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第1617話 名無しさん ◆B9.JhkARyE 投稿日: 03/08/12 23:45 ID:ghEp4uw5
   「灯篭流し」
 日之本家では毎年お盆には川に灯篭を流す慣わしがあります。亡くなった人がこの世に帰るお盆
ですが目印になるようにです。最近は流す人も少なくなりましたがニホンちゃんとウヨ君
は毎年行っています。勿論今年もです。
 「さあ武士、流しましょう」
 白地に紺の朝顔模様の浴衣を着たニホンちゃんがウヨ君に勧めます。
 「うん、姉さん」
 青い着流しのウヨ君が姉の言葉に従い灯篭に火を点けて川に流します。
 灯篭に次々と火が点けられ流されていきます。小船に乗せられた灯篭に様々な絵が映し
出されています。
 「綺麗ね、武士」
 「うん、毎年やってるけど何時見てもいいね」
 ウヨ君も灯篭に映し出される絵を見て満足そうです。
 「これが亡くなった人達への道標になるんだ。だから毎年やらなくちゃならない。けれ
どそれをおろそかにしている人が多過ぎる。まして夏になると亡くなった人達を冒涜する
なんて・・・」
 「武士・・・」
 弟の哀しい顔を見てニホンちゃんも哀しくなりました。この季節になると自分達の自己
満足と運動、金儲けの為に亡くなった人達を貶める輩がいるのです。
 「けれどわたし達がやるだけでもいいんじゃない?それだけでも道案内にはなるでしょ
うし」
 「だと良いんだけど」
 その時でした。
「あ・・・・・・」
 川に流されている灯篭の上に無数の蛍が飛んできました。淡い緑色の光を発しつつ灯篭
の上をふわふわと飛んでいます。
 「武士・・・・・・」
 「うん、わかってるよ、姉さん」
 二人はその蛍達が誰であるかわかりました。その幻想的な美しさもあり二人は息を飲ん
でその光景を見ています。
 蛍達は二人の側に飛んできました。二人を優しい光で包み込むと上へ上がりふうっと消
えてしまいました。
 「姉さん」
 ウヨ君が姉に声をかけました。
 「わかってるわ武士、やってよかったね」
 「うん」
 「来年もやりましょう。そしてうちの人達に伝えて毎年、いえ日之本家が続く限り灯篭
を川に流しましょう」
 「そうだね、それが僕達にできることだね」
 二人は残りの灯篭を川に流しました。ぼんやりとした光に照らされ様々な絵が万華鏡の
様に映し出されています。

解説 名無しさん ◆B9.JhkARyE 投稿日: 03/08/12 23:48 ID:ghEp4uw5
お盆の流し灯篭を。
http://www.maap.com/tanjoh-ji/tourou.html
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kiguchi/tourou/
http://www.taikodai.com/watanabe/seimana8gatu.htm
僕の住んでいるところではやりませんが綺麗ですね。

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