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第2500話
pecotan
投稿日: 2006/03/17(金) 01:48:21 ID:DFqpATEw
『お友達だよね!』 その1
2月11日は、ニホンちゃんの誕生日。
真っ白でふわふわのワンピ、胸の真ん中に一点、紅い薔薇のコサージュが
映えて、にっこりと微笑でパーティに招待したお友達を出迎える。
まさに、上機嫌で「本日の主役」という様子。
(ないしょだけど、下着はコットンの白地に、淡く桜の花柄が散らばった
お気に入り。ブラも合わせで、成長期のデリケートな胸を、優しく樹脂の
パッドで支えてくれるのも好き。)
今回は、家族・親戚のほか、同居人のザイちゃん、親友のタイワンちゃん、
クラスメートのエリザベスちゃん、フランソワーズちゃん、アーリアちゃん
たち女の子と、家ぐるみで交流が深いアメリー君、それから、何故か最近、
一緒のグループで遊ぶことが多いロシアノビッチ君が招かれていた。
「そのぉ、アサヒちゃん、下から撮るのは止めてね。」
ローアングルから舐めるように、壇上でビンゴゲームの抽選器を回す自分を
ビデオ撮影するので、ニホンちゃんはずいぶん困った顔。
「どうして、表現の自由じゃない。」
今度は、階段を上がり中2階の吹き抜けた踊り場から、望遠レンズで胸元を
ドアップで写す。
「撮影場所については、ちゃんと事前にお話して、皆とお約束したのに。」
「友達が友達の誕生日会を自由に取れないなんて、とっても異状よ。」
「それに、学級新聞編集長の私には、パーティを取材する権利と、今日来て
いないクラスメイトに、ニホンちゃんのすべてを、ありのまま伝える義務が
あるの。」
「そんなあ。」
『お友達だよね!』 その2
何に使われるか分からない、写真やコメントを先ほどから録られて、ニホン
ちゃんはゲームに興じるどころでない。
「ちょっと、何バカやってんのよ!」
見かねて、まずはホンコンちゃんが間に割って入った。
「さくらさんの誕生日パーティなのに、日之本家の旗をバースディケーキに
立てたり、日之本家栄華の歌を合唱するのも、サヨさんは反対しておられま
したわよね。それって、お友達としてどうなのかしら。」
続けて、エリザベスちゃんが慇懃な言葉遣いで諭すのに対し、
「たとえ、親姉弟、身内同然の同居人や使用人であろうと、押し付けるのは
行き過ぎよ。ねえ、ザイちゃん。」
いつもお菓子を貰うアサヒちゃんにそう言われて、小龍包を口に咥えながら、
ザイちゃんはコクコクと頷く。
「歌いたくない人には強要してないけど、みんなで歌った方がお祝いとして
華やかになるから、歌詞カードを用意したりして呼び掛けてるの。」
過去における一つの出来事を共有する、アーリアちゃんも注意する。
「旗を飾ったり合唱したりする、お膳立てを断った使用人を解雇するのは、
人権蹂躙じゃない!」
「使用人が、雇い主から執事を通して、再三、命令されたにもかかわらず、
従おうしなかったので、辞めて頂くのは至極当然のことよ。それが家庭教師
なら、子供の教育にも差し支えるわ。」
とフランソワーズちゃんにさえ言われ、劣勢気味のアサヒちゃんは、やや、
感情的なってきた。
『お友達だよね!』 その3
「カンコ君やチューゴ君たちの参加を断ったのは、酷いんじゃない!」
「あの人たちは、演奏が始まってからも野次を飛ばしたり、妄想や捏造ごと
を記したPR紙で、みんなのビデオカメラを塞いだりして、毎回全く敬意を
払わないから、お父さんが暫くダメだって。」
「アサヒちゃんたら、この間も記事の嘘がバレて反省文を書かされ、今後は
真面目な報道記者になると宣言したばかりなのに、懲りないよな。」
かしましい女の子たちとは少し離れた席で、アメリー君はロシアノビッチ君
に語りかけたが、いつの間にか泥酔状態になった彼には、ほとんど聞こえて
いないようだ。
しょうがないなという顔をしながら、アメリー君は女の子たちの方へ向かう。
「ハッハッハッ。レディー達、剣呑なお話はそこ迄にしようじゃないか!」
「今日は、ニホンちゃんのハッピィな誕生日。愉快にパーティを楽しまない
と、ホストに失礼だろ。」
「さあ、バンドさん。心が弾むような曲をやってくれ。ニホンちゃん、僕と
踊ろうよ。」
やがてパーティも終わり、ベッドの上で、まだ開けていなかったプレゼント
を開封しながら、ニホンちゃんは、みんなに責められ、一層、頑なになって
しまったアサヒちゃんを想う。
「友達ってなんだろう?」
「優しい人も、面白い人も、そして、意地悪だけど私に忠告してくれる人と
色々いるけど、・・・私はやっぱり、私を好きになってくれる人が良いな。」
アサヒちゃんからのプレゼントである、ウサギのくったりぬいぐるみを枕元
に侍らして、ようやく眠りに付いた。
解説
pecotan
投稿日: 2006/03/17(金) 01:58:44 ID:DFqpATEw
ソースは
http://blog.livedoor.jp/mumur/archives/50416564.html
の朝日社説「国旗・国歌 ここまでやらずとも」に対する電話突撃取材の顛末ブログ です。
少しだけ、ハッピーになるようなお話にしました。
なお、ニホンちゃんの誕生日が既に定まっているのなら、ゴメンナサイ。
また、舞台が2月のお話になったのも許してね。
Pecotan
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