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第34話 100話作者 ◆UMAIu01k 投稿日: 2003/02/09(日) 02:41 ID:bW7Q28Jo
■カンコ君の自己回復(1)

カンコ君は暑苦しい寝汗を油のようにたらしていました。
「こ、このままではだめ、だめニダ……」

1日に23時間寝ても飽きないカンコ君がこんなに寝苦しそうにしているのには理由がありました。
なぜか近頃、クラスの中でのカンコ君の存在感がめっきり薄くなってきているのです。
そして、人一倍自己顕示欲が強い、いいえ「皆がウリをずっと見ていてくれなきゃイヤニダ〜」というカンコ君には、
それは耐え難い屈辱だったのです。

「はぁ、はぁ、はぁ。」
とうとう目が覚めてしまったカンコ君は、どうして最近自分の影が薄いのだろうと考え、昔のことを思い出していき…
…そして、ついにある結論に達しました。
「そう…これしか、ないニダ…」

◇◆◇

翌日。
いつものように遅刻してきたカンコ君に声をかけようとしたニホンちゃんは、カンコ君の様子がただならないことに
気がついて、おもわずたちすくみました。
「ひっ」
かすかな声が漏れたのでしょう。カンコ君はすばやく振り向きました。
「ムッキィイイイイ、ニホン、おまえウリを莫迦にしているニダなぁ?カンコなんかとは挨拶もできないと
思っているニダ? ムッキィイイイイッ!」
カンコ君はキムチ臭い息をむわっと吐くと、獣のようにニホンちゃんに飛びかかろうとして。
タイワンちゃんの旋風脚を食らって教室の端まで、ゴムまりのごとく吹っ飛ばされました。
「やめなさい、バカンコ!」
「さ、先に口で止めてから蹴るものニダ……」薄れ行く意識の中で、カンコ君は小さくつぶやきました。
■カンコ君の自己回復(2)

◇◆◇

「で、どういうつもりでニホンちゃんに襲いかかったって?」
カンコ君は、クラス中の女子にとり囲まれています。こうなると、アメリー君ですら
一言も口を挟めません。
「返答次第によっては……」意味ありげにアーリアちゃんがぱちっと指を鳴らします。
それを見たカンコ君は真っ青になって震え始めました。
「ウ、ウ、ウリウリウリウリウリは…」
「それではわからん」また指をぱちっと鳴らします。
カンコ君の冷汗の量が倍になり、普段は赤い顔色が青みがかって紫になっています。
「つ、つまり。」
「つまり。」
「ウ、ウリは寂しかったニダッ!」カンコ君は無理にでも顔を上げて主張します。
「最初はウリたちは5人くらいしかいなかったのに、こんなにたくさんになって」
「たくさんになったのが悪いことですの?」エリザベスちゃんは、なぜかロープを編んだ
九尾鞭を手にしています。どこから持ってきたのか、後ろには格子蓋も用意してあります。
「つまり、わたくしたちは不要とおっしゃりたいわけですの?」
「い、いや、そうではないニダ、つまり…」

ぱちり。
「つまり、ウリは存在感を取り戻したかっただけ、ニダ。」

ぱちり。
「そ、そのために…そのためにウリは昔のことを思い出して見たニダ、そうしたら……」
■カンコ君の自己回復(3)
カンコ君の声は、もう消え入りそうです。
「そうしたら?」ニホンちゃんがやさしく声をかけます。
「そうしたら、1話にはカンコはキ●ガイと書いてあったニダ。9話ではパンツを強奪していたニダ。もともと、ウリはそういうキャラクターだったニダ。いまの自分は本当のウリじゃないニダ!」
カンコ君はだんだん興奮してきています。顔がふたたびキムチ色に、そしてしゃべるたぞにつばきが飛び散ります。
「つまり、ウリは本来の自分をここで取り戻すニダ〜〜〜! ニホン、謝罪しる、反省しる、ウッキィイイい〜ッ!」
カンコ君は、普段の姿とはうってかわった素早さで、アーリアちゃんとエリザベスちゃんの間をすり抜けるようにして突破し、鉤型に曲げた爪でニホンちゃんに襲いかかろうとしました。カプサイシンに血走った目が赤くぎらぎらと燃え、その姿はまるで伝説の怪物のようでした。
が。
それをタイワンちゃんの踏み込みのスピードが上回りました。
カンコ君の腕をかるく把んで内に流すと同時に、だぁんという激しい足音が教室に響くと、カンコ君はくの字に折れ曲がって、まるでぼろ雑巾のように吹き飛びました。
「やめなさいっ」
「…だから、それは打つ前に言うニダ………アイゴーゥ」

◇◆◇

「莫迦者、それはただの開き直りというのだ、それは成長なのだぞ」
「惜しいキャラを失ってしまいましたわね」
「ま、まさかあんな簡単に……」
「うぇっうぇっうぇっ、カンコ君…」

「だーかーらー、いくらウリがそんなに存在感がないからって、簡単に抹殺するなと言っているニダー!」
「うわぁ、ゾンビが」
「キャアアアアッ」
「キョンシー退散っ!」
「うわああああああん」

地球町は今日も平和です。

解説 100話作者 ◆UMAIu01k 投稿日: 2003/02/09(日) 02:48 ID:bW7Q28Jo
はい、時事ソースなしです(キッパリ)。
実際に1話から読み返してみたら、最初の方がえらくキツいキャラだったのが
丸くなったというか、成長したなぁ、と>カンコ君

それから。
カンコ君が車にはねられようが、16トンハンマーでなぐられようが、テポドンの直撃を受けようが
死なないのは(隠れた)お約束です(w

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