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第1618話
名無しさん ◆B9.JhkARyE
投稿日: 03/08/14 12:48 ID:EHOQt14L
「二人の絆」
「もう私我慢出来ません、父のやり方は酷過ぎます」
お父さんであるコクミンさんと喧嘩して家を飛び出たビレイさんが憤懣やるかたないと
いった表情でニッテイさんに言いました。
「自分のことばかり考えて家のことは全く考えない。今我が家はチューゴ家に狙われて
いるというのに」
整った顔を真っ赤に染めて怒りつつ語るビレイさん。ニッテイさんはそれに対し一言も
口を挟まず腕を組み黙って聞いています。
「このままではこの娘の将来も。一体どうなってしまうのか」
姪であるタイワンちゃんを抱きしめて言います。お兄さんもコクミンさんと仲が悪く家
を出がちなのです。この日はタイワンちゃんはビレイさんと一緒でした。コクミンさんの
側においているとどんな目に遭うかわかったものではないからです。
「ビレイさん、貴女はこの家にいなさい。貴女の御主人も私が世話しよう」
ニッテイさんは重い口を開き言いました。
「はい、けどよろしいのですか?」
「貴女はタイワン家に必要な人、御身を大事にされ自重されよ」
「はい・・・」
「しかしこの娘は家に帰しなさい。それがこの娘の為になる」
「えっ・・・・・・」
ニッテイさんの思いもよらぬ言葉にビレイさんは驚きました。
「話は最後まで聞きなさい。家にいるトウキさんに預けるんだ」
「叔父に」
この頃トウキさんは仲違いしていたコクミンさんにその才を買われ家の重要な仕事を
任されるようになっていたのです。大の親日家でありミンシュというものをよく理解し
ていると評判の人物でした。
「もうコクミンさんも歳だ。家の実権はトウキさんに移っていっている。彼ならばこ
の娘もこの娘のご両親も粗末には扱わない。いや、必ずや正しい道へ導くだろう」
「正しい道、ですか」
「そうだ。彼のことは貴女もよく知っている筈だ」
「はい」
その通りでした。ビレイさんは叔父であるトウキさんを信頼し尊敬していました。あ
の叔父ならば間違いは無い、そう確信しました。
「今貴女の家と我が家は遠い関係になってしまったがそれもこれから変わっていく。
見たまえ」
横に置き寝かしていた筈のタイワンちゃんが起き上がり這いだしました。そして揺り
篭の中で眠っているニホンちゃんの方へ近づいていきました。
「この娘達の頃には笑い合える日になっている。その日の為に貴女は自重し、己を磨
くのだ」
「はい・・・」
タイワンちゃんを見ます。目を覚まし揺り篭の中で笑うニホンちゃんと顔を合わせ赤
ん坊らしくきゃっきゃっと笑っています。
「行って来まあーーーーす」
タイワンちゃんが玄関で元気な大きい声で言いました。
「行ってらっしゃい。ニホンちゃんのところね」
お母さんはお父さんと一緒に仕事で家を開けているので今日はビレイおばさんがいます。
今はタイワン家と日之本家を行き来する日々。髪は銀髪となりましたが美しさはあの若
かりし日のままです。
「うん、ニホンちゃん家でお茶会やるの。クラスの女の子達皆来るんだよ」
「そう、楽しみでしょ」
ビレイさんは優しく微笑みました。
「うん、すっごく!」
あの頃こうして日之本家に自由に行けるなんて想像も出来ませんでした。
「皆に迷惑をかけてはいけませんよ。そして車には気をつけてね」
「はあーーーーーーーーーーい」
元気に答えてタイワンちゃんは駆けていきます。
「いつも元気な娘。あの頃は一体どうなるかと思ったけど」
ふとあの日々の時の記憶が甦ります。
「ニッテイさん、御覧になっていますか。この娘達は貴方が言われた通り笑い合い、仲
良く遊んでいますよ」
空を見上げます。蒼い空に白い太陽が明るく輝いています。
解説
名無しさん ◆B9.JhkARyE
投稿日: 03/08/14 12:52 ID:EHOQt14L
最初の頃に出たビレイさんを。
http://www.yamagataterrsa.or.jp/kouennkai/kinbireipf.htm
http://www6.ocn.ne.jp/~kinbirei/2.htm
心から日本を愛してくれ直言してくれる方なので大好きです。
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