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第2068話
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/12/05 01:59:09 ID:7wwGKgiE
「軟派男の意地 硝子」
町内で大喧嘩が再びはじまりその状況は日増しに激しくなってきました。
それと共にゲルマッハ家の紫苑ちゃんの一族に対する虐めは激しくなって
きました。
彼女はそれから逃れる為にマカロニーノ君の家にさらにいるようになり
ました。けれどもムッソリーニおじさんの目は厳しくなるばかりです。
「私これからどうなるのかな」
不安で仕方がありません。彼女のおじさんやおばさんの中にはゲルマッハ
家に捕まった人もたくさんいました。彼等は他の家にまで押し入って彼女
の親戚の人達を虐めているです。
「大丈夫だよ、ここにいる限りはね」
マカロニーノ君はそう言って彼女を安心させます。けれども不安が消える
ことはありませんでした。
「もしマカロニーノの家が負けたりしたら」
ゲルマッハ家が来るかも知れません。そうなったら結局は同じことなの
です。
「私もおじさんやおばさんみたいに。いえ、そうでなくても前みたいに」
あの時の傷は今でも残っています。ガラスが割れてその中でゲルマッハ君
とアーリアちゃんに虐められたあの時の傷が。
「・・・・・・・・・」
その時の傷が疼きます。それで彼女の記憶が甦ります。窓を見れば
硝子がその時と同じ様にあります。
「あの時もそうだったわね」
もう窓を見るだけで身体が震えてきます。
「私の何が悪いの!?何でこんな目に遭わなきゃいけないのよ。私は
何もしていないのに」
あの時の二人の罵る声、そしてけしかけられた犬。棒で打ち据えら
れ床に転がされます。そこからも絶え間無く続く罵声と攻撃。彼女の
心も身体も深く傷付きました。
「信じている神様が違うのがそんなに悪いことなの!?けれどそれが
なくちゃ私は生きていけないのに」
昔から彼女の一族はそれがもとで除け者にされてきたのです。お金
を持っていてもそれで安心したりもできませんでした。何時何が起こ
るかわからないからです。
「お家が欲しい、もう誰からも虐められない力が欲しい」
彼女は夜の窓を見ながら呟きました。見れば雨が降っています。
「雨が降っても何時かは止むわ。けれど私は何時まで経っても」
「そこにいたの」
後ろからマカロニーノ君の声がしました。
「ちょっと来て。話があるんだ」
彼の声は普段のそれとは違い暗いものでした。
「まさか」
大体事情はわかっています。彼の家は今喧嘩で負けがこんでいる
のです。元々喧嘩に弱いのですからこれはわかっていたことです。
「実はね」
マカロニーノ君は話をはじめました。それは彼の家がレンゴウ
チームに降伏したことでした。
「ムッソリーニおじさんはナッチ会のところに行ったよ。それで
ここにもゲルマッハ家の人が来ると思う」
「そう」
紫苑ちゃんはそれを聞いて時が来たと思いました。
「じゃあもういいわ。さあ」
そして両手を彼に差し出します。
「私をゲルマッハに突き出して。もうこれ以上私のことで迷惑を
被りたくはないでしょう?」
全てを諦めきった目で彼を見ています。
「いいのよ。私は。どうせこうなる運命なんだし」
涙は出ませんでした。けれどその心は凍てついていました。
(もう終わりなのね、何もかも)
ふと窓を見ます。やはり雨が降っていました。
(雨は辛いでしょうね。そしてその先はもっと)
そう考えていました。しかしここでマカロニーノ君が言いました。
「何処に連れて行けっていうの?」
「えっ!?」
「言っただろう、女の子には悪いようにはしない、って。僕の
ポリシーだから」
そしてにこりと笑います。
「もうすぐここにはレンゴウチームも来るんだ。まあうちの家
で喧嘩をはじめるんだけれど」
「そうなったら貴方の家は」
「そう、滅茶苦茶になるだろうね。けれどそこがチャンスだよ」
「チャンス!?」
「そうさ、その時に・・・・・・いいかい」
そして彼女の耳の側に口を近づけます。それから何やら囁き
ます。
「それって・・・・・・」
「いい考えだろ」
「ええ」
マカロニーノ君のにこやかな微笑みに押されました。頷くし
かありませんでした。
「ここは僕に任せて。紫苑ちゃんは何も心配しなくていいから」
「けれど貴方は」
「大丈夫だよ。これでも運はいいからね」
彼はまたニコリと微笑みました。そして彼女を安心させます。
けれど事態はより差し迫ってきていました。白旗を揚げた
マカロニーノ家にゲルマッハ家とレンゴウチームの人達がそれ
ぞれ南北から迫って来ていたのです。
解説
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/12/05 02:05:15 ID:7wwGKgiE
第三部です。今回はこのクリスタル=ナイトを扱いました。
ttp://www.ne.jp/asahi/masa/private/history/ww2/top/kristalnacht.html
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