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第2118話
黄色いリボン
投稿日: 05/01/18 12:59:35 ID:fKk00MW8
「 昔落とされました 前編 」
今日はみんなでエリザベスちゃんの家の離れで食事会です。エリザベスちゃんの
家は結構広く、
過去の栄光を感じさせます。
「トイレ行きたいダス、どこダスか?」オージー君が尋ねました。
「そこを右に曲がったところですわ」
ところがオージー君、すぐに戻ってきました。
「あのトイレは使えないダス。他にないダスか」
「あら失礼。だったらいつも使っている本館の方へ行ってくださる?」
トイレから戻ったオージー君、エリザベスちゃんに小声で言いました。
「ちょっといいダスか」
みんなのところを離れると、オージー君はいつにないまじめな顔で言いました。
「あのトイレは何ダス、早く直すダス」
「私も最近使っていませんでしたけど、壊れていましたの?」
「違うダス!排泄物の落ちるところにJAPと書いてあったダス!」
「あっ・・・」エリザベスちゃんは息を呑みました。
「 昔落とされました 中編 」
それはビクトリアおばあさんとニッテイさんが、町内2度目の大喧嘩で敵味方と
なった頃のこと、
アジア町で長く隆盛を誇っていたビクトリア家は、今のマレーシア君の家を押さえて
いましたが、
ニッテイさんにストレート負けてしまいました。しかも予想通りの所にニッテイさん
が攻めて来て、
ニッテイさんの方が部下の数が少ないのに、
進撃スピードの記録を作り、ビクトリア家の人はろくに戦わず捕虜になったのです。
当時、ユーロ町では、アジア町の人はユーロ町にかなうはずがないと思っていたの
で、
大恥をかかされたわけです。
そのためビクトリア家では、便器の底にJAPと書くことが流行ったそうです。
「 昔落とされました 後編 」
「いつまであんなもの残しておくダスか、早く消すダス!」
「つい忘れていましたのよ。あの時はあなたのうちの人も仲間だったでしょ」
「しかし、全くお宅に軍人として敬意を感じられないと言っていたダス」
「ま、失礼ですわねっ。あなたのうちの人も酔っ払っていたっていうじゃない」
実はこの両家は、このときの敗北で仲違いしてしまったのです。
そこへアメリー君が声をかけました。
「もう止しなよ。あの時のニッテイさんの作戦は見事だったよ」
「あの時のニッテイさんの部下を報復裁判にかけたのはあなたの家でしたわね」
「まあ勝者の特権だろう。勝てない人の代わりにやってあげたのさ」
「あなたもマニラの別荘で恥をかいた仲間ですものね」
そこへアーリアちゃんがやってきました。
「優勢な敵に対して、華麗な一撃で勝利を得る。我が家と日ノ本家だけが実現させた
名人芸だ。
落書きは水に流すんだな」
(ニッテイさんの話題にこいつかい・・・)
「 昔落とされました 続編 」
「あたしとアーリアちゃんが何?」
ニホンちゃんが来てしまいました。ただニホンちゃんだけ話を聞かずに加わって来
ています。
「いや、誰の料理をニホンが喜ぶかって話さ。ウチのソーセージだろう?」
アーリアちゃんニホンちゃんと食卓へ戻ります。
「待つダス!うちのビーフとマグロダス!」
「ユーロ町よりアジア町ってわけね・・・」
エリザベスちゃんの頭の中に没落という言葉が浮かんできました。
「いや、太平町さ。俺が言うんだ、間違いない」
エリザベスちゃんの手を引いて食卓に戻るアメリー君でした。
おしまい
解説
黄 色 い リ ボ ン ◆JBaU1YC3sE
投稿日: 05/01/19 12:46:24 ID:uTv0mibs
「昔落とされました」の解説です。
ソースは桃井 真著「戦略なき国家は挫折する」光文社昭和59年刊70ページにあります。(入手困難ですね)
( 以下を読むときは口にあるものは飲み込み、PC等ものを殴らないよう心の準備をして下さい。 )
昭和39年から40年まで、ロンドン大政経学部に客員教授として赴任した際、最後の数ヶ月、
同僚(イギリス人で日本史専門家N教授としかありません)の家を借りたところ、そこのトイレにあったそうです。
「日本人なら必ず消した。この執念深さがジョンブル精神を支えたのかもしれない」桃井氏
この桃井氏も昨年4月になくなられました。昔防衛問題で自衛官以外で複数の著作を持つ人は海原氏とこの方だけ。
国論の正常化をどう眺めていたでしょう。謹んでご冥福を祈ります。
マレーをめぐる戦いは、2ヶ月1週間で3個師団他含め12万の帝国軍が約2万ずつ上陸、
橋梁250を修復、1100キロを突進、死傷9657の損害で、
英連邦陸軍約9万プラス現地兵に対し、死傷約6000人以上、捕虜130000人!(空軍等含む)で、終結しました。
但し戦闘参加の人数は段階によります。シンガポールに迫った帝国軍は5万。船舶不足によります。
アメリー君が作戦を褒めているのはマッカーサーが韓国の白将軍に言ったものです。
アーリアちゃんの言葉は「電撃戦という幻」平成15年刊の日本語版への序文、
現ドイツ軍・軍事史研究局長イェルク・ドゥプラー海軍大佐の言葉です。
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