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第2452話 かなだらま 投稿日: 2005/12/19(月) 22:25:32 ID:MibCn1Jk
「アルバム」

ロシアノビッチ君はアルバムの写真を眺めていました。大きな屋敷をバックに、着飾ったロシアノビッチ君とたくさんの妹や使用人達が写った写真です。
「あれからだいぶ経ったな…」


その日、ロシアノビッチ君はいつものように紅茶を飲んでいました。
「……あれ、切れたか。おい、誰か紅茶を」
しかし答える声はありません。
「おかしいな…。ウクライナ、カザフ、誰でもいいから返事しろ!」
やはり返事はありません。静寂が辺りに広がっています。
「一体どうしたんだ…。いつもなら俺が呼べばすぐに来るのに…」
気味が悪くなってきたロシアノビッチ君は部屋を出て、屋敷を巡り始めました。
暗く長い廊下をひたすら歩き続けます。あちこちの部屋を覗きますが、どの部屋もからっぽです。
「…そうだ、親父なら何か知ってるはずだ」
そう思ったロシアノビッチ君は、クレムリンの間へ向かいました。

「…親父、入るぞ」
扉を開けると、そこには頭を抱えた父の姿がありました。
「親父!どうしたんだ!」
「あぁ……ビッチか…。もう終わりだ…」
「終わりって…一体何が」
「何もかもだ…ワシの会社が破綻したんだ」
「なんだって?!」
「もう大勢の家族は養っていけんし、屋敷の一部も売却だ…」
「そんな……嘘だろ…」


「……妹達、元気にやってるかな…」
ロシアノビッチ君はアルバムを閉じ、ウォッカを呷り始めました。

解説 かなだらま 投稿日: 2005/12/19(月) 22:28:27 ID:MibCn1Jk
そういやソ連崩壊を描いた作品ってなかったな…と思い、書いてみました。33行以内に収めるんは大変ですね…

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