戻る
<<戻る
|
進む>>
第2307話
ab-pro
投稿日: 2005/07/29(金) 23:11:23 ID:LWV86TzJ
灰色のコンクリートの壁。
がらんとした部屋に置かれた机の前に座らされた少年に、剥き出しの白
熱灯の光が、容赦なく浴びせかけられていました。
「さあ、そろそろ本当の事を言ったらどうだ、カンコ?
お前は故意にクルちゃんを・・・」
「違うニダ。アレは事故ニダ!!ウリは無罪ニダ!」
まぶしい光の向こうにかすかに輪郭が見える保安官・アメリー君に向か
って、拘束衣にくるまれたカンコ君が虚しく抗議します。
ここは復興途上にあるイラク家の一室。
ガタガタになってしまったイラク家の再建を手伝いに来ている、アメリ
ー君の事務室に作られた、臨時の取調室。
その入り口には、大きくこんな張り紙がしてありました。
「クルちゃん射殺未遂事件捜査本部」
そうです。カンコ君はこの事件の重要容疑者としてアメリー君に連行さ
れてきていたのでした。
さて、この事件のあらましですが、最近、イラク家の再建資材を近所の
野良猫たちが荒らす事件が多発していたため、カンコ君とイラク家に住ん
でいるクルちゃんが一緒になってエア・ガンを持って見張りをしていた時、
何を思ったのか、カンコ君がクルちゃんをエア・ガンで撃って怪我をさせ
てしまったのです。
「カンコ。調べは付いているんだ。
それはお前だって、面と向かって(ピー・放送禁止用語)と言われれば
怒りもするだろうな、(ピー・放送禁止用語)よ」
「ウリを(ピー・放送禁止用語)と呼ぶな!ウガー!!」
拘束衣がなければ、辺りを廃墟と化してしまいそうな勢いで怒りまくる
カンコ君。それだけでも、彼がその前に同じ言葉を言われた時に、どんな
行動を取ったか容易に想像が出来そうです。
「まあ、(ピー・放送禁止用語)と言う言葉は、お前の家では最大の侮
辱の言葉らしいからな。俺だって面と向かってファク・ユーとやられれば、
やった奴に何するか分からないからな。
お前の気持ちは良く分かるよ」
「そうニダ!クルの奴が全部悪いニダ。突然あんな言葉をウリに言うな
んて。ウリは被害者ニダ!」
必死に自分の立場を強めようとするカンコ君に、光の向こうでアメリー
君がニヤリとしました。
「・・だから、エア・ガンでクルちゃんを撃ったのか?」
「違うニダ!アレはエア・ガンが勝手に弾を撃ったニダ。・・暴発事故
ニダ!!」
声は大きいものの、どこか虚ろに響くカンコ君の抗議の声。
まあ、クルちゃんの証言もあり、カンコ君の行いは大体アメリー君も把
握しているのです。いくら玩具の銃といっても、最近の玩具はそんなに簡
単に壊れるものではありません。
内心、カンコ君を憎々しく思っているアメリー君ですが、イラク家の再
建がなかなか軌道に乗らない中、一様再建を手伝ってくれているカンコ君
を切り捨てるわけにもいきません。
『だいぶん懲らしめたし、ここらで手打ちにするか・・』
と、内心ため息をつきつつ、だいぶん落ち着いてきたカンコ君の拘束衣
を取り外しにかかるアメリー君。
実はもうすぐ、カンコ君のお父さんが再建現場の視察に来る予定になっ
ていたのでした。
「まあ、お前がそう言うなら事故だったんだろう。しかし、クルちゃん
は怪我をしたんだ。ちゃんと謝れ」
そういって、頭に包帯を巻いたクルちゃんを取調室に招き入れるアメリ
ー君。
そのクルちゃんに向かって、カンコ君はどこか喜々としながらも、あっ
さり頭を下げて許しを請うたのでした。
「うん。赦してあげる」
そういって、こちらも笑顔で応えるクルちゃん。みれば彼女の胸には、
真新しいサム○ンのMP3プレーヤーが輝いているのはご愛敬です。
その時です。
「カンコ、元気にしているニカ?」
そう言って、調査室に入ってきたのは何も知らないカンコ君のお父さん
でした。
「アボジ、ウリはイラク家の復興に邁進しているニダ!」
まったくケロリとそんな言葉が出てくるカンコ君に苦笑しながら、アメ
リー君は全てが収まってホッとしつつ、ちょっとした疑問に捕らわれてい
ました。
『・・ところで、クルちゃんは何でカンコに(ピー・放送禁止用語)な
んて言ったんだ?
第一、調査によると(ピー・放送禁止用語)と言う言葉はカンコの家の
独特の言い回しで、クルちゃんが知っているはずないんだが・・』
しかしこの疑問は、次の瞬間にアメリー君の目の前で解き明かされる事
となります。
「あ、カンコ君のお父さんですね。(ピー・放送禁止用語)」
笑顔でカンコ君のお父さんに、カンコ家最大の侮辱の言葉を口にしたク
ルちゃんと、とたんに凍り付く、カンコ親子。
一触即発の事態に、しかしアメリー君ははたと何かを気付いてクルちゃ
んに問いかけました。
「ねえ、クルちゃん。(ピー・放送禁止用語)てどんな意味?」
「ええとね、アメリー君の家ではハローと同じ意味だって。
カンコ君とお仕事を始める時に、カンコ君に家で挨拶する時なんて言う
の?て訊いたら教えてくれたの」
無邪気な笑みとともに答えるクルちゃんに、完全に忘れ去っていた過去
の悪戯を思い出して、みるみる顔色が白くなっていくカンコ君。
「「カンコ!!」」
次の瞬間、アメリー君とアボジの怒りの声がカンコ君に襲いかかった
のでした。 end
ニュースソースは、週間東亜・7月のある号の記事だそうです(伝聞)。
イラク展開中の韓国軍が、一緒に警備していたクルド人民兵を射殺した
事件より。
まだ日本語の記事にはなっていないようですね。
クルド人民兵が、一緒に仕事をしていた韓国軍人に韓国での挨拶を訊い
たところ、ふざけたその韓国軍人が放送禁止用語を教えた為、そのクルド
人はそれ以後、韓国軍人に挨拶として放送禁止用語を連発していたそうです。
そしてある日、それを知らない韓国軍人が放送禁止用語を言われたため、
『ふざけて銃口をクルド人に向けたところ、本当に撃たれると思ったクル
ド人も銃口を韓国軍人に向けた時、韓国軍人の銃が暴発』して、クルド人
民兵は死亡したというもの。
ちょうどこの事件が起こったのが、盧武鉉大統領がイラクを訪問する直
前の去年十二月だったため、韓国で報道されたのが今年の四月になってか
らだった模様。
遺族に多額の慰謝料を支払い、婦人を韓国軍施設に就職させて事件は和
解した模様です。
解説
ab-pro
投稿日: 2005/07/30(土) 00:08:05 ID:yP+9Bnvz
ニュースソース発見
http://www.donga.com/docs/magazine/weekly/2005/07/07/200507070500024/200507070500024_5.html
ウェブ翻訳してみてください
この作品の評価
結果
その他の結果
選択して下さい
(*^ー゜)b Good Job!!
(^_^) 並
( -_-) がんばりましょう
コメント: