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第1861話 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/05/11 23:53 ID:RjSzecYC
               「怨ミ晴ラサデオクベキカ」
 最近オージー君は今一つ身体の調子が優れません。原因は不明ですがどうも身体
がだるいのです。
「おかしいダスな。何処も悪くはないというダスに」
 本人も首を傾げています。本当に事情がわからないのです。
「何か悪いものでも拾い食いしたんじゃないのか?」
「羊の肉を生で食べたとか?」
「・・・・・・ワスを何だと思っているダス」
 皆の予想に対し顔を顰めます。しかしだからといって体調が良くなるわけでもなく
相変わらず気分が優れない日が続きます。
「参ったダスな・・・・・・」
 そんな彼を物陰から覗く影がありました。
「ケケケケケケケ」
 無気味な何とも言えぬ笑いです。影はオージー君の様子を確認すると何処かへ
去っていきました。
「・・・・・・・・・」
 それを遠くから見る影もありました。
 オージー君の体調は悪くなる一方です。普段のあの頑丈さは何処へやら、
まるでスペランカーの様に頼りない有様です。
「力が出ないダス・・・・・・」
 すっかり弱ってしまい机にうっ伏しています。そこへハイチちゃんが
やって来ました。
「困っていますね」
「見ればわかるダス・・・・・・」
 声にも力がありません。目に見えて弱っています。
「よろしければ私が治して差し上げますが」
「というと今回のワスの体調は」
「はい」
 彼女はその言葉に対しニコリと微笑みました。
「今日の放課後一緒に行きましょう。そうすれば貴方のご病気を治す
ことが出来ますよ」
「頼むダス」
 こうして放課後二人はある場所へ向かうことになりました。
「ここは・・・・・・」
 見ればオージー君の家です。広い羊の牧場があります。
「ワスの家ダスが」
「はい」
 ハイチちゃんは静かに頷きました。
「こちらです」
 彼女は何かを察しているのでしょう。彼をとある場所に導いて
いきます。そこは家の外れの小さな小屋です。
「あっ・・・・・・」
 それを見てオージー君はあることを思い出しました。
 こっそりとその中に入ります。すると小屋の奥に誰かがいます。
「アラビンダラビ、エロイムエッサイム、ジュゲムジュゲムゴコウノ
スリキレ・・・・・・」
 無気味な木の像を前に怪しげな呪文を唱えています。見れば
アフリカ町の系列の人達によく似た肌をしています。
「あれは・・・・・・」
 そこにいるのが誰なのか、オージー君はよくわかっていました。
 ガタッ
「しまったダス!」
 そこでオージー君は何かを踏んでしまいました。物音が響きます。
「!」
 何やら呪文を唱えていたその人は気配に気付きました。そして何処かへ
と逃げ去ります。
「あっ、待って欲しいダス!」
 しかしその人は何処かへ行ってしまいました。
「行ったダスか・・・・・・」
「あの方はご存知ですね」
「その通りダス」
 あの人はオージー君の家族の先祖がここに家を建てる前から住んでいた
人達です。色々ありましたが今は一緒に住んでいます。アメリー家等でも
よくある話です。
「あの人が貴方に呪いをかけていたみたいですね」
「一体ワスに何の恨みがあるというのダス・・・・・・」
 彼等は家族です。だから普通に親しく付き合ってきたというのに。
「子供の頃のことをまだ忘れていないのでしょう」
「そうだったダスか」
 彼は子供の頃結構やんちゃでした。そしてあの子をよく苛めて
いたのです。
「そのことはまだ謝っていなかったダス」
「それです。貴方がきちんと謝ればあの子も許してくれますよ」
「・・・・・・そうダスな」
「私の家も色々とありますよ。けれど」
「それから先はわかっているダスよ」
 オージー君は笑顔で頷きました。
 それから暫くしてオージー君は元気さを取り戻しました。噂によると
お家の人と話をして長い時間をかけて仲直りしたそうです。
「家族とは色々と騒動もあるものです」
 ハイチちゃんはそれを聞いて静かに言いました。
「けれどそれを克服するのも家族です」
 彼女は家の中でも揉め事の絶えないクラスの皆を見ながら言いました。
そしてそれは自分自身にも向けられていました。

解説 熱血君 ◆O4x3A1GrPw 投稿日: 04/05/11 23:58 ID:RjSzecYC
 今回のソース。オーストラリアの首相にアボリジニーの人が呪いを
かけていたとか。
ttp://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200404210020.html
そういえばアメリカのネイティブとかアボリジニーのキャラは
出ていませんね。

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