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第1294話 黒瓶 ◆L3dPScc3M2 投稿日: 02/11/19 18:26 ID:0dKJT19s
名称問題2(後編)

会議が終わる頃には、外はもう暗くなってました。みんな終始無言で散会します。
そんな中でカンコ君だけはご機嫌です。周りの白い目も気にせず、わけのわからない
鼻歌を歌いながら、わけのわからないステップで家路につきます。
(ニホンも悪あがきがすぎるニダ。ウリの言うことが正しいに決まってるニダ)
毎度のように自爆してるカンコ君ですから、今回の勝利(こんなことに勝ち負けはない
のですが)は大変うれしかったようです。
さて、ニホンちゃんですが、足取りも重く家に向かいます。
(どうして?・・・みんな私のこと嫌いになっちゃったの?私が悪いのかな?・・・)
自虐思考はニホンちゃんの悪いくせです。
と、
「・・・ニホンちゃん」
ポーラちゃんとトル子ちゃんです。
「ポーラちゃん、トル子ちゃん・・・・・・」
ニホンちゃん、笑顔をつくろうとしますが、うまくいきません。
ポーラちゃんとトル子ちゃん、顔を見合わすと、
「ごめんなさいっ!」×2
矢継ぎ早にトル子ちゃんがまくしたてます。
「私たちもカンコのいうことなんてうそっぱちだと思うし、今日の会議にぜんぜん
 関係ないって思ったし、私たちもニホン池って呼んでるし、町内のほとんどがそう
 呼んでるのわかってるし・・・・・・」
・・・話が進まないのでポーラちゃんがあとをつぎます。
「私たち、ホントはニホンちゃんを応援したかったんだけど、アメリー君が・・・」
「アメリー君?・・・やっぱりクジラ・・・?」
「え、何か言った?」
「う、ううん、なんでも」
「アメリー君が、会議はやっぱり早く終わらせた方がいいし、それにチリ君も
 困ってるから、・・・この会議中だけ、両方言っても問題ないだろって・・・」
「私もおかしいと思ったんだけど、やっぱり、会議が長引くと他のみんなの迷惑にも
 なるだろうと思って・・・」
「でも、ニホンちゃんの抗議聞いて、ニホンちゃんがそんなに怒ってるって
 知らなかったから・・・」
「わ、私怒ってなんかないよお!」
ニホンちゃん、手と首をぶんぶん横に降ります。
「・・・ホント?」
「ホントも何も、ぜんっぜん怒ってないから」
「よかったあ。私たちニホンちゃんに嫌われちゃったと思って・・・」
「そ、そんな・・・私も、私の方が嫌われたんじゃないかって・・・」
「そんなことないよお」
「私たち、ニホンちゃんのこと好きだもん」
思わず顔がほころぶニホンちゃん。
「私も、・・・大好き。ポーラちゃんも、トル子ちゃんも、町中のみいーんな大好き」
「・・・そういうとこがニホンちゃんのいいところよね」
「え、私、変なこといった?」
「うんん」
くすっと笑いあうポーラちゃんとトル子ちゃん。
友情の再確認です。
「ニホンちゃあん!!」
と、こういうシーンに割って入ってくるのはやっぱりタイワンちゃん。
ニホンちゃんレーダー感度良好です。
しかし今回はちょっと事情が違うようです。
「遅かったじゃないっ!?」
「ご、ごめん。いろいろあって会議が長引いちゃって・・・」
「そんなことはどうでもいいから、これちょっと見てよ!」
タイワンちゃん、何か会話がおかしいですが、おかまいなしに手に持っている本を
ニホンちゃんに見せます。
それは、地球町の地図でした。町内ではよく見かける地図です。
「ほら、ここ見て、ここ」
タイワンちゃんの指さす先は、そのニホン池がある、・・はずなのですが・・・
「うそっ・・・・・・」
「・・・どうしたの?」
後ろからのぞきこむポーラちゃんとトル子ちゃん。
「うそおっ!?」
「何これえっ!?」
その地図には、ニホン池のところに、でかでかと、東池と書いてあります。それに
ニホン池の二の字も載っていないのです。
「まあたバカンコの仕業だな・・・ほんとーに懲りないな」
指をぼきぼきならすタイワンちゃん。最近出番が少ないのでストレスがたまっている
ようです。
と、ニホンちゃんの様子がおかしいことに気づきます。
「ニホンちゃん?・・・」
ニホンちゃん、地図を手に固まったまま、何かぶつぶつとつぶやいてます。
ニホンちゃんの発する危ないオーラにポーラちゃんとトル子ちゃんも気づきます。
思わず後ずさりする三人。
ニホンちゃんのあやしい笑い声が聞こえてきます。
「ふ、ふふ、ふふふふ・・・・・・」
「二、ニホンちゃん、落ち着いて・・・」
タイワンちゃんの声も耳に入らないようです。
「ふふ、・・・ふふふふ。・・・ホントにもう・・・ふふ・・・兄弟そろって・・・ふふ・・・
