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第2237話 黄 色 い リ ボ ン  ◆JBaU1YC3sE 投稿日: 2005/05/08(日) 10:33:41 ID:BG+HzQw4
 「 くろわっさん 」
 ある日、ニホンちゃんがを公園を歩いていると、
ユーロ班とアメリー君が集まっていました。
フランソワーズちゃんご自慢のクロワッサンを食べながら、何か真剣に話しています。
「どうしたの?みんな集まって」
「やあニホンちゃん、実はキプロスちゃんの家のことで話していたんだ」
 マカロニーノ君が答えました。ニホンちゃんはこの話をあまりよく知りません。
「これって昔、喧嘩が終わってから、トル子ちゃん家のものだったキプロスちゃんの家を
ベスが差し押さえていた時からの話だからなあ」
 アメリー君の言葉にエリザベスちゃんが続けます。
「我が家の差し押さえをいいことに、トル子ちゃんに嫌がらせを繰返して、
トル子ちゃんの部屋まで荒らしてましたからね」
 マカロニーノ君も言いました。
「しかも昔の喧嘩に負けたアテネちゃんが、キプロスちゃんのお面かぶって加勢して、
『ここは遺跡の昔からアテネちゃんの家と一緒だった!』だからなあ。
それ以前に友達を増やしたり、喧嘩に負けた原因を考える方が先だろうに、
トルコちゃんが腰を上げたら途端に卒倒しちゃうんだもんなー」
 エリザベスちゃんは他人事のようにいいます。
「全くですわ!約束は必ずアテネちゃんが先に破っていますし。
 相手に先に破らせるとか、手を出させるとか考えて欲しいものですわ」
 フランソワーズちゃんが薄笑いを浮かべて突っ込みました。
「あなた、また最初から喧嘩を狙っていたのではなくて?」
マカロニーノ君がなだめました。
「まあ、我がバイブルクラスのエリアが広がったのは確かだ。いいじゃないか」
「そうですわね」一同が相槌を打ちました。
(え?)ニホンちゃんは黙っていられなくなり、みんなに尋ねました。
「ね、ねえ、私ユーロ班のことはよくわからないけど、
トル子ちゃんは何の断りもなく家の一部を盗られたってことなの?」
 みんなはその言葉にシーンとなってしまいました。
どうやら当たり前すぎる質問をしてしまったようです。マカロニーノ君が言いました。
「ニホンちゃん、アテネちゃんの家はユーロ班の師匠と言える家なんだ」
 エリザベスちゃんも続けます。
「キプロスちゃんのことも、
 経緯はどうあれ支配者からの開放と感じて祝福しているのがユーロ班全員の気持ちですの」
(ええ、どうしてエリザベスちゃんがそんなこと・・・)
 と思ったニホンちゃんでしたが、今はトル子ちゃんをかばう方が先だと思い、
 口にしませんでした。
「バ、バイブルクラスならそう思うだろうけど、それじゃトル子ちゃんは一方的に・・・」
 そこへアメリー君が割って入りました。
「トル子ちゃんを一人ぼっちにする来はないよ。ただ、今更元に戻すってのはね・・・」
「そんな言葉聞きたくない!トル子ちゃんあたしの命の恩人だもん!」
 そう言うと、ニホンちゃんはみんなが止める間もなく走り去ってしまいました。
 しばらく気まずい沈黙が続きました。すると・・・
 ・・・ガサガサッ・・・みんなの後ろの茂みから物音が。
 何と、カンコ君が出てきたではありませんか。
「ま、いつからそこにいましたの?」
「嫌ですわね!盗み聞きですの?」
 カンコ君はそんな声には構わず、胸を張って言いました。
「お前たちの気持ちは全て聞かせてもらったぞ!可愛い我が分家の者達よ!」
「 「 「 「  は あ ? 」 」 」 」

