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第2239話
ab-pro
投稿日: 2005/05/10(火) 23:14:44 ID:gwKmqM2l
その事を父から知らされた夜。
私は、眠ることが出来なかった。
父はなぜ、こんな事を私に教えたのだろう。
世の中には、知ってはいけないことがあったのだ。
正直、父を呪わしく思った。父も、祖父も、曾祖父も。そして何より、この私に
流れる忌まわしき血脈を。
真実の重みに眠ることが出来ない夜。
それでも、私はかたくなに目をつむりつづける。
目を開けてしまえば、私の白い肌がどうしても瞳に映ってしまう。
偽りの「選ばれし民」
真実を知らされたときから、その白い肌は、私にとっての原罪になってしまった。
祖父が天寿をまっとうした夜。
僕は父親からその話を聞ききました。
今だから思えまる。まさに今だからこそ、僕はこの話を聞いた後でも、神様の言
葉を語ることが出来るのだろうと。
そう、神様の言葉だけは偽り無き言葉。その言葉を語る僕も、何ら恥じることは
無いはずです・・・
でも。
たとえばそう。地球町最高峰の、神様を賛美する芸術品達を納める我が家の一室。
それまでは僕の無二の誇りでした。
この部屋の芸術品が顕す神々の白い肌。
それが今では、僕を無言で責め立てる存在になっていました。
やがて訪れる朝。
私は、鏡の前で、鏡の中の私を睨み付ける。
罪を悔いるのは、暗闇の中ただ独りでいるときだけで十分だ。
そう自分に言い聞かせる。
千年を超える紛い物の血統。でも、千年もの時は紛い物をも本物に変えることが
出来る。
そう、思いでもしなければ・・
僕は今日もにこやかに神の声を皆に伝える。
二千年もの時を超えて、今に伝わったものは真実ではなく、真理でした。
その真理が、今日も地球町の人々に笑顔を伝えています。
そう、信じて・・
生まれたときから紛い物だった私には、幸せを求めることさえも罪なのだろうか?
私の家族達は、千年以上も前の祖先達の行いのせいで、これから未来永劫
呪われ続けなければならないのだろうか?
それは断じて認められない!
今の僕には分かります。
父親が僕に真実を話したわけを。
父親も、そして祖父も、自分の胸のうちに秘め続けるには、真実は余りにも大き
すぎたのではないでしょうか?
だから私は今日も喧嘩に明け暮れるだろう。
私には守らなければならない家族と家があるから。
偽りの「選ばれし民」が、真なる「選ばれし民」を追い散らす。
私達が「選ばれし民」であると声を大にしながら・・
何という滑稽なことだろう。何という罪深きことだろう。
でも!
たぶん、祖父はゆっくりと真実を知らしめようとしていたのではないでしょうか?
大昔に、我が家が罪人の烙印を押した偉大な科学者達を赦しました。
多くの家々を訪れて、和解をなしてきました。
それは真実を知らしめるための、長い階段をのぼる旅ではなかったのでしょうか?
真理にすがる人々に、真実を。
それはどれだけの混沌をもたらすでしょうか?
でも!
紫苑 「私は今日も石もて敵を追うでしょう。その罪を知りながら」
ヨハネ 「僕はいつか真実を知らしめるでしょう。それがもたらす混沌を予見しながら」
『それでも、明日を生きるために』
そして種明かしに続く end
今回のお話は抽象的すぎて、これだけでは分からないと思います^^;
今回のお話はハザール汗国にまつわるお話です。
「何を今更!」と言われる方もいらっしゃるでしょう。私ももっと早くルリ先生の
補習授業を受けていればと悔やんでいます。
もし、まだご存じてない方は、是非ともリンク先をご覧くださいませ。
なお、ヨハネ君には紫苑ちゃんのモノローグの対役として登場して貰いました。
ソース・結論はともかくとして、一番簡単なガイド
http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/5614/usi3.html
こちらも結論部分はともかくとして
http://www.fitweb.or.jp/~entity/kaiki/seibomaria.html
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