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第2119話
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 05/01/18 20:40:48 ID:hw5eMc9Q
「踊る!?アメリー御殿」
此処は、今をときめく藩王さまがお住まいのアメリー御殿。
サリーを纏った3人の女中さんが白亜の大広間でお仕事の最中です。
おや、どこからか音楽が流れてきますよ・・・
ちゃんちゃんちゃんちゃん、ちゃらーんららん、ちゃんちゃんちゃんちゃん・・
「さぁーあー、急ぎましょ、もーうすーぐ旦那様がーお帰りにー成りーますわー」
エリザベスちゃんが音楽に合わせて歌います。
すっちゃすっちゃすっちゃと踊るステップも軽やかです。
「あーら大変ーー、旦那ー様はーー気むずかしいーー方ですからーーー」
フランソワーズちゃんも続きます。
「そーーれに引き替え、妹のーーラスカ様はーーとってもー優しいー方ー」
是はタイワンちゃんです。
此処で音楽に合わせ3人揃って右へ1回ターン、ぱんぱん、と手を打ち鳴らして左へターン。
なかなかよく揃っています。と、突然左右からサリーの地球組女子がすたたたと登場し、
3人の周りをぐるっと囲んでステップに加わります。
「でも、聞いた?あの、嫌らしい番頭の・・」タイワンちゃんがしゃべり出すと、
ぴたっとステップも止まります。すすすと左右に消える地球組女子。
「噂には聞いていましてよ。」エリザベスちゃんが応じます。
「そうですわ、あの無節操な、」フランソワーズちゃんです。
「マカロニーノの奴がラスカ様に言い寄って居るんですって!?」
3人同時に叫びます。
どんどんどんどーーん!低い太鼓の音が響きます。
同時に「おい、女中ども!さぼって居るなぁ!」
という声が響きます。番頭、マカロニーノくんがホールを見下ろす2階から登場です。
真っ黒な口ひげと真っ黒な衣装に真っ黒なターバンという判り易い悪役の扮装です。
「ああ、忙しい、忙しい・・」わざとらしく女中3人が下手へ退場します。
ずんかずんかずんかずんか
うって変わって低い調子の音楽です。
「おーおぅー、あの麗しきラスカ様ーー、何故に振り向いて頂けぬーーー」
ごろごろぴっしゃーーん、突然の雷鳴が響き渡り、辺りが暗くなります。
「まさか、あの貧乏士族のウヨとかいう小僧めがぁ!?」マカロニーノ君叫びます。
ずんだんずんだんずんだんずんだん
ドラムの低いリズムに合わせてどしんどしんと足下を踏みつけ、
「ラスカ様と夫婦になってーーー」と、両手に天を掲げ、
「この家を乗っ取る私の計画がーーー」と、階段を下り、
「貧乏武術師範なんかのせいでーーー」と、此処で大きく息を継ぎ、
「台無しだーーーーー!」と甲高い声で歌い上げます。
と、此処でステップを止め、ぽんと手のひらを打ち
「そうだ、あの二人にあの若造をしまつさせれば・・ふっふっふっ」と
云いながらぎらり、と辺りを睨みつつ下手へ退場です。
ぴょーん、びょんびょんびょんびょびょんびょびょん
高い弦楽器の音楽と共に正面奥の扉が左右に開け放たれ
薄いピンクのサリーのラスカちゃん登場です。
「ああーー、私はーー聞いてしまった、恐ろしい悪巧みーーー」
ここで手をもみ絞り、「早く、早く愛しいウヨ様へお知らせしましょーーう」
と、サリーの裾をひらめかせながら、つつっと上手へ退場しです。
「おお、お稽古の時間に遅れてしまった」とウヨ君が下手から登場です。
「一体何処ですか、愛しいラスカ姫」ぽっと頬を赤らめながら高く声を張り上げます。
がらがらどっしゃーん
