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第2304話 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2005/07/16(土) 06:16:14 ID:RUgJ2d3X
『ウリのハラボジ』

 梅雨の晴れ間のある日。おつかい帰りのチョゴリちゃんがニホンちゃんの家の前を通りかかりました。
 日ノ本家では一家総出で、庭に物を並べていました。
 チョゴリちゃんはふしぎに思って、ウヨ君に尋ねました。
「みんな何をしてるニカ」
「ああ、チョゴリちゃんか。今ね、虫干しをしてるんだよ。うちには古い物がいっぱいあるから大変なんだ。
少しは思い切って捨てたらと思うんだけど、パパやママは、昔の物にはその時代を生きた人の思いがこもって
いるからって、なかなか捨てられないのさ」
「ふーん、大変そうニダね」

 チョゴリちゃんが家に戻ると、カンコ君が門の前で工具箱を足元に置いて何かをしていました。
「オッパ、何してるニカ」
 なんとカンコ君はカンコ家の表札を外そうとしているのでした。
「オッパ、何するニダ。これはハラボジが」
 そう、この表札は亡くなったおじいさんが書いたものだったのです。
「ウリの家はあの糞じじいが生きてる間、ずっと息苦しくて暗い家だったニダ。思い出したくもないから
こんなもの外してやるニダ」
 カンコ君は言い放ちました。
 カンコ家のハラボジ。それはたいへん厳しい人でした。家のことはすべて自分ひとりで決めていました。
そして何かあれば言葉より先にビンタが飛んできて、家の中はいつもピリピリとしていたのです。
 でも、表札を見ているうちに、チョゴリちゃんにハラボジの思い出がよみがえってきました。
「ウリをひっぱたいた後、ハラボジはウリを抱き寄せてこう言ったニダ。
『チョゴリ、わしはお前たちに日ノ本家の子たちと同じ、いや、それ以上のいい服を着せたいし、おいしい
ものを食べさせたいニダ。しかし今、わが家はとても貧しいニダ。そんなわが家が日ノ本家のように豊かに
なるには一家が必死にならねばならないニダ。だからわしはいつでも皆に厳しくしているニダ。わかるか』
 そのときのハラボジの顔。ウリには忘れられないニダ」
 チョゴリちゃんがそんな思いにふけっている間にカンコ君はとうとう表札を外してしまいました。そして
「ウェーハッハッハ」と高笑いしてそれを放り投げました。
 チョゴリちゃんは、投げ捨てられた表札を見て涙が止まりませんでした。

解説 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日: 2005/07/16(土) 06:19:00 ID:RUgJ2d3X
(元ネタ)
故朴大統領も涙!? 中傷的映画や自筆額外し
http://www.sankei.co.jp/enak/2005/jan/kiji/27korea.html

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