連続ドラマ小説「ニホンちゃん」第35話「お米には百人の神様がいると云われておりますが」　作：どぜう

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第35話どぜう ◆3F8jIdnlW2 投稿日： 2006/02/09(木) 21:15:20 ID:a/4Af+mt: 『お米には百人の神様がいると云われておりますが』

１．
今日の地球町小学校はお弁当給食の日。
みんな家から、お母さんが腕によりをかけた色とりどりのお弁当を持ち寄っています。
その中でお弁当包みを抱き締めて、むふむふと鼻息荒くほくそ笑む影一人。
云うまでもありません。どう見てもカンコ君です。

「どうしたんだお前？腹ぺこで頭のネジがゆるんだのか？」
ママ謹製のクラブハウスサンドを頬張りながら、
アメリー君がカンコ君に尋ねました。
「ふふふふふ。よくぞ聞いてくれましたニダ」
「お？おう」
「これを見れ！ニダ！」

　どーん！

カンコ君の掌には、まぁるいお弁当包みが鎮座ましましていたのです。

「…これが…？」
「今日をもってウズラ弁当からはオサラバニダ！ウリのこのオニギリは、
あの！ニホン謹製のオニギリニダよ？！」

　ざわざわざわざわざわっ…！

教室中に息を飲む音が走りました。
「そう、オンナノコがオトコノコにお弁当を作ってあげる！
これがステディな間柄でなくて他になんと云う間柄ニカ？！」
カンコ君の演説は続きます。
「まあ…ニホンの気持ちは形だけ受け取っておくニダ。
今のウリには恋とか愛とかよりも大切なものがあるニダからねえ…」
うっとり。
『お米には百人の神様がいると云われておりますが』

２．
…ニホンちゃんがカンコの奴に弁当を？
…あの指が握った飯をカンコが…？
…俺も食いたいなあ…

クラスの男子生徒（女子少数含む）がそんなことを考えてる最中、
ハンカチを持ってニホンちゃんがどこからか帰ってきました。
「あ、ニホンちゃん！」
タイワンちゃんが駆け寄ります。
「はへ？」
「か、カンコにお弁当作ってやったって本当なの？！」
「？　？？」目を白黒して困惑するニホンちゃん。
「ずるいようっ！バカンコに作ってあたしに作ってくれないなんてえっ！」
涙目で詰め寄りがくがくとニホンちゃんの肩を揺さぶるタイワンちゃんの向こう側、
歓喜に包まれ輝きを増すカンコ君は、しゅた、と椅子に座りました。
「サラバ独り者共！ウリはニホンと歓喜の花園へ！」
ばっ！
大仰なリアクションでお弁当包みを開くカンコ君。

握り拳ほどのオニギリが三つ。お弁当包みに入っておりました。
そのオニギリの上に、四つ折で畳まれた紙。
「おやおやおや…ニホンは奥ゆかしいニダねえ…
云いたいことがあればいつでも聞いてあげる間柄ニダのに…」
『お米には百人の神様がいると云われておりますが』

３．
しかし、どうしたことでしょう？
畳まれた紙を開いて手紙を読み始めるカンコ君の動きが止まってしまいました。
「？」
不審に思ったアメリー君がカンコ君から手紙をつまみ取って、読み始めます。
「えーっと…
『誇り高い息子カンコよ、オモニにキャバクラ通いがバレた。
昨日からオモニは家事をボイコット中。
塩むすびしか作れないアボジを許せ。ニダ。

追伸、今日の晩ご飯はカンコの大好きなカレーニダ。』」

なあんだ。と云った顔でめいめいが席に座っていきます。
「ほっ」とした顔で自分の席に戻り、最高の笑顔で「ニホンちゃん、一緒にお弁当食べよ？」
と、タイワンちゃんもいつもの様子へ。
「？　？？」
ニホンちゃんだけが訳が分からず、カンコ君だけは硬直したままで。

「いっただきま～～～す」

みんなが待ちわびた給食の時間が始まるのでした。

おしまい
解説どぜう ◆3F8jIdnlW2 投稿日： 2006/02/09(木) 21:17:50 ID:a/4Af+mt: ソース
韓国で流通する「日本産コシヒカリ」、85％が偽物
ttp://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/01/31/20060131000002.html

ソース通りなら、だいたいお握り６個につき１個はニホンちゃんのお手製の筈ですけどね。
まあ、比喩表現てことで。
解説どぜう ◆3F8jIdnlW2 投稿日： 2006/02/15(水) 23:22:06 ID:m14Fk3+N: >>442
＞この役ならタイワンよりウヨあたりが適任だと思います。
＞日本の米事情を絡めるなりすると、なかなか面白いかもしれません。

えー、この話には、日本のブランド米輸出と云う側面があります。
ウヨでは国内問題になりますし、特に右翼の方々は、カリフォルニア米の輸入には反対でも、
国内のブランド米に関しては比較的寛容な面もあります。
なにより、給食と云うシチュエイションなので、学年違いのウヨを出すのは違和感があります。

海外で、日本の米を珍重するのは、作中でも述べられていますが、
台湾もそう云った国の一つです。
ttp://www.nca.or.jp/shinbun/20050520/agri050520.html

アーリアにとっては米食はなじみが薄いものですし、
インドネシア等々、東南アジア方面で食されているのはインディカ米なので、
必然的にニホンちゃんに詰め寄るキャラクターはタイワンちゃんに収まる結果になります。