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第1274話 三毛 ◆MowPntKTsQ 投稿日: 02/11/10 03:24 ID:39mi0iyB
     「自己中海賊」

 地球小学校は今日も賑やかです。
 ウヨ君やアメリー君、ラスカちゃんと連れだって登校してきたニホンちゃんは、校内掲示板の前に人だかり
が出来ているのに目をとめました。
「あれ、何だろう?」
「もしかしたら、なにか連絡があるのかもね。行ってみよう、ニホンちゃん」
 校内に作られている掲示板には、学校行事や地域の連絡事項などが貼り出されています。なにか新しい
連絡があるのかもしれない。ニホンちゃんたちは、興味津々の体で足を向けました。
 近づくと、何やら笑い声が聞こえてきます。ニホンちゃんは、怪訝な顔でアメリー君と顔を見合わせました。
「………なんでみんな笑ってるんだ?」
「…………さあ………?」
「ねーねー、とりあえず見てみようよ〜」
 ラスカちゃんにうながされ、人混みの中に突入してゆく一行。アメリー君が強引に道を開いて、その後ろを
ニホンちゃんは小さくなりながらついてゆきます。

     つづき

 最前列に到着した彼女たちは、そこで初めて、掲示板に貼りだされて、みんなの笑いを誘っているものの
正体を知りました。
 海賊の格好をしたカンコ君が、竹島ぱんつを振り回しながら「ニホン池じゃないニダ!東池ニダーッ!!」
と絶叫しているイラストでした。ご丁寧にも、この件に関するニホンちゃんとカンコ君の主張が併記され、さら
に「自己中海賊 キャプテン・カンコ君」などとタイトルまでつけられています。
「わっはっはっはっはっはっは!!」
 おなかを抱えて大爆笑するウヨ君とアメリー君。
「だ、だめよ武士。……笑っちゃ……カンコ君が……ぷぷ……か、可哀想でしょ……くくく………」
 それをたしなめるニホンちゃんも、肩を小刻みに震わせています。説得力などありはしません。
 と、その時。
「アポジ!こっちニダ!」
 おなじみのだみ声が聞こえてきました。そう、やり玉に挙げられているカンコ君のご登場です。何故か彼
は、カンコックお父さんを連れてきていました。
 露骨にカンコ君を揶揄しているイラストを見て、さっと顔色をキムチ色に変えるカンコックさん。カンコ君は、
最前列で笑い転げているウヨ君たちを見て、「キャプテン・カンコ君」そのものの表情で怒鳴り散らします。

     つづき

「ニホン!!ウヨッ!!おまえらの仕業ニダな!?」
 いきなりとんでもない言いがかりをつけられたニホンちゃん、慌てて否定します。
「ち、違うよ!わたしこんなことしないもん!」
「オレだってするもんか。どうせ言うなら面と向かって言ってやらぁ」
「嘘ニダ!ウリを陥れようとしてお前らがたくらんだに決まってるニダ!」
「そうニダ!こんな妄言書くなんて卑怯ニダ!」
 なんと、カンコックさんまでもが顔面を鮮やかなキムチカラーに染めて言い募ってきます。
 まさか親までが同じレベルだとは思っていなかったアメリー君が、あきれ果てたと言いたげに援護射撃を
開始します。
「おいおい、ニホンちゃんは、俺たちと一緒に今登校してきたばかりだぞ。ついでに言えば、昨日は学校終
わってから、エリザベスの家でずーっと宿題してたぞ」
 これに、エリザベスちゃんとゲルマッハ君が同調します。
「ええ、彼女はわたくしの家にずっといましたわ。終わったのは……何時だったかしら?」
「七時だ。もう学校には鍵が掛けられてる時間だな」
 鮮やかな反撃に、カンコ君はあっというまに追いつめられてしまいました。こめかみに血管を浮かべて、や
けくそぎみに叫びます。キャプテン・カンコ君そっくりなその顔に、またもや笑い声がわき起こりました。
「く、ニホンが素直に東池にしないから、ウリがこんな恥かく羽目になったニダ!ニホンは謝罪と(以下略」
「な、なんでそーなるのよぅ………」

