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第1827話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/04/10 01:14 ID:co+cxS7w
             「謎の男W チューゴ篇」
 ウヨ君はまだ自由課題で首領について調べまわっています。それは誰にも気付かれない
ようにそっと行なっています。今日は修業式、最後の登校日です。彼は課題には早く
から取り掛かっていたのです。
「・・・・・・・・・」
 それを上から見下ろす一つの影。影はサッと身を隠しました。
「ウヨ君、うちの兄さんが屋上に呼んでるよ」
 マカオ君が彼に声をかけて来ました。
「ああ、わかった」
 彼は表向きはあっさりと言いましたが内心警戒していました。彼にとってチューゴ君は
アメリー君と同じくいずれ倒すべき敵なのですから。
「よく来てくれたアル」
 屋上にはチューゴ君が一人でいました。
「どうも」
 近寄りながら辺りを探ります。
「心配無用アル。別に御前をどうしようというつもりは無いアル」
 彼は穏やかな声で言いました。
「それはどうも」
 しかし相手はチューゴ君です。流石に警戒は緩めません。
「今日は御前に話したい事があってここに呼んだアル」
 彼はそう言うと話しはじめました。
 
「最近御前は何か自由課題で色々と何かを探し回っているようアルな」
 チューゴ君はウヨ君を見ながら言います。
「その何かはキッチョムのところのあのおじさんのことアル、間違っているアルか?」
「・・・・・・・・・」
 ウヨ君は何も言いません。それは肯定の沈黙でした。
「そしてあのおじさんの秘密がうちの家にあると思っている。間違いないアルな」
「・・・・・・はい」
 ウヨ君は頷きました。
「素直でいいアル。その通り、あの男はうちにいたことがあったアル」
「それじゃあ・・・・・・!」
「話は最後まで聞くよろし。しかしうちにいたのは僅かな間だけ。奴はすぐに
別のことろへ消えたアル」
「それは一体・・・・・・」
 ウヨ君は考え込みます。
「あの男が表向き何の宗教を信じているアル?」
 チューゴ君はクールに微笑みながらウヨ君に語りかけます。
「あ・・・・・・!」
 ウヨ君は理解しました。
「あの男はナッチ会とあの家の喧嘩の時にいたそうアル。あいつの家を調べると
出て来るアルぞ」
「そうか、じゃああいつの家に秘密が・・・・・・」
「行ってみるよろし。健闘を祈るアル」
 チューゴ君は彼にしては珍しいエールを送りました。
「有り難うございます。しかし何故僕にそんな情報を・・・・・・」
 ウヨ君にとってそれは以外でした。何しろ彼は敵だと思っているのですから。
「僕は別に御前や御前の姉さんと喧嘩するつもりは無いアル。気が向けば
こうしていい話も送ってやるアル」
「そうですか」
 ウヨ君はそれが嘘であると思っていました。しかしそれは口には出しません
でした。
「それじゃあ僕はこれで」
「うん」
 ウヨ君は下へ降りて行きました。後にはチューゴ君だけが残りました。
「もうキッチョムは用無しアル。それにもしあいつとロシノビッチが揉め事を
起こせばそれはそれで好都合」
 チューゴ君は自分の家の方を見ます。壁の向こうにロシアノビッチ君の家の
巨大な庭や建物があります。
「あいつ等がまた力を得たら大変な事になるアル。北には注意しておかないと・・・・・・」
 彼の家は昔から北のほうにある家と喧嘩ばかりしているのです。
「ニホンちゃんやアメリーよりあいつアル。さもないとうちは町でどうこう言う
どころじゃないアル」
 チューゴ君はそう言うと屋上から降りました。そして教室へ戻っていきました。

 第四部完です。

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