 一方ニホンちゃんは、帰り道のトル子ちゃんを見つけました。
「トール子ちゃ―ん!」
「あらニホンちゃん、一緒に帰ろう」
 飛んできたものの、無邪気な笑顔を見せるトル子ちゃんに何と言えばいいのか、
 ニホンちゃんは言葉が見つかりませんでした。
「ト、トル子ちゃん、さっきユーロ班のみんながクロワッサン食べてたんだけど・・・」
「クロワッサン!あいつらまだわたしのことを!」
 急にトルコちゃんの表情が厳しくなりました。
「え?ク、クロワッサンが、どうかしたの?」
 これを聞いたトル子ちゃん、寂しさと怒りの入り混じった表情でニホンちゃんを見つめ、
 目にうっすらと涙を浮かべるではありませんか。
 そしてニホンちゃんの両肩をつかんで激しく揺さぶりました。
「どうしてよ!ニホンちゃん私のこともっと知って!」
「ごめん!ごめんねトル子ちゃん」
 ニホンちゃん、大変なことになったと思い謝りつつも、
 何がいけないのかわかりませんでした。
 するとトル子ちゃんは俯きながら、両手の指でクロワッサンの形を作りました。
「ねえニホンちゃん、これが夜空に浮かんでいたら何に見える?」
「三日月かな?あー、トルコちゃんの家の旗と同じだねー・・・え?
 ・・・まさかこれって、トル子ちゃんいじめなの?」
 トル子ちゃんは俯いたままうなずきました。
「ええ!」
 ニホンちゃんは驚きました。今まで何個の美味しいクロワッサンを食べてきたことか…
「わかったよ!もうあたしクロワッサン食べない!ごめんね。知らなくて」
「・・・ねえ、ニホンちゃん、聞いてもいいかな」
「うん」
「ニホンちゃんのご先祖様って、チュウゴ家の方から来たって言われてるよね」
 ニホンちゃんの頭の中に、昔からサヨック叔父さんやカンコ君に
 言われてきたことが反射的に思い出されて、体が固くなりました。
 緊張するニホンちゃんを見てトル子ちゃんの声は一段と小さくなってしまいます。
「あたしとニホンちゃんの家って離れてるけどさ・・・
 ニホンちゃんとあたし、姉妹と思ってちゃ、ダメかな」
 ニホンちゃんはトル子ちゃんを抱きしめました。
「喜んで!トル子ちゃんとあたしは双子の姉妹だよ」
「いい?本当に」
「うん、ずっとだよ!」
「嬉しい!」
 二人は抱きしめあい、しばしの間、互いの頬を重ねあっていました。
   おしまい

解説 解説とネタ提供 投稿日: 2005/05/08(日) 10:45:24 ID:BG+HzQw4
私たちが接するトルコの情報は西欧のフィルターを通しています。
これは日本についても言える事ではないでしょうか。
情報満載 トル子大使館、いやトルコ大使館
クルちゃん情報の他、ギリシャとの間の岩の問題、エーゲ海の境界、既視感ありすぎます。
http://www.turkey.jp/info/foreign/
とてもためになるサイト内のキプロス問題解説
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/2917/hikounin/cypurs.html
http://tanakanews.com/971108turkey.htm
1次大戦後のトルコとギリシャ
http://www.kaho.biz/turkey/d.html#2
クロワッサンの起源については断定出来ません。
富強を誇るトルコに憧れて、という可能性もあると、私は思いますが、
今回の風刺のため捏造s(ryもっとも流布している、
オスマン・トルコ軍によるウィーン包囲の終了で誕生した説を採りました。
http://www.jp-tr.com/icerik/efsane/kruasan.html
コーヒー、シンバルはトルコから来たこと等、ネタ満載です。
http://www.net-sprout.com/iitaihoudai/036zil.html
フランスのお菓子
http://www.osaka-c.ed.jp/matsubara/kadai/26ki/kadair02.htm
焼肉、中華はやめてトルコ料理の店に行きましょう!

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