突然の雷鳴と稲光。広間の中に突風が吹き荒れます。
ずんだんずんだんずんだん、音楽も突然緊張感の有るものに変ります。
「待て、オマエの命は我ら兄妹が貰い受ける!」
左右から突然斬りかかる2つの人影。
きーん、と一瞬で抜きはなった愛刀・関の孫六で
受け止める大刀二本。「誰だ!!」誰何への返事は
またも斬撃。受ける刀に切り飛ばされる切っ先。
「なかなかやるな」と刺客の一人、ゲルマッハくん
が思わず呟く。「我ら兄妹、オマエに恨みはないが」とアーリアちゃん。
「オマエの生を望まぬお方がいらっしゃる!」腰だめに構えた大刀の
捨て身の突進。
と、其処へ「お止めになって下さい!」と必死の声で
飛んではいるうす桃色の人影。
「あぁ!」と腕から血しぶきを上げるラスカちゃんです。
呆然と立ちすくむゲルマッハ兄妹も既に目に入らぬのか、
ウヨ君が咄嗟に抱きかかえます。「なんと云う事だ、ラスカ姫!」
抱きしめるウヨ君の腕に力が籠もります。「ああ、愛しいウヨ様」
抱きかかえられる彼女もどこか夢見がちです。
音楽も女性のコーラスに変ります。
左右からすすすと再び地球組女子の登場です。
二人の周りをぐるりと囲んで
ああ、二人の愛は永遠 恋人達に祝福あれ
と歌って踊ります。恋人達は徐々にその唇を近づけて、ついには・・・
まさにその瞬間「どさくさに紛れて何をしとんのじゃ!!」
とウヨ君の後頭部にカチンコが飛んできました。
ごきっ 命中音と共に崩れ落ちるウヨ君。
「きゃあ、愛しのウヨ様!」成りきっているラスカちゃんです。
「オマエも何をしてるんだ!」
声がした方にはきんきらきんのターバン姿のアメリー君が
怖い顔で立っていました。
「あーあ、台無しだよ」とぼやくイン堂君です。
「うわあああ、今のは私のシナリオじゃないよう・・・・・」困惑するニホンちゃんです。
そう、みんなはイン堂君のお家でビデオムービーの撮影をしていたのでした。
彼のお家ではビデオムービーがとっても流行っていて、ニホン家でも少し前に
人気が出たのでみんなで撮影する事にしたのです。監督イン堂君。脚本ニホンちゃん。
主演はウヨ君とラスカちゃん。題して「踊るアメリー御殿」撮影好調、だったのですが。
「フランソワーズは兎も角何故私が女中ですの?」「あら、貴女にこそお似合いの役かと思いますわよ。」
「僕はあんなひどい男ですかぁ!」「あはは、其処の脚本て最高だったよね。」
「何故私だけサリーを着ないのだ?」「・・ウヨの刀、アレ本物だったろう・・・」
いろいろと皆さん不満が有るみたいですね。
でも、一番不満だったのは彼でしょうか?
「い、妹に何をさせる気だぁ!!」「落ち着いてください、お義兄さん。」「おにぃ・・・・・・・・・・・・・・・・・!?」
解説
青風: ◆BlueWmNwYU
投稿日: 05/01/18 20:59:48 ID:hw5eMc9Q
こんにちは、地球組のベトナ家訪問3部作さくしゃ
でございます。今回からコテ付けてみました。
今回の元ネタ(と、言えるかどうか)は
実は地球町で最も映画を作っている家は
アメリー家ではなくイン堂家でした、というオハナシです。
劇中劇のイメージとしては「ムトゥ、踊るマハラジャ」あたり
をイメージして頂けると有り難いです。
まあ私も他のインド映画を見た訳ではないのですが、
マサラムービー独特の雰囲気に挑戦、
したのですがどうでしょうね。
音楽も向こうの「びよん、びよーーん」とかを脳内で
補完して頂けると助かります。
ご批判、ご要望お待ちいたしております。(マジです)
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