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第1701話
無銘仁 ◆uXEheIeILY
投稿日: 03/11/02 09:23 ID:uhb/lWEh
「隣人愛と家族愛」
かわいそうに、ニホンちゃんが泣きながら家に帰ってきました。
「ひっく、ただいま」
「おかえり、さくら。え、どうしたのその服は。ぼろぼろじゃないの」
「うわああん」
お母さんの胸に顔を埋めて何も言わないニホンちゃん。後から
帰ってきたウヨ君が大まかな事情を説明しました。
数時間前、ニホンちゃんはチューゴ君の家へ遊びに行きました。
「ニホンか。よく来たアルな。今日はホームパーティーをしていた
アル。ニホンも参加するヨロシ」
ニホンちゃんはチューゴ君の家の食べ物や本が好きです。
チューゴ君と仲良くしたいので、パーティーにも参加させてもらう
ことにしました。そして余興のつもりでちょっとした芸をしたところ、
突然その場にいた人たち全員が怒り出したというのです。
「チューゴは姉さんに掴みかかって来たらしい。汚らわしいやつだ。
オレがその場にいたらただじゃ済まなかった」
そのときバタンと音がしたかと思うとジミンさんがトイレの中から
飛び出して来ました。
「なんだ、どうした、ああっ。さくら、その服は……まま、まままさか
おおおおまえそそそそその格好は」
「大丈夫だよ父さん、たいした怪我はしてないし、変なことされた
訳じゃないから」
「武士ちゃん、変なことって、何かあったの」
「い、いや別に何もなかったってことでそのあの」
「あれ、さくらはどこ行った」
ニホンちゃんは悲しみの余り部屋に籠もってしまいました。
無理もありません。仲良くしようとして逆に責められたのですから。
ジミンさんは困りました。もちろん事件に腹は立つのですが、ことは
容易ではありません。今までチューゴ家に文句をつけてうまくいった
試しがないのです。無視されるのはいい方で、逆に屁理屈で謝罪を
要求されたり、アサヒちゃんが騒いでうやむやになったりしました。
しかもアサヒちゃんやヨミちゃんたちが香ちゃんに聞いたところでは、
ニホンちゃんが下品な芸をしてチューゴ家を馬鹿にしたというでは
ありませんか。本人はもちろん否定していますが、昔喧嘩したことも
あってこういう話題が出ると話しづらいのです。
「父さん何とかしてくれよ。姉さんがかわいそうだろ」
「一応遺憾だとは強調して話してきたよ。だがなあ、サヨックが
うるさいんだ。隣人愛が足りないとか言って。それにさくらは誤解を
与えて悪かったと謝ってしまったらしいしな」
町内会の役員で面の皮が厚、いや顔が広いチューゴ家とは揉めたく
ないのが本音のようです。
こちらは新聞委員会。サンケー君が対抗心に燃えています。
「まったくアサヒちゃんは何考えてるんだか。いくら好きだからって
チューゴ君の言うことをそのまんま記事にするなんて。僕は納得
いかないから疑問を記事にしよっと」
家族のお約束が厳しいあの家でチューゴ君が暴力をふるうのだから
両親が容認した可能性はないのか。どこをどうしたら香ちゃんが
言ったような嘘が出てくるのか。なぜ嘘に乗って家族全員が抗議し、
暴力沙汰にまでなったのか。疑問は尽きる所がありません。
「この前の万引き事件のことも含めておかしな点は究明してもらい
たいものだ、と」
ニホンちゃんが引きこもって静かになってしまった日ノ本家。
「結局あの家とうちの考え方の違いだろうな。うちでは寛容にしてる
ことも子供に厳しいあの家では駄目になるらしい」
「そうだとしても、オレはやっぱり許せないよ」
「あああ、どうしてこう近所に気違いばかり集まるんだ。もう沢山だ
引っ越したい」
ジミンさんは頭を抱えました。
「だめよあなた。80年ローンの返済がまだでしょう」
「そうだよ、オレが爺さんになるまで払わなきゃならないんだから」
「そうだったな……」
この土地を離れられない日ノ本家が、お隣さんと仲良くできる日は
来るのでしょうか。
ttp://www.asahi.com/special/seihoku/index.html
ttp://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031101i504.htm
ttp://www.sankei.co.jp/news/031101/morning/01pol002.htm
ttp://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20031102AT2M0101G01112003.html
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031101-00000490-jij-int
西安大学祭寸劇事変。暴動で女性も含む関係ない日本人留学生が負傷。
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