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第1824話
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/04/09 00:29 ID:8d3nhDJ2
「謎の男V アメリー篇」
ウヨ君は次の日アメリー家へ行きました。といっても堂々と正面からチャイムを鳴らして
入ったわけではありません。夜にこっそりと壁を越えて入りました。
「よし」
厳重な監視網には察知されませんでした。そっと中へと進みます。
「やはりこの服を着てきて正解だったな」
一見普通の黒い超長ランですがどうやら特殊な繊維で作られているようです。忍者装束
のようなものでしょうか。その姿は闇の中に完全に溶け込んでいます。
そのまま奥へと進みます。そして図書館の前に来ました。
「ここだ」
懐から鍵、いや何か針金のようなものを取り出しました。そして扉を開けます。
中に入ります。そこは真っ暗でした。
しかしウヨ君は夜目がききます。そのまま進んでいきます。
奥に来ました。扉には『トップシークレット』と書かれています。
「…………」
彼は再び針金らしきものでそれを開けました。そして中に入ります。
中には多くのファイルがりました。彼はその中を調べています。
「アジア町のものは……」
ある棚にそれはありました。『カンコ家での喧嘩についての考察』というファイルです。
「これか」
ウヨ君はそれを手に取りました。そして中を調べます。
「ここら辺りは俺も知っているな」
彼は中を読みながら呟きます。
ウヨ君はやがてキッチョム側の資料にあたりました。そしてそこを読んで
いきます。
「ここだな」
そこにはあの首領がカンコ家に殴り込み喧嘩が始まったとあります。しかし
これは彼も知っています。
問題はその後です。何とそこにあの首領のデータが書かれているのです。
「これか……」
そこには彼の経歴がありました。それは彼が公表しているものとは違い
ました。何とカンコ君のおじさんではなかったのです。カンコ家の人である
のは確かですが。
「やはりな。カンコのおじではなかったか」
ウヨ君は呟きました。そして喧嘩にもまるで勝っていません。百戦百勝
というのは大嘘でした。
「やはりな」
しかし肝心の生い立ちまでは書かれていません。ただマンシュウにいた
とだけしか。
「……今のチューゴのトーホクの間か」
ファイルを直し図書館を出た時です。不意にサイレンが鳴りました。
「しまった!」
どうやら何処かでトラップに触れてしまったようです。辺りを多くの照明ライト
が照らそうとします。
「クッ!」
ウヨ君はその場を走り去ります。そして塀を乗り越え逃走しました。
しかし追っ手がやって来ます。彼は振り向きざまに手裏剣を投げ付けました。
マキビシを散らします。そうして何とか追っ手から逃れました。
「危ないところだったな」
彼は家へ戻ります。何とか見つからずに済みました。アメリー家の大人達には。
「よおアメリー、やっぱり来やがったぜ」
パツキン君がアメリー君の部屋に入って言いました。
「やっぱりな。カンコの家に行った時でおかしいと思ったんだよ」
暗い部屋の中で椅子に座っているアメリー君が言いました。クーロイ君もいます。
「それにしてもうちの家に忍び込むとはね。少し痛い目に遭わせるか」
クーロイ君が呟きます。しかしアメリー君はそれに足し首を横に振りました。
「まあ今は止めておこう。あいつに何かやったらニホンちゃんを刺激する」
「そうか、そうだったね」
「彼女を怒らせたらまずいな」
二人はその言葉に頷きました。ウヨ君も強いですがニホンちゃんは彼以上に
強いのです。流石に彼等でもただでは済みません。
「今はニホンちゃんを敵に回すべきじゃない。ここは大目に見て無かったことに
しておこう。今日は誤作動だった、いいね」
「ああ。そして追っ手は野良犬に噛まれた」
「今後はより正確なセンサーの導入と警備員の訓練強化と」
三人は冷静な声で言いました。
「もうすぐ我々の代になる。その時こそアメリー家は本当の意味で町のリーダーに
なるんだ」
「そうだな。その為には慎重にやらないと」
「急いては事を仕損じるというし」
三人は不敵に笑いました。
「アメリー家の栄光と僕達の繁栄の為に」
「乾杯」
「乾杯」
三人はジュースで乾杯しました。そして部屋は再び沈黙に支配されました。
第三部完です。
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