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第1832話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/04/15 22:33 ID:X+1ew6wS
              「VAMPIRE」
 漆黒の夜の世界。そこに羽ばたく闇の翼。
「愛しき夜の子供達よ、そして愛すべき邪なるものの夜」
 セーラー服の上に黒いマントを羽織った少女がその中にいました。
ルーマちゃんです。
「今日も私は闇の中に消える」
 そしてその中に消えます。彼女の夜ははじまったばかりです。
 
 最近ブジリー君の家で奇妙なことが起こっています。彼の
弟や妹達の首筋に血を吸われた後が残っているのです。
「それってもしかして・・・・・・」
 皆ルーマちゃんの方を見ようとしてやめます。
「止めとけ、後が怖いぞ」
「あいつのじいさんどれだけおっかないか知っているだろう」
 彼女のおじいさんはあのナマズ髭の人です。その気性と折檻の恐ろしさ
では町の誰にも負けません。
「何かあったの?」
 皆が話しているのに気付いてルーマちゃんがやって来ました。
「えっ、それは・・・・・・」
 皆その赤い瞳に見られて狼狽しています。まるで・・・・・・のような
瞳です。肌も・・・・・・のようです。
「よかったら教えて」
 彼女は皆の目を見て言いました。
「うっ・・・・・・」
 皆その赤い瞳に見られると急に態度が変わりました。ルーマちゃんに
ブジリー君の家のことをペラペラとまるで何かに操られているように
話しだしたのです。
「それなら私原因がわかるわ」
 彼女はそれを聞いて言いました。
「わかるの?」
「ええ。じゃあ放課後彼の家に行きましょう」
「うん」
 こうして皆はルーマちゃんに連れられてブジリー君の家に向かいました。
「えっ、ルーマちゃんが来たの?」
 ブジリー君は意外な人が来て少し驚いています。
「そうなの。貴方の弟さんや妹さんが首筋に傷があるって聞いて」
「それはルー・・・・・・」
 ピキイイイイイイイン
 ここで彼女はブジリー君の瞳を覗き見ました。これで彼は急に態度を
変えました。
「わざわざ来てくれたんだ、有り難う」
 そして彼女を家の中に案内します。その動きはまるで人形のようにぎこちない
ものでした。
「ここね」
 緑の豊かな応接間に彼の弟や妹達がいました。見ればその首筋に小さい
噛み傷があります。

「これは・・・・・・危ないわね」
 彼女はその傷を見て言いました。
「どうしてだい?」
 ブジリー君と皆はそれに対し尋ねました。
「この傷を見て。かなり小さいでしょ」
 彼等の首筋の傷を指し示しました。そこには二つの穴がありました。
「うん」
 皆その傷を見て言います。
「これはコウモリの仕業よ」
 彼女は真剣な顔で言いました。
「蝙蝠!?嘘だろ」
「そうだよ。あんなの映画の中の作り話じゃないか」
 あんたは別だけれどね、と密かに思いましたがそれは言いませんでした。
「本当よ。それは夜になったらわかるわ」
「本当に!?」
 皆は彼女を疑わしげな目で見て言いました。
「本当よ。今日は月も出ないしすぐにわかるわ。じゃあ皆夜まで待ちましょう」
「ああ」
 そして夜になりました。
 月も星もない漆黒の夜。皆はただその中に息を潜めています。
「来たわね」
 ルーマちゃんは闇の中に何かを察しました。
「何が?」
 皆は尋ねます。
「見て」
 彼女は窓を指し示しました。見ればそこには小さな蝙蝠達がいます。
「あれは・・・・・・」
 皆その蝙蝠を見てルーマちゃんに尋ねます。
「チスイコウモリよ。人や動物の血を吸う蝙蝠。アメリカ町の南にいるの」
「本当にいたのかよ・・・・・・」
 皆その蝙蝠達を見て少し驚いています。
「けれどほんの少し血を吸うだけだから」
「だったら問題はないな」
 皆はルーマちゃんの言葉にホッと胸を撫で下ろします。
「いいえ」
 しかし彼女はそれに対し首を横に振りました。
「実はね、あの蝙蝠病気持ちなの」
「な、何だってぇーーーーーーーーーっ!?(AA略)」
 皆はその言葉に驚きます。
「見たところブジリー君の弟さんや妹さんもかかってるわね」
「えっ、それじゃあ・・・・・・」
 ブジリー君はそれを聞いて顔を蒼くさせます。
「安心して。ほんの初期症状だから。今病院に行けばすぐわかるわ」
「そうか、よかった」
 彼はそれを聞いて胸を撫で下ろしました。
 そして彼はすぐに弟や妹達を病院に連れて行きました。そしてそれからは
夜は窓を閉めるようになりました。
「今回はお手柄だったね」
 皆はルーマちゃんを褒めました。
「あら、そんなことはないわよ」
 彼女はマントを翻して言いました。
「いやあ、あんなこと知ってるなんて思わなかったから」
「あら、だって蝙蝠は私の使い魔ですもの。何でも知っているわよ」
「えっ!?」
 それを聞いて目が点になる一同。しかしそれ以上は聞こうとはしません
でした。
「これ以上聞いたらマジでやばい・・・・・・」
「蝙蝠が使い魔!?じゃああんたは一体何者!?」
 彼女の聞くことすら出来ない怖い謎に震える一同でした。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/04/15 22:36 ID:X+1ew6wS
 ブラジルではチスイコウモリに血を吸われ狂犬病で死んだ人が
いたそうです。
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040404-00000021-kyodo-int
 チスイコウモリ。要注意です。
ttp://members.at.infoseek.co.jp/zillah/bats/vamp.html
ttp://www.nara-edu.ac.jp/ECNE/bat/6.htm
 狂犬病は世界にはまだ結構残っています。感染したらまず死ぬそうです。
母の実家は佐賀で化け猫が有名ですがこれの正体も狂犬病にかかった猫
だったtか。そっちの方が危ないな。

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