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第2069話
熱血君 ◆O4x3A1GrPw
投稿日: 04/12/08 21:29:18 ID:eX01H917
「軟派男の意地 別離」
遂にマカロニーノ家にゲルマッハ家の人達がやって来ました。向こうから
はレンゴウチームが来ています。
「来たか、遂に」
マカロニーノ君は家の窓からそれを見て呟きました。
「紫苑ちゃん」
そして後ろにいる紫苑ちゃんに顔を向けました。
「いいね、僕の言ったとおりに」
「ええ、けど」
「いいから。君は何も心配する必要はないから」
マカロニーノ君は無理して笑顔を作って彼女を安心させます。
「じゃあそろそろ行って。ゲルマッハ家の連中は動きが速いからそろそろ」
そこで早速声がしました。
「マカロニーノ、開けろ!ムッソリーニおじさんに頼まれて来たぞ!」
「家に入れろ!」
ゲルマッハ君とアーリアちゃんの声です。紫苑ちゃんはその声を聞いた
だけで顔が青くなってしまいました。
「ひっ・・・・・・」
身体も震えています。マカロニーノ君はそんな彼女に声をかけました。
「落ち着いて。大丈夫だから」
「けど・・・・・・」
「ほんの少し歩くだけだから。いいね」
「うん」
そして二人は部屋を出ました。ここで彼は紫苑ちゃんに言いました。
「裏口からね。そっと出るんだ。そこからアメリーの家の陣地までほんの
少しだからね」
「貴方は」
「僕は少し連中と話をしてくるよ。その間にね」
右目で軽くウィンクしながら語ります。
「わかったわ」
彼女は頷きました。そして階段を降りました。
「じゃあ。後で僕も行くから」
「ええ」
そこでまた二人の声がしました。
「おい、開けろ!」
「何ならこちらから開けるぞ!」
実際に何かで叩く音すらします。マカロニーノ君はそれを見て肩を
すかす動作をしました。
「やれやれ。せっかちだなあ」
そうこう言っている間にも扉が破壊されそうです。二人も喧嘩の状況
が思わしくないので必死です。
「じゃあこれでね。後で」
「けれど」
彼を一人にはやはりできそうもありません。紫苑ちゃんは残ろうと
しました。しかし。
「大丈夫だよ、いいから」
「けど・・・・・・」
「いいから!行って!さもないとどうなっても知らないよ!」
「え・・・・・・」
マカロニーノ君が急に叫びました。紫苑ちゃんはその声に驚かざる
にはいられませんでした。
「これからすぐに逃げるんだ!後ろを振り向いちゃ駄目だよ!そして
絶対に立ち止まらない!いいね!」
有無を言わせぬ話でした。彼女はそれに対して首を縦に振るしかあ
りませんでした。
「わかったわ。じゃあ」
「うん。またね」
マカロニーノ君は扉に向かいました。紫苑ちゃんも踵を返しました。
そして走りはじめました。
「おい、マカロニーノ!」
後ろからゲルマッハ君の声が聞こえます。
「早く開けろ1一体どういうつもりだ!」
「私達の話が聞けないのか!」
扉を無理矢理開けます。マカロニーノ君はその前ににこやかに
立っていました。あえて二人に後ろを見せないようにして。
「まあまあ」
穏やかな声で語り掛けます。
「ちょっと待ってくれないかい?こっちはまだごたごたしていて」
(いいよ、そのままそのまま)
紫苑ちゃんの足音が遠くなっているのを耳だけで確認しています。
(よし)
それが消えました。もう大丈夫です。
「まあゆっくりお茶でも。何ならパスタでも御馳走しようかい?」
「何を言っているんだ、今そんな状況か」
「固いことは言わずに。アーリアもさ。デートでもしないかい、今度」
「馬鹿を言うな」
出来るだけ時間を稼ぎます。その間に紫苑ちゃんは裏口から逃げて
しまいました。マカロニーノ君は二人の応対をしながらそれを窓から
見ていました。
(よし、これでいい)
後は彼がどうにか逃げるだけです。しかしそれは中々できそうにも
ありませんでした。
「マカロニーノ・・・・・・」
紫苑ちゃんは逃げ込んだアメリー家の陣地から彼の家を見ていました。
「早く、早くこっちに来て。お願いだから」
けれどこの時は来ませんでした。何時まで経っても。
「そんな・・・・・・」
その間にも喧嘩は激しさを増していきます。彼女はアメリー家の人達
に保護されてその場を後にしました。立ち去るまでずっと彼の家を見て
いました。
第四部。二次大戦の脱出劇です。
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