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第1823話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/04/08 00:32 ID:w47aHgDl
                  「謎の男U カンコ篇」
 ウヨ君はまずカンコ君の家にやって来ました。まずはチャイムを鳴らします。
するとカンコ君が出て来ました。
「ウリに何か用ニダか?」
 普段彼にやられっぱなしのカンコ君、彼を見て思いっきり警戒しています。
「御前の叔父さんのことで聞きたいのだが。ちょっと春休みの自由課題にと思って」
「…………!」
 彼はそれを聞いて一瞬絶句しました。そしてキョロキョロと辺りを見回します。
「誰もいないニダな」
「?」
 それを見てウヨ君は首を傾げます。
「早く入るニダ」
 いつもとはうってかわった慎重な態度で彼を家に引き込みました。そして部屋に入れます。
「あれは……」
 ふとキッチョム君の部屋の扉が目に入りました。叔父さんこと首領様のポスター
が貼っています。妙に美化した気色の悪いポスターです。
「まあこれでも飲むニダ」
 部屋に入ると彼は扉を厳重に閉めた後まずメッコールを差し出しました。
 カンコ君の普段からは想像も出来ない様子にただならぬものを感じた
ウヨ君はまず鉛筆と紙を取り出しました。そしてそこに書いていきます。
『どうやらかなりまずい話のようだな。筆記にしないか』
 カンコ君を見て書きました。
『わかったニダ』
 カンコ君は頷いて紙に書きました。
『じつはうちの父に聞いたのだが』
『何ニダ?』
 二人はメッコールも飲まず筆記で話を続けます。
『おの首領は本当に御前の叔父さん、御前の親父さんの従兄か?』
「…………」
 カンコ君は黙ってしまいました。筆を走らせる手が止まりました。
『どうした?』
 暫くしてカンコ君は再び書きはじめました。
『アボジが以前言っていたことニダ』
 彼は書いていきます。
『あの叔父さんはニッテイと戦ったという触れ込みで来たニダ。しかし
それにしては若いように思うとアボジは言ったニダ』
『本当か?』
『本当ニダ』
 カンコ君の顔を見ます。嘘を言っている顔ではありませんでした。
『そうか、若いか』
『そうニダ、もっと年を取っていた筈と言っていたニダ』
『そうか』
『悪いがウリの知っていることはこれまでニダ。後は知らないニダ』
『わかった。貴重な情報有り難う』
 彼はそう言うとその場を後にしました。カンコ君もそれについて行きます。
「……これからどうするつもりニダ?」
 彼は家から離れた公園でウヨ君に言いました。
「アメリーのところへ行ってみる。あの男なら何か知っているだろう」
「そう簡単には教えてくれないニダよ」
「その時は忍び込むまでさ」
 ウヨ君はニヤリと笑って言いました。
「あいつはそういう事に関しては危険ニダ。あと兄さんにも気をつけた
ほうがいいニダ」
「……だったな」
 キッチョム君は引き篭もりなのに何故か色んな事を知っているのです。
「健闘を祈るニダ」
 カンコ君が彼に対してそう言ったのははじめてでしょう。
「有り難う」
 ウヨ君はそう言ってカンコ君と別れました。その後ろ姿を赤い不気味な
猫が見ていました。その猫は最近ニホンちゃんやカンコ君の家に姿を見せる
猫でした。気が付いたらいる、アサヒちゃんやシャミンちゃんなんかといつも
遊んでいる猫なのです。仇名は『マンギョンホン』というそうです。
「・・・・・・・・・」
 猫はウヨ君を見ていました。そして何処かへ行ってしまいました。

 第二部完です。

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