     つづき

 ぎゃーすか喚き散らすカンコ君と、それを見て大笑いしているみんなからちょっと離れたところで、一人の
少年が、苦笑を浮かべていました。
「あー、大成功だな。親父まで出てくるとは正直思わなかったけど……」
 そう、この少年こそ、イラストの作者なのです。ニホンちゃんの遠縁に当たる彼は、カンコ君の奇行をなま
暖かく観察しているうちに、ちょっとしたイタズラを思いついたのでした。
 風刺を効かせたそのイラストは、みんなに大ウケ。カンコ君も、顔を真っ赤にして怒るだろうとは想像してい
ましたが……またもや彼の行動は、その斜め上を行ったのでした。
「ま、いいか。ウケたし。またイラストのネタもできたし」
 ほくそ笑みながらその場を離れる少年。どうやら次回作の構想でもねっているようですね。

 さて。カンコ君たちはどうしてるかというと………。
「ニホンは反省しる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 ………………………まだ喚き散らしていました。
「あーもう五月蠅いなぁ。そんなに悔しいなら、お前もなにか描いてみろよ」
 ウヨ君が挑発すると、単純なカンコ君はあっさりそれに乗ってしまいました。
「おお、ウリのセンスを見せてやるニダ!ニホンが泣いて悔しがるよーなのを描いてやるニダ〜!……で、
ちょっと頼みがあるニダが」
「…………なんだよ?」
「資料になりそうなもの貸して欲しいニダ」
「自分で探せっ!」

     つづき

 数日後。カンコックさんの発破もあって、なんとかイラストを仕上げたカンコ君。自信満々でイラストを掲示板
に貼り出しました。
「さあ、これを見て火病になるがいいニダ!」
「どれどれ………?」
 みんながそのイラストを覗き込みます。
 ……カンコ君の排泄物が島になり、その上にニホンちゃんが家を建てているイラストでした。
「………………………下品」
 流石に、ニホンちゃんも吐き捨てるような口調で切り捨てます。
「ちーっともウィットが効いてないぞ。お前のセンスってその程度か?」
「こないだのキャプテン・カンコの足元にも及ばないアル」
「あれ描いた人の爪の垢でも煎じて飲みなさいな」
「遊び心ってのがないとこーなるんだな。風刺にもなんにもなってないじゃないか」
 酷評また酷評。まったく情け容赦ない感想が叩きつけられます。
 カンコ君、さっきまでの自信はどこへやら。あまりの不評に、ボーゼンとしています。
「0点。話にならん。出直してこい」
 ウヨ君のとどめの一言。
「あ………ああ…………アイッゴォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜!!」
 これまたいつものように、叫び声あげて逃げ出してゆくカンコ君でありました。

                                            おしまい


解説 三毛 ◆MowPntKTsQ 投稿日: 02/11/10 03:28 ID:39mi0iyB
三毛であります。
今回のネタは、キャプテソ・ハーングック ◆Q4BS2/I//w氏のフラッシュに韓国ネチズンどころかヤフー・コリアまで
釣られてしまったという事件(w からです。

発端となったフラッシュ 自己中海賊キャプテン・ハーングック
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/5227/flash/sea_of_japan.html

それに釣られた記事(w
http://ocn.amikai.com/amiweb/browser.jsp?url=http%3A%2F%2Fkr.dailynews.yahoo.com%2Fheadlines%2Ftc%2F20021027%2Fgd%2Fgd200210271351214612.html&langpair=9%2C2&c_id=ocn&lang=JA&toolbar=yes&display=2

これに、NAVER内で韓国ネチズンが 日 本 人 に素材提供を求めたエピソードや、完成したフラッシュ
(……じゃなくてgifアニメ)を絡ませました。

最後に、面白いフラッシュを作ったばかりか、ヤフーまで釣り上げ、更にこの作品の発表を許可して下さった
キャプテソ・ハーングック ◆Q4BS2/I//w氏に、敬意と感謝を捧げます。

では!

                          中村百合子「Legend Of Snowfall」を聴きながら  三毛 拝


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