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第2369話
ab-pro
投稿日: 2005/10/30(日) 22:50:59 ID:awnrzMY0
ある日の事でした。
突然の全校集会に、訳も分からず体育館に集まる小学校の生徒達。
壇上では、なにやら思い詰めたような表情の校長先生が、生徒達
が揃ったのを確認すると、重い口調で語り始めました。
「もうすぐそこまで冬がやってきました。
ですが、今年の冬は恐ろしい事が起こりそうです。皆さん、今年
の冬は風邪には十分に注意しましょう!」
一体何事だろう?と、身構えていた生徒達ですが、単なる風邪へ
の注意みたいなので、一気に張りつめていた気が萎えてしまいまし
た。
しかしです。確かに今年は何かが違っていたのです。
「もう、お家の方のお話を聞いてご存じの人も多いでしょう。
今、アジア町で次々と飼われている鶏たちが病気に罹っています
が、とうとう鳥たちの病気がユーロ町にまで拡大しました。
皆さんも鳥が死んでいるのを見つけたら、決して近寄らないです
ぐに先生達に教えてください」
その言葉に、どういう訳かメモ帳を片手になにやらイ・アル・サ
ンと、くうで計算を始めるチュウゴ君ですが、すぐにアメリー君が
怖い目で睨み付けている事に気がついて、あわててそっぽを向いて
鼻歌を口ずさみます。
「これは鳥のインフルエンザですが、もし病気の鳥を食べてしまっ
たら、私たち人間も鳥のインフルエンザに罹ってしまいます」
その言葉に、タイラン君とベトナちゃんが昨日の晩ご飯のメニュ
ーを思い出しながら、急に顔色を青くして口元に手を当てました。
「病気に罹った鳥にもし触ってしまったら、すぐに体を消毒しまし
ょう。そうでないと、鳥のインフルエンザはすぐに他の地域に広が
ってしまいます。大変に危険です」
その言葉に、ルーマちゃんやトル子ちゃんは、慌ててポケットか
らハンカチを取り出すと、ゴシゴシと自分の両手をむぐい始めまし
た。
「もしかしたら、この鳥のインフルエンザが人から人に感染し始め
る可能性があります」
その言葉に、アメリー君は素早く携帯電話を開くと、パパに『ワ
クチン買い占めろ』とメールを打ちましたが、その様子を盗み見た
ジュネーブ君がニンマリと目尻を下げた事には、何とか見て見ぬふ
りをする事が出来ました。
「もし人への感染が広まったら、もしかすると多くの人たちが亡く
なってしまうかもしれません」
その言葉に、ほとんどの生徒達が凍り付きました。
「ですが、一番大事な事は、決してパニックを起こさない事です。
皆さんも今年の冬は風邪を引かないように十分注意してください」
校長先生の最後のその言葉は、しかし、怯えきった子供達をパニ
ック寸前まで追い込む意味しか持っていませんでした。
これは不味いわね・・・。
と、場の流れを読んだフラメンコ先生が、出来るだけ陽気に手を
打ち鳴らしながら、大きな声で生徒達に話しかけます。
「はいはい、みんな。
校長先生は、もう十年もこの時期になると同じような事を言って、
みんなが風邪を引かないように注意しているでしょう?
去年の事、忘れちゃったかな?
でも、今年の風邪は要注意だすら、十分に気をつけるのよ。
さあ、解散!!」
なにやら文句を言いたげな校長先生を残して、やっと笑顔を取り
戻して教室に帰り始める生徒達。
ですが、後ろからツンツンとつつかれて、フラメンコ先生が振り
返ってみると、そこには満面の笑みをたたえたニホンちゃんがいた
のでした。
「もう、校長先生も人が悪いんだから。
本当に怖い病気が広まるかと思っちゃった。フラメンコ先生、あ
りがとうございました」
そう言って、ぺこりと頭を下げるニホンちゃんに、フラメンコ先
生はアチャーとこめかみを押さえながら、その場で大きな溜息を付
いてしまうのでした。
end
解説
ab-pro
投稿日: 2005/10/30(日) 22:56:33 ID:awnrzMY0
投稿ミス、申し訳ありませんm(__)m
というわけで、ab-proです TT
今回のソースはニューズウィーク日本語版11.2より、鳥インフル
エンザ。
ついに欧州まで感染が拡大した鳥インフルエンザですが、こいつ
がスペイン風邪並みのハイブリット・インフルエンザに変異するの
も時間の問題となってきたようです。
実は十年前から「そろそろハイブリット・インフルエンザが大流
行する」と言われてきたわけですが・・・
ちなみに大戦中と言う事でスペイン風邪では世界で2500万人
が死亡したようです。
アメリカや欧州ではインフルエンザは、地震や台風並みの自然災
害という対応を政府はとっいる様ですが、日本ではまだまだ・・・
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(*^ー゜)b Good Job!!
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