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第1298話 三毛 ◆MowPntKTsQ 投稿日: 02/11/23 02:42 ID:yok+cm+l
     「ぱんつの色」

「おはよ〜」
「おっす!」
 めっきり寒くなってきた、ある朝のこと。
「おはよ〜、タイワンちゃん。…………ど、どしたの?」
 ニホンちゃんは、タイワンちゃんの顔色を見て目をまるくしました。
 いつも明るく、元気なタイワンちゃん。その彼女が、なんとも情けなさそうな、しょぼくれた表情を浮かべて
いるのです。心配したニホンちゃんが、彼女に声をかけると………。
「ふえぇぇぇ〜ん、ニホンちゃぁぁん」
 ……などと可愛らしい泣き声をあげて、ニホンちゃんに泣きついてきます。
「い、いったいどうしたの?何かあったの?よかったら、わたしに話してみて」
「すんすん。あのね、あのね………」
「う、うん………」
「あたし、もう可愛いぱんつ穿けなくなっちゃったの〜!」
「……………………………………………………………………………………………………へ?」
 ぼーぜんとするニホンちゃん。よほど深刻な事情があると思っていたのに、訳の分からない理由を告げら
れて混乱状態です。
「もう、花柄も、お気に入りのプリントのも、縞模様のも、ぜーんぶ穿けなくなっちゃったよ〜!」
 身も世もない風情で、さめざめと泣くタイワンちゃん。周りには男の子のクラスメートが大勢いることも忘れ
ているようです。困り果てたニホンちゃんは、一言言うのがやっとでした。
「と、とにかく、場所変えよ?ここじゃなんだし…………」

     つづき

「………で、なんでそうなったのか、話してくれない?」
 人気のない校舎の屋上。ここに、ニホンちゃんたちは移動してきました。何故か、フランソワーズちゃんや
エリザベスちゃんたちも一緒です。ちなみに、校舎につながるドアにはアーリアちゃんが立ち、スケベ心を起
こした男の子が盗み聞きに来るのを見張っています。
「うん………」
 ぐすっ、としゃくりあげてから、タイワンちゃんはぽつぽつと話しだしました。

「タイワン、タイワン。ちょっといらっしゃい」
 昨夜のこと。タイワンちゃんは、お母さんに呼び出されました。
「なぁに?お母さん?」
「………タイワン。明日から、これを穿いていきなさい」
 前置き無しに手渡されたのは………色気も素っ気もない、純白のぱんつでした。
「えー、こんな可愛くないの、やだ〜」
 なんだかんだ言っても、お年頃の女の子。タイワンちゃんは、当然難色を示します。……が、お母さんは問
答無用と言わんばかりの勢いでした。
「可愛いぱんつなんて五年早いわよ。派手なぱんつなんて穿いてたら、男の子を煽ることになるでしょ!男
の子だって、勉強に集中できないわ!」
「な、何考えてんの!?別に煽るつもりなんてないわよ!」

     つづき

「あなたはそのつもりが無くても、男の子は違うわよ。男の子なんて野獣同然なんだから」
「あのね〜………そんな連中、八極拳でぶちのめすだけよ」
 げっそりと抗弁するタイワンちゃん。しかし、お母さんも強硬です。
「いうこと聞けないなら、お小遣い減らすわよ」
「ひ、ひど〜い!!卑怯よ!!」
「ともかく!今後は白か肌色のぱんつ以外は認めません!いいわね!?」
「そんなぁ〜〜〜〜!」

「……………………と、いうわけなの」
 タイワンちゃんの話を聞き終えた一同の間に、なんとも表現しがたい空気が流れます。みんなの心は一つ。
(…………………………心配して損した…………………)
 その場に漂う、あまりにも白い空気を察知したニホンちゃんが、苦労して言葉を選びつつ発言します。
「え、え〜と…………お母さんも、タイワンちゃんのこと心配してるんだろうし………えっと………その」
(フォ、フォローできないよ〜!誰か助けて〜!!)
 助けを求めて視線をさまよわせるニホンちゃん。エリザベスちゃんが、こめかみを押さえながら聞いてきます。
「…………で、タイワンさんは、今そのぱんつ穿いてるんですの?」

     つづき

「うん………だって、他のぱんつ、お母さんがみんな隠しちゃったんだもん」
 力無く呟くタイワンちゃん。ほれ、とばかりに、スカートをぴらりと捲ってみせます。
「まあ、純白」
 光り輝かんばかりの、純白のぱんつでした。強い光に当てたら、ハレーションを起こしそうな代物です。
「ほんっとに色気がありませんわねー………。ちなみに、あたくしのはこれ」
 フランソワーズちゃんが、ぺろりとスカートをめくります。なんともお洒落な、花柄でした。
「あーら、フランソワーズったら、以外と子供っぽいの穿いてますわね〜」
「な、なんですってぇー!?そーいうエリザベスはどんなの穿いてるのよ!?」
「おーっほっほっほ。ごらんなさい、これが気品あるレディのぱんつと言うものよ」
 高笑いしつつ、ばさっとスカートをまくり上げるエリザベスちゃん。
「…………………うわ」
 ニホンちゃん、その一言を漏らしたきり、固まってしまいました。
 なんと、エリザベスちゃんは、黒のぱんつです。おまけにガーターベルト装備。とても小五とは思えません。
「うっわー。エリザベス。おっとなー………」
 さっきまで落ち込みまくっていたタイワンちゃんも、さすがに驚いた様子ですね。

     つづき

 いつのまにか、ぱんつの見せあいっこになってしまいました。こうなると、参加していない残りの一人……
ニホンちゃんに視線が集まります。
「な、なに……………?」
 危険を察知したニホンちゃん、スカートのすそを掴んで、じりじりと後ずさり。
「みんな見せたんだから…………次はあなたですわーっ!」
「きゃぁ〜〜〜〜〜〜っ!」
 瞬時に取り押さえられちゃったニホンちゃん。儚い抵抗を試みますが、あっさりとスカートをめくられてしまい
ます。
「あーん!!」
 ………薄いブルーのぱんつでした。「尖閣」という名前のぱんつです。これを見たタイワンちゃん、即座に
目の色を変えました。
「こ、このぱんつ可愛い…………おねがいニホンちゃん!このぱんつ譲って!!」
「きゃーっ!!やめて離しておねがいーっ!!」

 もう、大騒ぎ。我関せずとばかりに、見張りを務めていたアーリアちゃん、階段下から様子を窺うマカロニー
ノ君の頭にバケツを落としながら、「なにやってるんだか………」と呆れたように呟くのでした。

                                             おしまい


解説 三毛 ◆MowPntKTsQ 投稿日: 02/11/23 02:47 ID:yok+cm+l
三毛であります。
今回のネタは、台湾の進学校が、女子生徒の下着の色を、白もしくは肌色にしる!と通達した記事です。
http://www.nikkansports.com/news/society/p-so-tp0-021121-06.html

えーと…………逝ってきます。
カチャ ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン


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