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第9話 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日:  2005/07/10(日) 15:09:22 [ 8DODvGF2 ]

「食を通じた国際誤解」

 ピンポーン。ニホンちゃんのおうちのドアチャイムが鳴りました。
「ニホンちゃん、お誕生日おめでとう。はい、プレゼント」
 玄関に立っていたのはトル子ちゃんでした。
「わあ、ありがとう。わざわざ届けにきてくれたのね。せっかくだから、上がってってよ」
「うん、じゃあ、ちょっとお邪魔します」
 二人はお部屋でおしゃべりに夢中になっていましたが、そのうち、だんだんお腹がすいてきました。
「トル子ちゃんもおなかすいてるでしょ。あたし、なんか作るわ」
 ニホンちゃんは、そう言って台所に向かいました。

「さあて、何を作ろうか。そうだ、トル子ちゃんに喜んでもらえそうなお料理を作ろうっと。
 先ずはサヨックおじさん直伝の『喫茶店のナポリタン』を作りましょ。スパゲティは太目のをゆですぎる
ぐらいにゆでて、ピーマン、たまねぎ、ハムは必須アイテム。ケチャップをたっぷりからめてできあがり。
それからピラフを作ったら、ナポリタンと並べてお皿に盛って、上にカツを乗っけてできあがりっと。
 はーい、トル子ちゃん、できたよー」

「わあおいしそう。いただきま……」
 お皿にのばしかけたトル子ちゃんの手が止まりました。
「あのう、これって」
 トル子ちゃんが指差したのはピラフに乗ったカツでした。
「うん、トンカツだけどそれがなにか」
「私のうちイスラム教なの。トンカツやポークハムは食べてはいけないんだよ」

 ガーン。ニホンちゃんは大ショックでした。
「わ、そういえばそうだった。でも、これトルコライスっていうからてっきりトル子ちゃんのおうちのお料理
だと思ってた」
 ニホンちゃんは大チョンボしてしまったことに気が付いて、がっくりと肩を落としました。
「そんなに落ち込まないで。私怒ってないから。でも面白い名前だね。うちで作ってないお料理なのにトルコ
ライスなんて」
「ごめんね、もっとよく調べればよかった」
 ニホンちゃんはしょんぼりした顔であやまりました
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、気にしないで」
 そう言ってからトル子ちゃんは、ニホンちゃんには聞こえないように小さな声で言いました。
「えっちなお風呂のことをトルコ風呂って言うのに比べたらどうってことないもの」

解説 U−33 ◆JOCEixq6zU 投稿日:  2005/07/10(日) 15:15:41 [ 8DODvGF2 ]

(蛇足)
 トルコライスは、トルコではなく長崎の名物料理です。お間違えないよう。

えー、4周年用に最初考えたネタですが、どうしても時事ネタにも歴史ネタにもつながらなかったので、
本スレ投稿は断念したんですが、裏作品はこちらに投稿ということでいいでしょうか。

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