 ・・・丁度いいじゃない・・・ふふ・・・二人あわせて・・・ふふふ・・・ヤっちゃう?・・・
 ・・・ふふふふ・・・・・・ヤっちゃおうか?・・・ふふ・・・ふふふふふふ・・・・・・」
三人の顔が引きつります。
なにせニホンちゃんは、昔あのロシアノビッチ家に勝ったことのあるニッテイさんの
血をついでいるのです。
目の奥に宿る禍々しい光に、三人の背筋が凍りつきます。
「ふふ、ふふ、ふふふふふふふふ・・・・・・・・・」
暗くなった地球町の街角に、ニホンちゃんの不気味な笑い声が響きます・・・
翌朝。いつものように騒がしい地球組の一日が始まります。
机の上につっぷしてるのはタイワンちゃん。
昨日のでんじゃらすニホンちゃんの毒気にあてられて寝不足なのです。
「タイワンちゃん、おっはよ!」
びくっ!と硬直するタイワンちゃん。声でニホンちゃんとわかったようです。
タイワンちゃん、おそるおそる振り返ると・・・・・・
そこには、いつもの力のぬけるような笑顔で笑うニホンちゃんがいました。
「・・・二、ニホンちゃん・・・」
「どうしたの?目が赤いよ。風邪でもひいた?」
とおでこに手をやろうとするニホンちゃん。
タイワンちゃん、思わずそれをかわそうと身を引いて、その勢いでイスごと
ひっくり返ってしまいます。
「タ、タイワンちゃん大丈夫っ!?」
「ニホンちゃん!き、昨日のことなんだけど・・・」
「え、昨日?昨日は私会議に出てたけど?」
「・・・・・・へ?・・・まさか、覚えて・・・ない?」
「え?何を?」
タイワンちゃん、机の上の教科書を手にとって、昨日のでんじゃらすニホンちゃん
を再現します。
「ふふ、ふふ、ふふふふふふ・・・・・・」
「・・・・・・・・・タイワンちゃん、何かあった?何でも相談のるよっ!」
心配そうにタイワンちゃんを見つめるニホンちゃん。
「・・・・・・はあああ・・・・・・」
その場にへたりこむタイワンちゃん。
「・・・どうしたの?ほんと大丈夫?」
「・・・いや、なんでも、なんでもないっすよ・・・はは、ははは・・・・・・」
???なニホンちゃん。
と、そこにチリ君がやってきます。
「あ、チリ君、おはよー!」
「あ、はいっ、おはようございますっ!」
「?」
「あの、実はですねっ、昨日のニホン池の名称のことでお話がありまして・・・」
「え?あ、はい」
「昨日、東池と両方名前で呼ぶっていうふうに決めましたがっ、それを白紙撤回
 したいと思いますっ!」
「えっ!?」
「ポーラさんとトル子さんからお話を伺いましてっ、ニホンさんが大層怒ってる
 とお聞きしましてっ、それで撤回することとしましたっ!」
「え?いやっ、怒ってなんか・・・」
「それでは失礼しますっ!」
カクカクッとした動きで去っていくチリ君。
ニホンちゃんはさっきから???ばっかりです。
「え、何?どういうこと?」
「さあ?あは、あはははは・・・・・・」
「ニィホォンンンン・・・」
嫌な予感です。予感も何も声でわかるのですが。もちろんカンコ君の登場です。
「おいニホンッ!!これはどういうことニダッ!?」
「え?どういうことも何も・・・」
「またニホン金をばらまいたニダな!?また卑怯な手を使ったニダね!!」
「なんでそおなるのよおっ」
「・・・まあいいニダ。今回はおまけニダ。なんせこっちにはこれがあるニダ・・・」
カンコ君が懐からあるものを取り出します。そうです。あの地図です。
パッコーーーンッ!!
タイワンちゃんの正拳突きがカンコ君の顔面にヒットします。
「・・・な、タイワンっ、いきなり何す・・・」
そう言ってる間に一気に間合いをつめるタイワンちゃん。
カンコ君の背後にスタンバってたポーラちゃんとトル子ちゃんが窓を開けます。
「・・・お前なんか、この世から、消えて失せろおおっ!!!!!」
べこおおおおおおっっ!!!
今度はハイキックがカンコ君の顔面をとらえます。
ライナーでカンコ君の体が宙を飛びます。さっき開けた窓に見事なゴール!
・・・そして、落下。
「ア、ア、アアイイゴオウゥーーーーッ!!!!!(ドップラー効果こみ)」

・・・・・・このどたばたを、教室の隅で冷ややかに見つめる姿がありました。
アメリー君です。
アメリー君、頭をかいて窓の外を見やります。
もしかして、でんじゃらすニホンちゃんを一番恐れてるのは、彼なのかもしれません・・・


糸冬

解説 黒瓶 ◆L3dPScc3M2 投稿日: 02/11/19 18:33 ID:0dKJT19s
長すぎてすいません・・・
書いてる途中で事態が二転三転するもんで・・・
最後のアメリー君は右傾化を指摘みたいな記事があったかと・・・
大量にレス使ってすいません・・・

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