウリが大人しくしてると思ったら大間違いニダ!」
なんのことやら全然判らないニホンちゃん、それでも言い返します。「なにがどうして生意気なの?」
また始まった・・・と、クラスのみんなは遠巻きにしてこの様子をみています。客観的にはニホンちゃんが
正しいと思ってるようですが、関りたくないのか、あえて火中の栗を拾うようなことはしません。
「そうやって言い返すとこニダ!」ビシッとカンコ君は指摘します。
(もう、なにを言ってもダメね・・・)そう思ったニホンちゃんは、無視することに決めました。
「無視するとはいい度胸ニダ。しかし、この言葉を聞くがいいニダ。」
「まだ用なの?」ニホンちゃん、カンコ君の方を見てしまったのが運の尽きでした。


〜 魔法のことば 〜 (その2)

「・・・というわけなのよ。ウヨ君なにか心当たりある?」
哀れ、ニホンちゃんは保健室に担ぎこまれました。心配したタイワンちゃんは、休み時間に様子を見に来たのですが、
全然治っていません。ときおり手足をばたつかせ、目の焦点は合っていません。そして、うわごとを言っています。
「ああっ火矢がぁ〜。船が沈むぅ〜。だめ、逃げて逃げて逃げてぇ〜。」

お昼休み。カンコ君とチューゴ君は、ひそひそ話をしています。
「ウリが本気をちょっとだしたら、このとおりニダ!」カンコ君、久しぶりに勝ち誇っています。
「なかなかやるアル。すこし見直したアル。」チューゴ君もご満悦です。
そこへ、ウヨ君を連れたタイワンちゃんがやってきました。「バカンコ!またなにかやったのね!」タイワンちゃんは、
胸倉を掴まんばかりの勢いです。
「ウリは知らないニダ。かってにニホンがおかしくなっただけニダ。」カンコ君はすっとぼけ、チューゴ君は
うんうんとうなづいています。
「姉さんは早退してしまった。正直に言え。オマエは、なにをした?」もともと短気なウヨ君、完全にキています。
「お、弟も来たアル。こういうのを<飛んで火にいる夏の虫>って言うんだな。カンコ、任せたアル。」
すっかりチューゴ君はボス気取りです。
ニダッとカンコ君は笑います。「お前も姉さんと同じ目にあわせてやるニダ。【リシュンシン】!」

〜 魔法のことば 〜 (その3)

ウヨ君は、ニッテイさんゆずりの精神力で耐えていますが、防波堤は決壊寸前でした。そのとき、ウヨ君は
以前に読んだ本に書いてあったことを思い出しました。そう、<リシュンシン>に対抗できることばを。
「【シーマンズ】!」
カンコ君、そしチューゴ君の動きが止まりました。ウヨ君はもう一度、繰り返します。
「【シーマンズ】!」
するとどうでしょう、カンコ君の口からカタカタと音が鳴っています。歯の根があっていないようです。
チューゴ君は青ざめ、ブルブル震えています。どうやらかなりの効果があったようです。とうとう、チューゴ君は
逃げ出してしまいました。
カンコ君は・・・全身が痙攣しているようです。しかも、目の焦点は完全にぼやけ、うわごとを繰り返しています。

昼休みが終わました。チューゴ君は気分が悪いからと早退してしまい、席にいません。
フラメンコ先生は授業を始めようとしますが、なにやらブツブツ聞こえてきます。ニホンちゃんのとなり、カンコ君の
席からです。周りのみんなは気味が悪いのか、なにも言いません。
「カンコ君、静かにしなさい。今は授業中ですよ?」やさしく注意する先生。しかし、カンコ君の口は止まりません。
「周りみんなシーマンズシーマンズ、くくくく来るな来るな来るな来るなぁ〜。アイゴォォォォォ!!」
海よりも深い溜息をつき、フラメンコ先生はカンコ君を連れ出しました。保健室で面倒をみてもらうしかないでしょう。

・・・翌日。
「昨日は、いい目にあわせてもらったアル。いつかお返しするアル。」チューゴ君の目は、全然笑っていません。
「お返しなんて、いらないニダ。ケンチャナヨケンチャナヨ。」カンコ君、必死でごまかします。
「ま、どんなことばがいいか、ゆっくり考えるアル。うちの歴史は半万年もないけどよ、それなりに古いからな。」

解説 531=533 投稿日: 02/11/07 20:38 ID:wkXjg391
<かいせつ>

リシュンシン:あっち語読みで イ・スンシン(李舜臣)
        文禄・慶長の役で活躍した朝鮮水軍の名将です。

シーマンズ:日本語で島津。 島津義弘のこと。
        文禄・慶長の役で活躍した日本きっての名将です。

興味が湧いた方は、ググるなり、本を読むなり・・・

追伸:トル子ちゃんの話、たいへんよかったです。聞いた話では、トルコ、東欧、バルト3国、フィンランド
    のように、ロシアを嫌う国は、日本が好きだそうですね。
    どうせなら、こゆ国にODA賃を・・・

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