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第1633話
無銘仁 ◆uXEheIeILY
投稿日: 03/08/26 10:54 ID:wsTNviKL
「かわいそうな……」
放課後の教室でニホンちゃんが探し物をしています。
「困ったなあ。お父さんに叱られちゃうよ……」
「どうしたの、ニホンさん。正直に言ってみなさい」
悩んでいる児童を捨て置けない熱血教師、フラメンコ先生。
ニホンちゃんも顔を上げると、素直に事情を話します。
「はい、実はお父さんの会社に届ける鞄をなくしたんです」
「何が入ってたの」
「よくわかんないけど、書類とか、写真とか」
フラメンコ先生は鞄の特徴を聞き出すと、一緒に探して
くれました。それでも教室からは見つかりませんでした。
翌朝の五年地球組……
「……で終わります。きりつ。れい。ちゃくせき」
「今日は私からみんなに話があるから、よく聞いてね」
先生は昨日ニホンちゃんが鞄をなくした話をしました。
教室に緊張が走ります。そう、例のあれが発動するのを
みな恐れているのです。あの息詰まる緊迫感、いつ解放
されるとも分からぬ地獄のエンドレス弾劾学級会……
「それで、ニホンさんのお父さんが困ってらっしゃるの。
もし鞄のことを知ってる子がいたら先生に教えて頂戴」
完全にあの展開です。児童たちは既に青ざめています。
そのとき、一人がやおら立ち上がりました。
「わたくしが捨てました。だって、かわいそうでしたもの」
皆がみなあっけにとられています。なぜって、エリザベス
ちゃんの言葉は自白に等しいものでしたから。
「いったい鞄のどこがどうかわいそうだったというの」
意外にも冷静に、フラメンコ先生が尋ねます。
「鞄じゃありません。ニホンさんのお父様が実験に使って
いる動物たちです。人間のためだけに罪のない動物を
苦しめるなんて、ひどすぎます。だから邪魔したんです」
エリザベスちゃんは目に涙を浮かべながら、動物たちの
窮状を訴えました。EU町のお友達も泣いています。
(エリザベスちゃんのお父さんだって……)
ニホンちゃんは喉元まで出かかった言葉をぐっとこらえ
飲み込みます。こういうところ、変に遠慮深いのです。
教壇に立ち尽くしたままじっと話を聞いていたフラメンコ
先生が、児童たちを静かにさせました。
「いい、みんな。かわいそうだと思うのは大切な心よ。
でもね、反対に実験によって助かる人もいるかもしれない
でしょう。実験が中止になってその人が死んじゃったら、
かわいそうだとは思わないかな」
教室はしんと静まり返っています。
「それに、自分の主張を通すためにきまりやお約束を破る
のはいけません。思ったことを言葉で伝え合うのが
私たちが人間である証なのよ」
エリザベスちゃんはうつむいたまま顔を上げませんでした
が、少しは考えを変えてくれたのでしょうか。
解説
無銘仁 ◆uXEheIeILY
投稿日: 03/08/26 10:56 ID:wsTNviKL
ttp://www.asahi.com/national/update/0825/011.html
小ネタドゾー。今回のエリザベスちゃんがもつ偏った
正義感は、アサヒちゃんと重なって見えますね。
小学校の道徳の資料みたいなお話になっちゃいました。
↓では地鎮祭もどき(名無しさんすみません)
カンコ「ちょっと名無しさん、ウリナラが舞台なのにウリが
登場しないなんて、勝手なことしないでよニダ」
ニホン「む。なぜなの。わたし的には問題ないよ」
カンコ「あ、そうか、ニホンはウリナラの外から来たニダ。
このスレではウリが登場しない作品は駄作ニ……」
ニホン「表現の自由を規制するのはよくないよ」
カンコ「アイゴー、謝(ry」
こんなのでもいいでしょうか。
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