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第2067話 黄 色 い リ ボ ン ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 04/12/04 00:57:18 ID:R5qg8l9P
 「民族とおうち その1」
ニホンちゃんとウヨ君が公園で話しています。図書館に行っていろいろ調べていたのです。
「姉さん、やっぱりちゃんとした方がいいよ。うちだけ甘すぎたんだよ、わかったでしょ。」
「うん・・・でももう今更って感じだし、大喧嘩になるんじゃない?」
「でも今までのことだけじゃすまないよ。ますますエスカレートしてきてるだろ。うちのことが余りにないがしろにされてるよ」
「うん・・・」
そこへ紫苑ちゃんが通りかかりました。
「こんにちはニホンちゃん、ウヨ君。さっきから深刻な顔してどうしたの?」
「実はね、あっ・・あの」ニホンちゃん急に口ごもってしまいました。
「なに?ニホンちゃんらしくもなく。私、聞いちゃいけなかった?」
「そ、そうじゃないんです紫苑さん。うちで揉めてることでちょっと・・」
「よかったら話してみて。困ってるんでしょ」
「・・・ザイ君とザイニーちゃんのことなの」
「ああ、元カンコ家の人たちのことね」(ペルシャと花火の取引してるキッチョムの親戚ね)
「うん」2人ともうなだれています。ただ紫苑ちゃんは意外と知っているようです。
「あの2人、もう長いことうちにいるんだけど、最近ね、家族会議に参加させてくれって言うの」
「だけどあいつらニッテイおじいさんのことやうちのご先祖のこと悪く言うんだよ」
「それに他所の家ではみんな家族会議に参加させてるって言うから、他所の家の事情やいきさつをウヨと調べたところなの。
 ・・・ねえ紫苑ちゃん、怒るかもしれないけど、聞いてもいい?」ニホンちゃん、思いつめた瞳で紫苑ちゃんに聞きました。
「いいわよ」
「うちのおじいちゃんがナッチ会と組んだことは悪いと思ってるし、長い間苦労してきた紫苑ちゃんの気持ちは、
 私なんかにはわからないかもしれないけど、紫苑ちゃんから見て、ザイ君たちの言うことって当然なのかしら。
 こんなこと聞いたら不愉快かもしれないけど」
言い終わったニホンちゃんはとても不安でしたが、意外にも紫苑ちゃんの口元には笑いが浮かんでいました。
「ねえ、ニホンちゃん、思い切って言うけど、私があなたの立場ならね」
「う、うん」
「そんな奴らたたき出すわよ」
 「民族とおうち その2」
「ええ!」これにはウヨ君も驚きました。
2人とも紫苑ちゃんがユーロ班の人たちにどんな目に逢わされたか知っています。
だから紫苑ちゃんなら日之本家を責めると思っていました。だからさっきも紫苑ちゃんに言いにくかったのです。
「当たり前じゃない。私は住む家がなくて苦労したわ。でもユーロ班にいるときはルールを守ったし、
 少しでも家族へのイジメが減るならと思って、祖父はユーロ班の喧嘩のときは戦ったのよ。
 他所の旗に他所の神の名で宣誓してね。
 ロシアノビッチの下ではニッテイさんとも戦ったし、ナッチ会に入る前のゲルマッハの下でも・・・。
 それがどんなに辛い日々だったか!そして今のうちを手に入れてから荒地を耕し、アラブと戦い頑張ったわ。
 それに比べてあいつらは何?私とザイたちを一緒にするなんて大間違いよ。怒るとしたら日之本家にじゃないから安心して」
「そ、そうですよね。僕も姉さんに言うんです、アメリー家にいるうちの親戚と比べてよって」
「ミカドの神棚を尊敬しないのにおうちにいるなんて、それだけで追い出していいのよ」
「え、それはちょっと・・・怖いこと言わないでよ〜、苑ちゃんたら〜」
「あら、うちでヨハネの教えを広めるのは違法よ」あっさり言い放つ紫苑ちゃん。
「ほ、本当なの!」
「当然でしょ。ユーロ班の奴等が私にしてきた仕打ちを考えればね。うちはうちの神を敬う者の国として作ったの。
 そして犠牲を出してでも守ってるのよ。内側から横取りや割り込みなんて許さないわ」
これを聞いてウヨ君心が洗われる思いです。しかしニホンちゃんはつい誰にでも優しくなってしまいます。
「で、でもね、ザイニーちゃんはもうすっかりうちの子なの。カンコ家に帰る気もないし」
「でも姉さん、ザイの奴今でもカンコと一緒になってうちの家伝を書き換えろって言ってるんだよ、
 ニッテイお爺さんを褒めるなって」
「それほんと!?」紫苑ちゃん、一段と目が厳しくなりました。
 「民族とおうち その3」
「うん、ずっと前からそうなの」あっさり答えた日本ちゃんに、紫苑ちゃんは脱力感を感じましたが、
「・・・よく聞いてニホンちゃん、昔ローマ組がうちの家を取り上げた時、ご先祖様は降伏後も譲れない条件として
 自分の学校の存続だけは認めさせたのよ。その結果わが一族の絆と文化は滅びなかったの。ローマ組が滅んでもね。
 そんなこと要求する奴は敵よ。すぐに追い出して!」
「で、でもでも、もう自分を他所の人間とは思ってないみたいだし」
「ニホンちゃん、怒らないで答えて欲しいけど、いい?」紫苑ちゃん声を低めました。
「え、な、何?」(こ、こわい)構えてしまうニホンちゃん。しかし紫苑ちゃんは続けます。
「仮によ、ザイ君がが養子として兄弟になったとするわよ」
「う、うん要求通りになった後ってコトね」
「ウヨ君が事故で死んだとして」
「ええっ」驚くニホンちゃん。しかし紫苑ちゃんがニホンちゃんとウヨ君の手をしっかと握りました。
「よく聞いて!ウヨ君が死んだ後、アルバムからウヨ君やニッテイさんの思い出を消すとか、
 神棚を壊して熊を家系図に書き込むとか、そんなこと言い出したらどうするの?」
「ええーっ」これには2人ともビックリです。
 「民族とおうち その4」
「家族になりすますとか、家に割り込んで一生暮らすってそういうことよ。最初から居なかったことにされちゃうわよ。
 ひどいこと聞いたけど、最悪のことを考えて!家を持たなかった私なりの精一杯のアドバイスよ。
 私の家族って、ここまで考えなきゃ生きて来れなかったから。
 彼はあなたの家に忠誠を捧げるのではなく、共用にしろって言ってるんでしょ。私は言い過ぎてはいないのよ」
ニホンちゃんは考え込んでしまいました。紫苑ちゃんのいうことを厳しいと驚きながらも、
まったく否定できなかったからです。しばらく無言の時間が流れた後、ニホンちゃんは言いました。
「ありがとう紫苑ちゃん。私おうちのありがたみを忘れていたよ。これからはがんばる」
「そうよ、私も応援するわ。日之本家を大事にして。」
「紫苑さん、僕たちバイブルクラスに行ってないから、
 紫苑さんにそういってもらえると思ってませんでした。嬉しいです」
「それは訳がるのよ」笑顔になった紫苑ちゃん
「何ですか?」
「うーん、また今度ね。」

 おしまい

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