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第2378話 ab-pro 投稿日: 2005/11/08(火) 22:00:30 ID:x4FEWzv6
 取り急ぎ新作を投下。

 「そっちに一杯いるニダ。全部捉まえるニダ」
 カンコ君とキッチョム君の家の境界の近く。キッチョム君が大勢の警備員を
使って、原っぱで大騒ぎをしています。
 そんな光景を、カンコ君の家の物陰からじっと見つめる視線が二つ。

 「で、あれは何をしているんだ?」
 「イナゴを捕まえているニダ」
 それはアメリー君とカンコ君。カンコ君の家はアメリー君の家の警備員とカ
ンコ家の警備員が共同で警備していますが、今日はそんな現場を二人して見学
に来ているようです。
 
 「バッタをか?
 キッチョムの奴も案外、子供っぽいところがあるんだな。バッタを捕まえて
遊ぶなんて」
 「違うニダ。冬ごもり用のイナゴの佃煮を作るつもりニダ。それがキッチョ
ム家の警備員の食べ物になるから、警備員も必死ニダ」
 その言葉に、地球町で一番裕福な生活をしているアメリー君は、一瞬、ポカ
ンとしてしまいます。
 「馬鹿にしてはいけないニダ。イナゴは栄養もある健康食品ニダ」
 
 そんな二人の目の前で、懸命にイナゴ狩りに励むキッチョム家の警備員達。
 その光景に半ば呆れていたアメリー君に、後ろに控えるカンコ君がもみ手を
しながら話しかけます。

 「キッチョム兄さんもこの程度だから、また喧嘩が始まる心配も少ないニダ。
 そろそろ我が家の警備の隊長を、ウリナラに任せて欲しいニダ」
 ここのところ、何かにつけてカンコ君が要求する事柄。
 アメリー君の見るところ、まだまだカンコ家の実力は不足気味で、キッチョ
ム家ともし喧嘩になったら、アメリー君の家の助けがなければ喧嘩を終わらせ
る事は出来ないはずです。
 それなのに、隊長職をカンコ家に任せてしまったら、いざという時にアメリ
ー家の警備員達がどれだけ苦労をさせられるか分かったものではありません。
 それに、最近は何かに付けて文句を付けるカンコ君に、アメリー君もあまり
良い感情は持っていないのです。

 そんなアメリー君の気持ちなど全く考えもした事がないのか、執拗に「隊長
職、隊長職!」と後ろで喚くカンコ君に、アメリー君が
 『この恩知らず!!』
 と、叱り付けてやろうと振り返ったのですが・・・・
 カンコ君の後ろに広がる一種異様な光景を目撃したアメリー君は、あっさり
と拍子抜けして、怒る気も失せてしまいました。

 「・・・分かった。ダディーに伝えるだけは伝えておく」
 「宜しく頼むニダ!!」

 隊長、隊長、と小躍りして喜ぶカンコ君の後ろでは、カンコ家の警備員達が
手拭いを腰に差して、一心不乱に水田で頭の垂れた稲穂を刈り取っていたので
した。
                                end

解説 ab-pro 投稿日: 2005/11/08(火) 22:01:47 ID:x4FEWzv6
 北朝鮮軍のイナゴ狩りは、別冊宝島か何かの、脱北軍人のお話より。
 韓国軍の農村支援は、2004年韓国国防白書より。
 2004年の農村支援の実績は、延べ34万人だそうです。

 現在南侵が始まった場合、米韓両軍の指揮権は自動的に駐韓米軍司令官が取
る事になります。
 国防白書では米韓同盟を国防の最重要用件と位置づけつつ、執政府の自主国
防策の実現も目指すという、米軍と盧武鉉大統領との板挟み状態の軍という感
がありました。
 作戦計画5027
http://chorea.hp.infoseek.co.jp/usa/oplan5027/ 
 では、北朝鮮の侵攻に対して、韓国軍が侵攻を持ちこたえ、米軍の増援が到着
してから北侵に移るという手順ですが、二年ごとの作戦の更新に、今回は韓国が
応じていないとか。
 これから一体どうなることやら・・・

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